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 結論から言うと「亀」はフェンリルが何処にいるか知らなかった。


話が出来た「亀」はなんと固有名詞まであり、名前を「プロア」といった。


プロア曰くフェンリルの親が子を探しに来たこともないとのことで、方向が違うのではないか?と言われた。


俺達は町からみて西の方の山腹にいる。此方ではぐれたなら自分の所にも聞きにくるだろうが、来ていない所をみると反対側なのではないか?と…





亀もとい「グレイミルト」は長命種で500年位は生きる(因みにプロアは現在400才位らしい。自分でもはっきり覚えてない)。土と水の魔術を扱い、沼地は自分で作り出す。長く生きている個体ほど魔力が多くなり縄張りは広い。

知能の低い魔物が沼地に入り込んだ獲物を泥で捕らえ捕食する。

好戦的なわけではないが縄張り意識は強く、入り込んだ者には容赦しない。


そんなプロアが何故素直に会話に応じたのかというと、レイの怒気を当てられたからに他ならない。


ミオの話しで感情のまま無意識で、怒気を当てていたレイ。プロア自身が何かしたわけではないので理不尽だが、知能が高いだけにレイの強さや、ミオの魔力を感じ取ったプロアは、早々に勝てないと悟り対話に応じた。



フェンリルの話を聞いている内に腕の中のミオも落ちついたようで、レイとしてもひと安心だ。


『して、お主妙な力を感じるのだが?何者か?』


「んあ?俺?まぁ色々混じってる感じかな?」


『ふん。純粋な人ではないのはわかるが…お主、まだ力が覚醒しきっとらんようじゃぞ?』


「…どういうことだ?」


『うーん。どう言ったもんか…そうじゃな…お主の中に封印されている箱があるといった感じかのう?まあ、儂程度ではなんとも出来んし、嬢ちゃんの魔力でも無理じゃろうが……そうじゃな、古竜ならなんとかできるやも』

「…なんともする気はない。」


レイの応えに驚いた顔をするプロア。

人と言うのは貪欲で、既に十分な物を持っていても、それ以上を求める者がほとんどだ。


魔物である自分も人に狙われたのは、一度や二度ではない。

最近?は流石に狙われることは無くなったが…


『今以上の力が手にはいるとしてもかのぅ?』


「俺はミオと平和に暮らせればそれでいい。今ある力で十分だ。」


『まあ、確かにお主は強いようだしの。だが、今のお主より強い者が居ったらどうする?』


「………居るのか?」

レイはこの世界に自分より強い者もいるだろうが、それは竜に連なる者だろうという予測があった。そして竜に連なる者なら戦闘にならないだろうという予測()があったのだが…


『ふむ…竜族は強いぞ。同族同士でもよく争っておるしのぅ。まあ、余りやり過ぎると古竜に怒られとるようだが』


「……それは喧嘩じゃないのか?」


この世界の竜は何をやってるんだ?というより、それだけの数の竜がまだ生息しているのか?

日本では伝説もしくは物語の中の生き物だった。

前の異世界ではほぼ絶滅していた。

この世界でもギルドで見た図鑑のようなものに少し載っていただけなので、数は少ないのだろうと思っていたのだけど、勘違いか?


レイのいう「竜」とは、純粋な竜だ。

この世界でも、前の異世界でも翼竜の「ワイパーン」や地竜の「アースドラゴン」、水竜の「アクアドラゴン」などはある程度の個体数がいる。


翼竜は恐竜の「テラノドン」に、地竜は「ステゴザウルス」、水竜は「ネッシー」にそっくりだ。


最後のネッシーは例えが微妙だが……

そういう「竜」はレイの中では「竜」ではない。


いや、レイの中の「竜」としての本能が同族と認めない。

属性として「風」「地」「水」を持っているものと「それ」らは別物である。


「それ」らなら仲間内での喧嘩くらいするだろう。

前の異世界でもやってたし、力の強い者が群のリーダーになるのは群としての生存本能だろう。

だが「竜」は群ない。

最大の群は家族である。

父親、母親、子。

子も成人(?)すれば巣立ち、番が見つかるまで一匹で旅をする。番が見つかれば、生活や子育てしやすい環境を探し巣を作る。そうして子が出来、巣立ちを繰り返す。


だが、長命な竜はなかなか子が出来ない為、個体数はそれほど増えない。

おまけに独立したばかりの竜は人や魔物に狙われやすい為、番を見つけられない者も少なくない。


それほど数を増やすのが大変なはずの竜が沢山いるのか?というレイの疑問は、すぐに解消されることになる。






レイの体が硬直する。ミオを離すことはないが…


それに一瞬遅れてフェンリルが耳を伏せ、毛を逆立て、抱いているミオに分かる程に震える。


そしてプロアも硬直する。

強大な気配が近付いてきていた。










強大な力の気配を隠すことなくレイ達の前に現れたのは、真っ赤な鱗を纏った巨大な竜だった。


物語の挿し絵でみるような立派な「竜」

その竜を前に4者4様の反応を示す。


まず声を挙げたのはミオだった。

「綺麗〜」

真っ赤な鱗が光りを反射し、キラキラ輝く。

目はもちろん爬虫類を思わせるが、レイで慣れているミオにはどうでもいい。レイは金色だが、この赤い竜の目は紫に近い赤だった。


次いで声を挙げたのはプロア。

『こ、これは赤竜様。如何なされました?』



そして辺りに重厚な声が響く……


『久しいなプロア。何、同族の気配がしたので来てみたのだが……何故人の姿をしておる?』



レイはびくっと肩を震わせた……


そしてゆっくりと赤竜へと向き合い視線を合わす。


「始めまして?俺はレイだ」


『おお!忘れておった!始めましてだな。我は「マジェ」だ。して、何故に人形なのだ?』


そこから離れることはないようだ……


「俺は「人」だからだが?」


俺の返答に(マジェ)は怪訝な顔で俺を凝視する…少しの間沈黙が場を支配する。

だが、唐突にレイの頭の中に声が響く…


『ふむ。何か話せぬ理由があるのか?そなたの中で力が封印されておる…いや…自分で封印しておるのか?何故じゃ?これなら他の者には聞こえぬゆえ、ゆうてみい?』


沈黙を貫くレイに焦れたマジェは


『レイと言ったな?沈黙はお前の番の為か?』


その言葉に僅かに反応するレイにニヤリと笑い


『やはり聴こえておるな。これは竜にしか聴こえぬ念話じゃ。これが聴こえておるという事は竜に連なる者だという証し。

取り敢えず、我に着いて来い。場所を移して話そうではないか?』


「こ『断るというのはなしじゃ。』…」


レイは暫く(マジェ)と睨みあったあと、渋々頷いた。


「あー、プロア。フェンリルの話は助かった。もし親が来たら子は無事だと、捜していると伝えてくれると助かる。」



『心得た。元気での。お嬢もな。』


「うん。プロアさんも元気でね」


そう言って軽く手を振るとレイを見て少し首を傾げる。


「一緒に行っていいのかな?」と聞くミオに


「駄目なら行かないさ」


そう言って(マジェ)を軽く睨み付けるレイに


『勿論、一緒でかまわんよ』と、愉しげに応える(マジェ)


それに嫌そうな顔をしながら、ため息を1つ尽くレイに、またもやミオが


「幸せが逃げるよ?」と…


レイは脱力しながらマジェに着いていく事になった………









読んで頂きありがとうございますm(__)m

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