11、さらばお嬢様
次の日は澪が起きられなかったこともあり、ギルドへは昼過ぎに行くことになった。
薬草は余分にあるので無理することもないというのと、色々ソラ達に冷やかされて澪の機嫌が治るのに時間がかかったためでもある。
(原因を作った零は出掛ける寸前まで口を訊いてもらえなかった)
時間的に人も少ないだろうから、今日はギルドで図鑑を見せてもらい依頼の予習にあて、昨日採取してきた薬草も換金してしまおうなどと澪と話ながらギルドへ向かった。
思った通り人も少なかったので先に薬草の依頼受注、達成、換金を済ませて、図鑑を借りて中にある喫茶コーナーのようなところに陣取り俺は魔物図鑑、澪は薬草図鑑を見ていた。
前の世界と似たり寄ったりの魔物が多いが、名前が違ったり、討伐証明部位がなかったり(どういう仕組みかギルドカードに種類や討伐数が記録されるらしい)、その代わり?素材は剥ぎ取りしなくてはいけなかったり。昨日いた「ワーウルフ」は毛皮と牙らしい。
王都に程近いここイルマの近くにはさほど強い魔物はおらず、その代わりにゴブリンとかワードック、ワーウルフなどの数の多い、増えやすいものが多く生息している。
推奨ギルドランクはEで強くはかいが、どの魔物も必ず5匹前後の群れで行動するためである。
(パーティーならFランクでも可)
比較的平和な街でガイスト達のように拠点にする上位ランクの冒険者も多いが、基本G〜Dランクの冒険者が多い。
「何ですって!!どういうことなの!」
午後のギルド内の平穏はこうして破られた。
「これが「ネル」ではないということなの?!」
「いえ、確かに「ネル」で間違いありません。」
「ならばどうして受け取れないなどとっ!!」
「あ〜はい。状態が悪すぎてですね」
「はぁ?では「ネル」であるにも関わらず引き取れないという事ですの!?」
「はい。」
「!どういう状態で採って来いなど依頼書のどこにも書いてないじゃない!!」
「はい。依頼書には書いてありませんが、依頼受注される時に口頭でギルド職員から説明が…」
「聞いてないわよ!!!」
「はぁ、説明はいらないとおっしゃったので…」
「っ!!で、でもっ!」
「大変申し訳ありませんが…」
カウンターの方を見ると、俺達の登録をしてくれた銀行員の(違)お兄さんとお転婆姫が揉めている。
会わないでやり過ごせるかな?と思ったのは、甘かったかな…
案の定、目を泳がせていたお嬢様に見つかったようだ。
「あ!あなた達!!昨日はこの私をあんな目に合わせてどういうつもりですの!!」
やっぱり見つかった。
対応策考えてないんだけどなぁ。やれやれと心の中でため息を吐きながらどう返答しようか悩んでいると
「思い出した!昨日薬草踏み荒らそうとした人だ!」うんうん頷きながら言う澪。
「なっ!?そんなことはっ」
「ゴラの花畑にヅカヅカ入って行こうとした人だよね?」
合ってるよね?と確認するように俺を見る。
合ってますよ。合ってますけどね…
「えっと、よろしければそのお話詳しくお伺いしても?」
銀行員(違)さんまで入ってきた。
どうすんだこれ?と思ってたら澪がいつの間にかカウンターに…
お前どんだけ………
「昨日薬草採取の依頼を受けましてですね、3種類ほど、」
「はい。ミオさんとレイさんでですよね。」
「そうそう。で、ネルとリリーは簡単に見つかったんだけど、ゴラがなかなか見つからなくて…」
銀行員が頷きながら先を促す。
「やっと見つけた!と思ったら、後ろからあの人が来て、薬草踏み荒らそうとしたから止めたの。」
確認するように、二人でこちらを見てくる。
色々すっ飛ばしてるけど、おおむね間違いないので首肯しておく。
「ふむ。で、花畑とは?」
「ゴラの花畑だよっ!」
澪、薬草の名前じゃなくて花畑の大きさを聞かれてるんだと思うぞ…
ニコニコしながら小さい子に言うように「そうですか」と澪に返答しながら、視線がこちらに来る。
そうですねぇと応えながらまわりを見渡す。
ギルドの喫茶コーナーは大体20帖ほど……
「喫茶コーナーの1/3ほどでしょうか…」
「ほう。ですが、それだけ沢山見つけられた割りには其ほどギルドには回ってませんね?」
あー商業ギルドに持って行ったと思われてるのか…
「沢山いるの?」
澪の問いにそういう訳ではないと言う銀行員。
そして、ああそういうことかと、何か気が付いたように俺を見る。
薬草採取は常時依頼が出ているが、毎日大量にいるわけではない。
一度摘んだ薬草は2、3日以内に処理しなければいけないため、緊急事態でもない限り大量に持ち込まれても、ギルドも困るのである。
まぁ澪の場合そこまで考えていたわけではないので
「摘んじゃうとすぐ枯れちゃうでしょ?」
「必要分と余分に少し採取しただけです」
それもさっきギルドに出しましたけどね。
「ばしょ…「ちょっと!!いつまで私を無視するつもりなの!!」を…」
ちらっと銀行員をみると頷いてくれたので丸投げするとしよう。
「今こちらのお二人から話を聞きました。それでアメリアさんは何故ゴラの群生地に入って行こうとなさったのですか?」
それはと言い訳しそうなのを遮り
「昨日、アメリアさんは依頼を受けておられませんが、森へ行かれたのは何故でしょう?」
別に依頼を受けてないから森へ入ってはいけないなどの決まりはなく、冒険者でなくても浅いところで食用の野草を採ったりは町人なども普通にしている。
「なによ!依頼受けてなくても森に行くのは勝手でしょう!?それにギルド員同士の揉め事にギルドは関与しないはずでしょ?!」
うわぁ、一応正論だ。
でも銀行員さん…今眼鏡の奥の目が光ったような……
「ギルド員同士の揉め事には確かに関与致しません。ですが、薬草の群生地が絡むならば話は別です。ギルドの収益にも関わりますから。」
それでも言い返そうとするお嬢様を遮り、コンコンとお説教擬きが公爵家の人がお嬢様を引き取りに来るまで続いた。
結局、レイたちの前にもギルドで無茶な声かけをしていたことで、2日間の依頼受注停止というペナルティーが付いたお嬢様は、力なく家の者に連れて帰られた。
レイたちはゴラの群生地の場所をギルドに提供し、ギルドで確認がとれ次第、貢献度のPtになるらしい。
その後はもう一度勉強という気もおきず、依頼書を少し見て明日受ける依頼の目星をつけて、ギルドをあとにした。
読んで頂きありがとうございましたm(__)m
話の展開が相変わらず遅くてすいませんm(__)m
レイたちが少しお金を貯めるまで、もう少しこの街が中心で行動します。




