16、じっと我慢の子
遅くなってすいませんm(__)m
ちょっと忙しかったので、次は水曜日か木曜日あたりに……
また、お気に入り登録して下さったかたが増えていて、凄く嬉しいです!ありがとうございます( 〃▽〃)
ガタゴト馬車は行く。
イルマを出て2日目。明日には次の町に着く予定。
片側は森、片側は平原というなかなかに飽きのくる道中は、魔物や獣の襲撃もなく、順調に進んでいる。
目下、皆の悩みはフェンリルの子をどう呼ぶか?である。これが結構切実でもし、仮名でもつけて、フェンリルがその名を気に入ってしまえば、使役獣としての契約が成ってしまうらしいので、おいそれと仮名も付けられない。
だが町中で「フェンリル」と種族名で呼ぶわけにもいかない。
名前がない時点で使役獣でないとバレる。
使役獣でない魔物を町中に連れて入るわけにはいかないのだ。
しかも捜している人間がいるかもしれず、使役されていないフェンリルの子供を連れていたなど、すぐに噂になる。
仮名でも本人(本獣?)が気に入れば契約出来るというのはびっくりだが、そういう場合五分五分の契約になり、気に入らない命令や指示には従わない。
通常は魔力を絡めて名を与えることで魔獣を支配し、契約者の意のままに動かすことができるようになる。
ミオが色々と名前を考えていた事を知っているレイは、心底ホッとした。
ミオがフェンリルと契約を結んでしまっていたら、相性の悪い自分はきっとイライラさせられていただろう。
今でもたいがいミオはフェンリルにかまけているのが気に入らないのに…
「めんどうやな…もう『子供』でええやん」
というソラの声に
「「ええ〜!!」」
と、そろって抗議の声を上げたのはエルとミオ。
フィンとガイストは我関せずで、アルとレイは馭者台にいて会話に参加していない。
当のフェンリルはミオの膝の上で頭をなでてもらいご満悦。
道中は、女二人を除いて男五人で交代で、馭者と警戒に当たっているのだが、レイが側にいるとフェンリルの子供が落ち着かなくなる(警戒体制になる)ので、基本レイは移動中は馭者台にいる。
勝手に警戒されてそんな待遇なのも、余計にレイの感に障るのだけど。
そんな長閑?な旅路にも、やっと?変化が起きる。
流石というか、やはりというか、一番最初に異変に気が付いたのはレイ。
「んぁ?お客様っぽいけどどうする?アル?」
「……どのくらいですか?」
「ん〜…2匹だな」
「距離と方向は?」
「距離は2k、森側だな。そこそこでかそうだぜ?」
「2k……本当に企画外な…レイ行けますか?」
普通、魔術師なら1k位の探知はできる。でもそれは止まった場所からで歩いていても少し精度は落ちる。まして馬車で移動中の上、レイは魔術師でもない。
「えっ?俺がやってきていいの?」
「…いけるでしょう?なるべく馬車を止めたくないですし。」
自分が見たものと、ソラからの報告などである程度のレイの実力は分かっている。
そのレイが「なにか」が来ると言いながら、緊張の1つもしないのだから、レイにとって脅威でもなんでもないものなのだろうと思って一人で行ってこいなのである。
実際はアルの想像の遥か上なのだが、それはまだアル達の前で全力で戦っているレイ達を見たことがないのでしょうがない。
んじゃ、ちょっと先行してくるわっと馬車を離れていくレイ。
レイとミオは今回の旅でガイスト達の前でだけは、力を隠さない事に決めた。
多分色々と気付かれているだろうから、隠し通すのは無理だし、面倒だ。
まだ一月位の付き合いだが、日本とは違い常に危険が付きまとう世界で、自分達のあらゆる知識を惜し気もなく与えてくれる人というのは貴重だ。
そして、日本でもけして恵まれた環境に居なかった二人は、人の悪意や敵意にかなり敏感だ。
特に女であるミオは、常に色んな危険にさらされていたので危機察知能力はずば抜けている。
その二人が「大丈夫」だと思うのだ。
もし、これで裏切られたとしても自分達がまだまだ青かったのだと諦めもつく。
順調な旅で今まで接敵がなかったので戦闘はしていないが、探知などは普通に(…)行っていた。
みんな、その探知能力にすら驚かせられていた。
まあ、ミオはフェンリルにかまけているのでレイに丸投げだ。
そんな自分の行動が自分を陥れてることに気が付いていないが、これはまた別の話し…………
馬車を離れ森に入って行ったレイを見送りながら、アルはガイストに声をかけておく。
「ガイスト接敵です。」
アルの声に一瞬で馬車の中の雰囲気が変わる。
どれくらい…と聞こうとしたガイストに被せるように、アルの声がする。
「レイが先行しています。仕留めたものの確認と、素材剥ぎだけお願いします。」
馬車が現場につく頃には戦闘は終わっているでしょうしというアル。
「「「「…………」」」」
フェンリルが顔を上げて耳をピクピクさせる。魔物に気が付いたのと同時に戦闘の気配。
それよりもう少し遅れて、ソラも気が付いた。
気が付いたが………
あっという間に気配が消えた……………
静まりかえる馬車の中でミオだけが通常運転。
耳をピクピクさせるフェンリルを見て「可愛い!」と、身悶えていた。
「フェンリルより気配察知早いってなんだよそれ…」と、項垂れるフィン。
ミオ以外の全員の気持ちだろう。
これまでも、森の中から魔物の気配はしたが、こちらに向かって来るものではなかったので放置してきた。
フェンリルの子を連れている事もあり、無用な戦闘は避けて来たのでちょっと暴れたかったガイストは、がっくりと肩を落とす。
誰も一人で先行したレイを心配する者はいない………
その頃、先行したレイの前に現れたのは、2体のオークだった。
オークの手前気付かれない距離でレイは一瞬とまる……
流石に何時までも素手というわけにはいかないので買った、一応しっかりした作りの両手剣。
今のレイの武器はその両手剣だけだ。
急所と素材のことを考えると、狙いは首だけど、上手くやらないと返り血が…両刃の剣だが、西洋剣と似たそれは「切る」というより「潰す」という感じになる。
オークは背丈こそレイより少し大きい程度だが、全身が筋肉の鎧のようで首も太い。
腰に申し訳程度に布切れをまとい、手には槍のような武器をもっている。
最悪ミオに綺麗にして貰えばいいか……
レイはオークがあと20メートルほどで街道に出るという所で仕掛けた。
オークが街道まで出てしまうと、後始末が面倒なのと、あまり街道から離れていると、剥いだ素材を馬車まで運ぶのが面倒だから……
一体のオークは何が起こったのか分からない内に、首から血を吹き出し命の灯を消した。
もう一体のオークは、何かの音がして振り向いた。そこには、首から血を吹き出している仲間がいた。
そして、その向こうに立っている人間を見つけ、何が起こったのか悟る。
だが、悟った時にはもう遅かった。
見た!と思った人間の姿が消える。
消えた!?と思った次の瞬間、首が熱い?そう思った所で意識は途絶えた。
馬車が着いた時には、やはり戦闘は終わっていて、街道まで血の臭いがしていた。
ガイスト達は馬車を降りて森に入って行き、すぐにレイを見つけのだが、一瞬立ち止まる。
「「「………」」」
そこには、頭を無くした(…)オークが一体、首から僅かに血を流し立っていて、その傍にもう一体の頭を無くしたオークから、素材を剥いでいるレイがいた。
強いだろうとは思っていた。思っていたが…
「一刀かよ…」
呟きはフィン…
来たのに手伝わない三人にじれたレイが声をかける。
「見てないで素材剥ぎ手伝ってくれよ!んで、とっとと、離れようぜ。他の魔物が寄って来たら面倒じゃん。」
レイの声に思い出したように、動き出すガイスト、フィン、ソラ。
ソラがレイを手伝い、ガイストとフィンはもう一体を…
手慣れている三人が手伝ったので、素材剥ぎはすぐに終り、素材を持って馬車に戻る。
ミオとアルに臭いを消す魔術と、汚れを落とす魔術をかけてもらい、出発した。
読んで頂きありがとうございますm(__)m
レイの嫉妬の対称は人間に留まりません!
だってレイがある意味人間じゃないから!
ミオちゃんが後悔するのはもう少し後のこと(笑)




