17、追ってあらわる
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馬車が再び走りだし、レイ達がイルマを出て一日半程が過ぎた頃、イルマの街ではレイ達を捜している人物がいた。
正確にはレイ達が連れているフェンリルを捜しているのだが…
実はレイ達がイルマを出発した日の昼にはイルマに入って門番から仔犬のような魔物を連れた冒険者の話を聞き、すぐに冒険者ギルドへ行ってみたのだ。イルマは大きな街だが冒険者ならばギルドに聞けばすぐに判るだろうと。だが冒険者個人の情報はギルド幹部もしくは、最低でもギルドの個人ランクがA以上でないと教えられないと言われ、捜し方を代えたため手間取っていた。
ちなみに「教えられない」と断ったのは「眼鏡の銀行員さん」である。
何気にグッジョブである。
一応ギルドには本当にそういう決まりがあるのだが、教えてしまうギルド職員は結構いる。
冒険者はそれこそいろんな所へ行くため、違う街などで知り合った人間が拠点としている街を教え、なにかの用事でその街に来た人がその街を拠点にしている冒険者に連絡を取るには、冒険者ギルドを利用するのが手っ取り早い。
そういう風に利用する者が結構いるので、簡単に教えてしまう職員も多いのである。
それに、訳ありの冒険者など掃いて捨てるほどいるのだから一々気にかけていられないという本音も見え隠れするが…
受け付けで対応した眼鏡さんは、人相等から捜し人はレイ達だと気が付いた。男女の二人組で女の方は珍しい綺麗な長い黒髪。男の方は黒っぽい茶髪。先日依頼から戻って来たとき、ミオが犬のようなものを抱いていたのを見ている。
積極的にギルドの依頼を受ける訳ではない二人だが、入って直ぐに貴族のお嬢様とのイザコザがあった事や、登録時あの「アルザス」が一緒だった事。
その後もガイストを初めとした「下弦の月」のメンバーが気にかけているようなことから「期待のルーキー」かもしれない!とギルド職員の間では、結構有名だったりする。
実は、いろんな素材を商人ギルドに持ち込んで売っているのもギルドでは掴んでいるが、この街で冒険者登録をしたばっかりでお金もないのだろうし…とお目こぼし中だったりする。
街に到着して直ぐに登録に来たとき、冒険者としての装備の1つも持っていないどころか、手ぶらであった。冒険者の装備を整えるには、最低の物であっても銀貨10枚はいる。そこそこ使えるものならその倍はいるし、上はみればきりがない。それが二人分なのだから……
今、街を離れているのはガイストから聞いているので知っている。
どんな用件かはしらないが、早くて一月。長くても二月にはならないと聞いている。
現在イルマのギルドには高ランクパーティーへの依頼が少なく下弦の月がいなくても問題無い。
それでもガイストがギルドに報告しているのは、高ランクの冒険者が依頼ではなく、長期に街を離れる場合ギルドへの申告が義務づけられているためだ。有事の場合の戦力の把握はギルドの優先事項でもある。有事の場合なるべく速やかに街に戻らなければいけない。
街を離れてもギルドのある街に着けば、ギルドに一応顔だけは出すという決まりもあるので、連絡を取るのは難しい事ではない。なので依頼がない時に高ランクパーティーが街を離れるのは結構ある事である。
今回はレイ達が一緒だというだけだ………
冒険者ギルドで情報を得られなかった男は、冒険者が集まる酒場にいた。
ギルドが口が固くても冒険者はそうではない。
それを知っている男は冒険者から情報を得る事にしたのだ。
商人風の格好をした男は、日は傾いてきているが夕方と言うにはまだ早い時間に酒場に入った。
まだ早い時間のためか、4人組の冒険者らしきグループが一組と、2人組の冒険者らしき者、3人組の傭兵らしき者の3組しか客はいない。
傭兵らしき者は除き、2人組の方は男女の組合せだが、これは門番から仕入れた容姿とは違う。
男は緑、女はオレンジの髪だ。
そして、噂話などしなさそうな雰囲気。現に今も依頼に関しての話をしているようだ。
もう一組。4人組のほうは…こちらは少し酒でも奢ってやれば口が軽くなりそうである。
店に入って一瞬の内にそう判断した男は、迷わず4人組の近くの席に座る。タルというビールのようなものを頼み、4人組の話を聞くともなしに聞いていた。
最初は下世話などこの酒場に可愛い娘がいるとか、どこそこの娼婦がいいとかそんな話をしていたが、話がやっかみ混じりになっていく。
そして「下弦の月」のエルの話しに…
「いい女だよなぁ」
「ああ!一回でいいからお願いしたいもんだぜ」
「あぁ?止めとけ止めとけ。ガイストに殺されるぞ」
「あぁ〜。やっぱりなぁ」
「だったら、最近よく一緒にいる黒髪のちっこい女はどうよ?」
「はぁ?お前あれならあっちの酒場の娘のほうがいい女だろうが?!」
「「「ちげぇねえ」」」
そういってガハハと笑う4人組。
レイが聞いたらぶちギレそうな会話である。
その会話を聞いていた商人風の男が動く……
『あの〜。ちょっとお訊ねしますが、その黒髪のお嬢さんにはどこにいったら会えますか?』
「はぁ?なんだお前?」
『いえ、実はこの間私の主人が、森の近くを通りかかった時に魔物に出くわしまして、黒髪のお嬢さんに助けていただいたのですが、名前も告げずに立ち去ってしまわれて、お礼がしたいと探している所でして』
「あぁん?そんなの知ったことか!」
「ま、俺達にゃぁ関係ねぇなぁ」
『まぁ、そういわずに。タルをお飲みですか?もう一杯いかがですか?』
「はぁ?お前そんなもんで俺らを買収しようってのか?」
『いえいえ。これはお近づきの印です。』
「ん?そうか?ならいただくか。」
「おう。気が利くじゃねぇか。」
そういって何杯か盃を重ねていくうちに、冒険者達は饒舌になっていく。
そして、黒髪の女を捜すなら「下弦の月」の常宿に行ってみろ。ということまでさぐり、宿の名前をなんとか思い出させることに成功した。
「泊まり木亭」
場所までは覚えていなかったが、宿の名前がわかれば探すのは容易だ。
もう今日は遅いので明日になるが……
後は簡単だな。聞けば駆け出しの冒険者らしいから、金を掴ませるか、もしくは力ずくでも問題無いか…
冒険者だしな、事故はつきものだしな…
クックックと喉の奥で笑う男を見ている者はいなかった。
まあ、その時点でレイ達は既に街にはいないのだが、それをその男が知るのは次の日、宿を捜しあて「下弦の月」のメンバーを張っていたが誰も出てこないため、宿に「下弦の月」のメンバーがいるかどうか聞いたら店主に
「おう、昨日の朝に出ていったぞ。一月くらいは戻らないな。なんか用なら帰ったら伝えといてやるが?」
と、言われ昨日の酒場と同じように黒髪のお嬢さんに用がある事を伝えると、
「ん?ミオか?ミオも一緒だぜ?」
……………
後手後手である………
取り合えず北に向かったらしいというのを聞き、急いで仲間と連絡を取り
準備を整えレイ達の後を追って街を出たのは次の日の朝だった。
レイ達が街を出てからまる2日後の事である…
ええ。エルさんは超がつくいい女です!
ミオも負けてはいません!と言いたいところですが…………
いいんです!レイにとってはミオが一番なのです!
頑張れミオ!負けるなミオ!明日に向かって走るんだ!(違




