第四話 ネコーズ VS 怪人赤マント その一
ネコーズ達と夏美は、問題の学校へ向かおうとする。
すると、玄関のチャイムが鳴った。どうやら、誰か来たようだ。
「犯人かしら? 堂々と尋ねて来た?」
脅える夏美を部屋に残して、ネコーズはインターホンに出る。
「はーい。どちら様ですか?」
「この辺の近所に住む者です。今日は聖書から一つの良い言葉をお伝えしていました」
「あ、聖書の知識は、誰よりもあると自負しているのでお断りします。
一応、神獣なんで。偶に機会があったら、神のしもべになりますよ。
今は依頼もないから、副業で探偵業しているけど、本業で神の預言者なんで……」
「そうですか。頑張ってくださいね!」
お客さんは帰って行った。
ネコーズとモコソンはその話題で話し出す。
「ふー、ただの聖書研究生だったか。熱心も良いけど、こういう時に来ると怖いニャン。
夜八時以降とか、怪談読んだ後とかは、ドキドキするよね♡」
「まあ、多くのお年寄りの人は誤解しているけど、ターゲットは若い人じゃないからね。むしろお年寄りこそ、今必要な戦力だよ!」
「ああ、死期の短いお年寄りを親切にすれば、仕事で出払って、お年寄りをないがしろにしている若者より、遺産相続分がもらえる可能性が出て来るからね。
最後の方だけ親切にすれば、親族に問題のあるご家庭のお年寄りなんかは、そちらの方を援助したいと思うからね。
全ての人がそう思っているわけではないだろうけど、今は金が無くて焦っているようだし、実質的にそういうので金銭を集めるのが有効だよね。
まさに、今のニーズを先取りしているニャン。
金持ちのお年寄りなら、数百万円から数億円まで、遺産相続や保険受取人の対象になれるからね」
「まあ、実際には、遺産を慈善団体に譲渡する個人は減ってしまったけどね。
不況の今は、自分達が食べて行くので精一杯の様だ。
だが、こういう宣教に熱心な宗教の慈善団体によって、詐欺などの犯罪が減っているのも事実だ。
気軽に、最近あった出来事を話し合って、対策を教えられるからね」
「向こうは、そういうつもりで宣教しているんじゃないと思うけどね。
純粋に、人助けがしたいと思っている人もいるニャン。
家庭崩壊の人とか、若者とか、うつ病の人とかには、とても感謝されていると思うけど……。
まあ、僕達動物には、全く関係ないニャン!」
ネコーズ達は話を終えて、問題の学校に行く準備をする。
猫用コートを羽織り、帽子をかぶって向かう。
すると、ネコーズから助人が来るという連絡が入った。
「人面犬のマサノブが、助人に来るらしい。
あいつ、今仕事無くて無職だからな。
お金が欲しいんだろ!」
「じゃあ、ちょっと待ちますか?」
天草夏美の護衛を待って、合流してから向かう事にした。
夏美はその間に、ネコーズに訊く。
「あなた達は、普通の人間に成りたいとは思わないの? 」
ネコーズは、夏美の質問に考え込む。
「うーん、コナン君やエドワードは、元の身体に戻りたいと願っていたようだけど、僕は別に今のままでも良いかな。
可愛い彼女猫さえ見つかれば、人間になる必要はないよ。
モコソンは、元人間だから戻りたいのだろうけど……」
モコソンは、少し間を空けて言う。
「実は、僕は人間に裏切られ、絶望していた。
戻りたいとは思うけど、僕の中にはまだ本当に戻りたいと思う心は無いように思える。
結論から言うと、今はまだ戻りたくないという感じだ」
「モコソンは、人間の嫌な部分を見てしまったからね。
おそらく僕達が元の姿に戻るのは、人間の素晴らしさを理解した後なんだろうね。
それまでは、心の中で戻りたくないと感じているはずニャン!」
ネコーズがそう言うと、夏美はうっとりとして言う。
「そう、人間の女性に恋をすれば戻れるかもしれない。
そういうことね、意外とロマンチックだわ……」
「なるほど、モコソンが綺麗な女性に引かれるのもそのためなのか。納得したニャン!」
「いや、そういうわけでもないけど……」
そんな話をしていると、護衛のマサノブが到着した。
忍者のコスプレをし、刀を背中に付けている。
「ボス、遅れて申し訳ない。まだ、身体が慣れていなくて……」
夏美は嬉しそうにほほ笑む。
見た目は犬、頭脳は大人なマサノブが仲間に加わったのだ。
「いいえ。来てくれて嬉しいわ。私を守ってね!」
「はい! 命に代えても守ってみせます!」
マサノブは、直立歩行で敬礼する。
どうやら、二足歩行が慣れてきたようだ。
「後は、ちゃんとした仕事さえ見つかれば……」
「私の喫茶店で働いてみる?
身体を綺麗に洗っていれば、ウェイトレスとして雇って見ら得ると思うけど……」
「本当ですか?」
「ボーナスもあるよ」
こうして、マサノブの職場が決定した。
「どうやら、幸せそうにやっていけそうだね。
この前会ったときとは、別の犬のようだニャン!」
ネコーズの姿を見て、マサノブは喜ぶ。
「はい! ネコーズさん。
おかげさまで、良い職場に有り付けました。
こんな姿の俺を、夏美さん達は人間のように扱ってくれて……。
ほら、ボーナスまであるんですよ!」
「今度、飲みに行くニャン。君のおごりで!」
「へい! 良い居酒屋を紹介させていただきます!」
「じゃあ、チャッチャと事件解決と行くニャン!」
夕方になり、辺りも暗くなって来たので、ネコーズ達は急いで学校へ向かう。
果たして、怪人赤マントとは何者なのであろうか?
ネコーズ達と天草夏美は、人面犬マサノブを連れ、赤マントが現れるという高校へ着いた。
すでに夕日は沈み、辺りは暗くなり始めている。
常人には、恐くて立ち入ることのできない恐怖のスポットと化していた。
「学校の許可は取ったから、いつでも入れるわよ。まずはどこに行きましょうか?」
夏美は学校のカギを持ち、ネコーズに尋ねる。
やはり友人がいないと怖いらしく、ちょっと小刻みに震えている。
「じゃあ、とりあえず、夏美さんが以前に入ったトイレに向かうニャン。
犯人は現場に出没すると言いますし……」
「そうね。怖いけど、行ってみるわ」
ネコーズ達一行は、例のトイレに向かい歩き始めた。
すると、モコソンが尋ね始める。
「以前に入った時は、大でしたか? それとも小でしたか?」
「え? その質問は必要かしら?」
「いえ、個人的な興味ですよ、僕の……」
モコソンの暴走に、マサノブがキレる。
「夏美さんが学校で大なんてするわけないだろ! 小ですよね、夏美さん」
「ええ、小の方よ。夜は寒かったし、やむおえずね……」
「そうか……」
ネコーズはモコソンに注意する。
「おいおい、モコソン、推理に参加するふりして、個人的な趣味に走るなよ。
迷惑ニャン。
僕も気にはなったけど……」
「いや、トイレに入っていた時間の目安くらいにはなるだろ。
小ならせいぜい二分といったところだが、大なら最低五分は必要だからな!」
「まあ、そうだな。便によっては、体調なんかも分かる。
医者としては、こだわりの部分なんだね?」
「そうなんだ。分かってくれたかい、夏美さん?」
モコソンは、夏美に理解を求めた。
「ええ、セクハラには入れておかない事にするわ。次からは、気を付けてね!」
そうこう話していると、問題のトイレに着いた。
ネコーズとモコソンは、トイレ掃除を始める。
「よし! 夏美さんがトイレに入られるのだ。
ちゃんと綺麗にして、大でも小でも出来るようにするんだ。
マサノブと夏美さんは、ちょっと待ててね!」
「はあ、ありがとう……」
そう言って、ネコーズとモコソンはトイレに入って行く。
「ふひひひひ、更に監視カメラをセットしておきますよ。
問題が発生した時は、これで事件の発生を知ることができるし、夏美さんが僕達の報酬を知らないと言って誤魔化そうとした時の対処法など、色々使えますからね。
まずは、トイレの便器の前、トイレの上、窓ガラスの見易い所、いろいろな角度から夏美さんを映しますよ。
今回は、後ろも危険と思い、背後の画像もバッチリです。
これで、夏美さんのプリケツもバチッリ……、いえ、背後の防犯もバッチリ映ります!」
「ふむ、まあ、夏美には、防犯カメラの存在を知らせない方が良いだろうな。
その方が、犯人も油断することだろう。よし、セットしたら出て行くニャン。
夏美には、十分くらいは入っていてもらおう。その方が犯人も、油断するだろうからね」
「マサノブは、トイレの手洗い場で待機とさせますか。
何かあった時は、身代りくらいにはなるでしょう。
犬って奴は、ご主人のためなら死をも恐れない奴だから……」
こうして、天草夏美を使った赤マント囮作戦の準備は整った。
ネコーズに指示され、夏美とマサノブはトイレに入って行く。
マサノブは、手洗い場で待機をし、ネコーズとモコソンは、専用のモバイルで夏美を見る事にする。
これは、夏美を守るためであり、決して覗きではないのだ。
ネコーズとモコソンは、モバイルに注意を集中する。
「お、夏美さんがトイレに入ったニャン。
それにしても、あいかわらず良いケツしているな。
犯人が付け狙うのもうなずけるニャン!」
「あ、ついにスカートを脱ぎましたよ。
オレンジ色のパンティーが露わに……。
ここで、ちょっと違和感があるのか、止まっています。
早く一気にパンツまで脱げよ!」
「モコソン、夏美に集中するのも良いが、周りにも気を配るニャン!
奴は、すでにトイレ内に侵入しているはずだ!」
「はいよ。おお、ついにプリケツを出しましたよ。
プルンと、ちょっと揺れました。オッパイのみならず、尻も肉付きが良いですね。
惚れ惚れする身体つきです!」
「ん? トイレの上の方で、何かが動いている気がするニャン」
「そうですか? 音はあまりしませんけど」
「いや、微かだが、何か引きずる様な音がするニャン。
猫の僕にしか聞こえないのかもしれないが……」
すると、突然に、夏美が叫び声を上げた。
ネコーズとモコソンは、急いでトイレに向かう。
するとそこには、トイレから急いで出たのか、半ケツ状態の夏美が脅えて、座り込んでいた。
夏美は、トイレの上の方を見て、何かを訴えているが、恐怖で声が出ていないようだ。
ネコーズは、犯人が分かったのか、犯人の名前を叫ぶ。
「そこまでだ! 夏美を付け狙っていた犯人はお前なんだろう、モコネコ!」
モコソンは、夏美さんにスポットライトを当てる。
男のさがだ、分かっていても、夏美を見たくなってしまうモノなのだ。
ネコーズは、モコソンのライトを奪い取り、犯人を照らし出した。
「よくオイラだと分かったな!
脅える夏美の様子を見て、楽しんでいたというのに……。
これは、オイラと夏美の問題だ。部外者は引っ込んでいてもらおう!」
「いや、明らかに不法侵入だし、ストーカー行為も犯罪ニャン!
黙って見過ごせるものか!
そんな赤マントをかぶって、変装したつもりだろうが、僕の目は誤魔化せないぞ!」
「どうやら、ここで決着を付けるしかないようだな。勝負だ、ネコーズ!」
ついに、ネコーズとモコネコが対峙する。
はたして、勝つのはどちらなのだろうか?




