余剰兵力が大量破壊兵器、爆破実験で村おこし
「なんだいありゃぁ?」
名無しの酒場の扉をくぐった、米屋の主が懐の煙草を弄りながらカウンターに腰掛けた。
「ゴスロリ?…いや、ゴスアダルト?いっつも頭からローブ被ってるから、女か男かもわからんかったが…」
詩人をチラ見して。店主に抗議の眼差しを向ける。
「え?何?ゴスアダ?」
店主が耳が遠いと、耳を寄せると、
「いいよ。酒。」
米屋は紫煙を吐いた。別の客が、米屋の肩を叩き、
「あのコンタンプラシオン?見なきゃいいんだよ、石化するぜ。」
「石化ねぇ」
米屋は苦笑した。店主がコトンと丸まった幼虫の入ったショットグラスを米屋の前に置いた。
グローブのような手で小さなグラスを掴むと、落ち着かない様子で、何となく詩人をチラ見する。店主はフと笑い。
「万能の天才でさ、ゲイなのに女描かせると妙に上手い奴がいたやろ?名前なんだったっけなぁ?」
「知るかよ」
米屋は幼虫を空になったグラスから摘み上げ、口に放りこんだ。
「美味ぁ、…しかし、男にデリカシーの無い女やなぁ…」
店主は笑った。
「違うんだよ。お地蔵さんなんだよ。お地蔵さん。」
「はぁ?」
米屋は首を捻った。
「お地蔵さんは凄いとぜぇ。道端にぽつんと、つっ立ってるけどな、地獄の底までとことこ歩いて救いにくる。だからなあ。皆で毛糸の帽子やお団子なんぞを供えてな。今日も一日何となく、がんばりましたって手を合わせればいいんだよ」
米屋は笑った。
「あの、小娘は元気かい?」
「あぁ、春?相変わらず口はきけねぇが、ガキ共の世話やら、店の金勘定まで手伝って女房が手放そうとしないよ。…でもなぁ、あの詩人が師匠で、あの歌を聞いちまったら、…海の彼方に出て行くやろうな…。」
店主はコーヒーを米屋の前に置いた。
「師匠から貰ったって、オリーブの枝の装飾のされた、大そうな銀のダガーを肌身離さず腰にぶら下げてな。若造はどうだい?」
店主は頭を振った。
「長くねぇなあ」
米屋は視線を落とし黙りこみコーヒーを飲んだ。
詩人が歌い始める。
Un amor... Un amor vivi...
llorando...
店主は葉巻をシガーカッターで切りくわえて、マッチで火をつける。
y me dicias las paladras de Dios
「地獄に落ちても、救いにこいよ、イレーゼ…。」
紫煙は天井にふわりと消えて。
larando por ti ...




