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21、やめて〜!

相変わらずのカタツムリ進行です(; ̄ー ̄A



 森の中をガタガタ馬車は行く。馬車の中ではガイスト達が武器の手入れをしている間、澪とエルはお互いの魔術のことを話ていた。

「ミオちゃんの氷すごかったねぇ。キラキラしててでも、私の火の邪魔をしないで」

どこかうっとりしたようにエルが言うと

「いえいえ、エルさんの浄化の火は凄かったです」

と、ミオもエルを誉める。

誉めあいしている女二人の側で、フェンリルは何故か落ち着かないようでソワソワしてるように見えたが、ミオが離れていたからだろうとガイストは気にしないことにした。

 街道とは違い道は所々木の根で盛り上がっていたり、でこぼこしていて乗り心地は最悪のはずなのだが、ミオが馬車に重量軽減と振動軽減の魔術をかけているので、街道を走ってるのと変わらない程度の振動しかないので話をしていて舌を噛んだりする心配もない。


普通の魔術士ならそんなことをすればあっという間に魔力切れを起こすが、そこはミオである。前の異世界の時でも魔力切れ寸前まで追い込まれたのは魔王との直接対決の時だけである。


下弦の月のメンバーは呆れもしたが


「森を馬車で移動って最悪だ!って思ってたけど、ミオ様様だな」

と言って喜ぶフィン。


「これ街道で使ったらもっと早く移動出来たんちゃう?」

ソラはそんなことを言い


「武器の手入れは野営場所まで無理かと思っていたがありがたい。森の中はいつ魔物がでるかわからんからな。」

というガイストは流石リーダー。


エルは

「お尻が痛くならなくてうれしいワ。」

と喜んでいた。


馬達も道が悪く走り難いが、馬車が軽く感じるので負担は軽く軽快に森の路を走っていく。


 馭者席にいるアルも馬が機嫌良さそうに走ってるのをみて一安心だ。


アル達がいない間になにがあったのか解らないが、フェンリルも前のようにレイに敵対心がないようだ。

概ね順調な旅…かな?


オーガのことはイレギュラーだったけど。


「それで?レイは私達がいない間、ずっとフェンリルを構ってたんですか?」

フェンリルを手渡された時の複雑そうなレイの顔を思いだしながら聞く。


「ずっとっていうか、まぁ…」

いくらか少しの間とはいえ、馬車から離れたレイの返事は歯切れが悪くなる…


「何かありましたか?」


自分に対しては正直なレイの歯切れの悪い返事に訝しげに聞くアル。


どうせギルドに行ってカードを出せばバレてしまう。話しておいたほうが後からバレるよりましか…アルは機嫌が悪くなると結構厄介だし…


「実は…」と話し出したレイにアルは呆れることになる。








 オーガキングは背丈は他のオーガと変わりないが、腕の太さはレイの腰回りほどあった。

手には鬼が持っている棘の付いた鉄棒のようなものを持っている。

あの腕で振り回される鉄棒だ、かすっただけでも大怪我、防御力の低いものなら一撃で死んでしまってもおかしくない。


 「掴まってろ」フェンリルにそう言ったものの、フェンリルは猫ではなく狼だ。

爪の形状が違うため攻撃にはいいが、掴まるのには無理がある。

落ちそうになったフェンリルを抱え直して片手で剣を抜く。

…両手剣のはずだが、レイには関係ない。

西洋式の両刃で切ることも出来るが、日本刀のように切る事に特化している訳ではない。

「突き刺す」

手早く終らせるには急所を見極め、正確に急所を突く。それしかない。


レイにはそれが出来た。


オーガの急所は依頼を受けた後の話で聞いていた。

「頭」だ。体に見会わない小さな頭。普通の冒険者には、大きな体の上にある小さな頭はそれだけで狙うのは困難だ。

普通はヒットエンドランを繰り返し、オーガが膝を付いたところで頭を狙う。


だが、レイはそんなまどろっこしいことはしない。


木の上だと足に力を入れた時に枝が折れる可能性が…というか、レイが力を入れて蹴ったら絶対折れる。

レイはオーガキングの背後に回り込み軽く跳躍して一度地に下り、そのまま地を蹴りもう一度跳躍する。オーガキングの頭目掛けて………


トンと軽く地を叩くような音がして、オーガキングが振り向く。

オーガキングが最期に目にしたのは焦点の合わない程近くにあった剣の切っ先だった。


声も上げずに倒れたオーガキングに、側にいた二体のオーガは首を傾げるが、傾げた瞬間一体のオーガの顔から剣が生える。

そこで初めて敵がいることに気が付いた最後のオーガは次の瞬間、オーガキングと同じように顔を剣につらぬかれ、息絶えた。


あまりの速さにレイは返り血すら浴びていない。


剣に付いた血糊を剣を振ることで落とし、落ちきらないものはそこらの葉っぱで拭った。










話を聞いたアルは眉間を指で抑えながら

「で?どれくらい馬車から離れていたのですか?」


「えっ?たぶん10分にはなってないとおもぅ…」

接触するまでと様子を伺ってた時間と戦闘時間、それから戻ってくる時間を考えると多分それくらいだと思うだが…だんだん尻窄みになっていくレイの声。


「素材は?馬車には乗っていないようですが?あとキングが持っていた武器は?」


「はっ?時間ないから素材とってないし、武器ってあの鉄棒?持ってきてないよ?」


「………馬鹿ですか?」


「え?アルひどくね?」


「いえ、間違いました。」


うんうん。そうだよね。いくらアルでも人を馬鹿よばわりは…


「馬鹿でしたね。わざわざ馬車から離れたのなら、素材は無理でも相手の武器くらい拾ってくるでしょう。ゴブリンやコボルトなんかの武器でさえ換金できるのを知ってる人が、オーガキングの武器を拾ってこないなんて普通はありえません。」


ああ、普通でもなかったですね…


というアルの毒舌は、その日の野営場所に着くまで続いたのであった。


レイの心をへし折りながら……………








読んで頂きありがとうございましたm(__)m


 アルさん怖い((((;゜Д゜)))

力で来るガイストタイプには強いレイも、アルみたいなタイプは苦手というか………

レイは極力怒らせないでおこうとはするんだけど………


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