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 「ちょっと話しときたい事があるんだ…」


今は日本で言う10時頃。この世界では深夜と言って過言ではない。

レイは比較的に常識がある方なのでこんな時間に他人を訪ねる事はない。

だからこそアルは何か大事な話しだと思った。


ちらりとフィンに目をやると軽く頷く。


「どうぞ。開いてますから入って下さい。」


ドアが開いてレイが入ってくるが、フィンがいるのを見て驚き、一瞬戸惑った顔をした後


「あーっと邪魔したか?」


「いえ。暇なので少し話してただけですから。」


「そうそう。遠慮すんな。」


「私の部屋なのでフィンに言われるのは…で?こんな時間に話しとは?」


フィンがいるとは思っていなかったレイはどうしようか一瞬迷った。


アルとは違う意味でフィンの事は信用している。


アルが親ならフィンは兄弟のようだ。

日本にいる時には縁のなかったもの。

また、前の異世界でも「勇者」の「仲間」はいたが「零」と「澪」の仲間はいなかった。


感でしかないが、アルとフィンをレイは信じている。


「あー。俺部屋に戻るわ」


そう言って立ち上がりかけたフィンを手を上げて留める。


「いや、フィンも聞いてくれ。」


「レイとりあえず座ったらどうですか?あと、ミオは?」


「ミオは部屋で寝てる。フェンリルが番をしてるし何かあったら心話が入るから大丈夫。」


そうして話し始めた…


自分と澪が異世界から来たことから……


異世界「地球の日本」から来たこと。

異世界は初めてではないこと。

以前は召喚されたが、今回は何故この世界に来たのか解らないこと。


そして……


「ドラゴンですか……」



零が竜の力を手に入れたのは事故だった。


竜の曰くがある素材を幾つか集め、それを錬金術で合成し対ドラゴンの強力な武器を造る予定だった。

零が使う予定の剣を…

素材の中に有った竜の力が強大過ぎたのか、術者の力が足りなかったのかは判らないが、結果として錬金術は失敗に終った。

術者は死に、その場にいた零も死にかけた。


だがどうやってかは判らないが、素材に込もっていたはずの竜の力が零に宿り、結果としてそれが幸いとなり零は命拾いした。竜の強大な生命力によって……


素材としたのは4大属性と言われる火、風、地、水の属性竜の竜珠。

古代竜と言われる神にも匹敵するような竜ではなく、まだ若い竜ではあったが竜は竜である。


その強大な力を身に入れてしまった零は暫く寝込んだ。

以前の異世界での生活が長くなってしまった一因でもある。


起き上がれるようになってからも、身につけた強大力を使いこなすのに時間を有した。

なにせ少し興奮したら口からドラゴンブレスが出るのだ。


ある時などすれ違い様に少し揶揄され、それにカチンと来てしまい

「はぁ?」と。自分ではそう「言った」と思った瞬間ファイアーブレスが出た………あの時はまじでびっくりした。

聴力も上がっていたため、少し離れた所で澪の悪口を言っていた貴族をブレスで溶かしそうになったりもした。

幸い怪我人は出なかったが、流石ドラゴンのブレスという事か、壁が一部溶けていた。

ドラゴンブレス半端ねぇ…


自分の意思でブレスをコントロール出来るようになり(ブレスは火しか出せない)風を纏い飛ぶ練習をした。


水竜の力で魚のように水中を泳げるし、土竜の力で洞窟内や地下では中の事が手に取るようにわかるし、多少?地形を変えることも出来るし鉱脈も簡単に探せる。


聴力やその他の力も自分でコントロール出来るようになるまでにかなり物を壊したのは、今では澪と笑い話である。


元々の身体能力に加え、異世界転移の恩恵で上がっていた身体能力は竜の力がプラスされたことによって、それこそ古代竜と闘えるんじゃないか?という程になった。


それまでもバスターソードなど大型の剣を使っていた零だが、その力に耐えられる剣がなかったため拳が武器になるのに時間は掛からなかった。


元々、身を守る為に本等を見て自己流だが練習をしていた零。

身体能力が高いのも相まり、実戦を重ねあっという間に自分の形を作り上げた。


竜の力を思いがけず手に入れた零に対する回りの反応はそれぞれだった。

畏怖する者、好奇の目で見る者、嫌悪する者等が殆どで、旅の仲間達ですら接し方に戸惑っていた。

その中で澪だけが変わらなかった。

「強くなっても零は零でしょ?」


そう言って自分の側にいてくれた。

まぁ、その話は置いておくとして…




「ミオが正しいですね」


「まあそうだな。っていうか異世界ってなんだよ?!」


「私もそちらの方が気になります。確かに出逢った時変わった服装をしていると思いましたが、あれがレイ達の世界では普通の服装なのですか?」


……俺が意を決して話した竜の力の事より「異世界」に興味津々な二人に脱力する。


「ってか、二人共俺の話し信じてくれるのか?」


「嘘なのですか?」


「いや事実だけど…」


「話しを聞いて腑に落ちる事が沢山ありますからね。」


そう言って笑うアル。


「お前とミオがなんか抜けてる理由が分かった」


フィンもそう言って笑う。


それから暫く異世界(現代日本)の話しをした。


レイとミオが着ていた服は体を動かす時に着る服だとか、魔術はない事、馬車も今は走っていなくてその代わり車という鉄で出来た馬のいらない馬車?のようなものが走っているとか…


随分遅くなったので、改めて明日また話しをしようということで、レイとフィンは部屋に戻った。






「まさかの『異世界』ですか…まあ明日ですね。レイ達は帰るのかどうかもわかりませんし………」


アルはますますレイ達に興味が出てしまった自分を落ち着けるように呟いてベッドに上がった。







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