10、おかん…
こんなちゃちな話にお気に入り登録ありがとうございますm(__)m
予約投稿試してみました。
今回は零と澪は出てこないです。
宿で零と澪がアル達に報告会をしていた頃、屋敷の自室で目が覚めたお嬢様ことアメリアは、癇癪をおこし、侍女たちを困らせていた。
残りあと2日しかないという焦りと、自分をあんな目に合わせた冒険者への怒りで、手当たり次第ものを投げつける。
そんなことをしてもどうしようもないと分かっていても、抑えられない怒りに燃えていた。
その頃クリスは嫡子であるニキタールにことの次第を報告に行っていた。まだ領主補佐でしかないニキタールだが、あと2、3年の内には正式に領主に就任する予定だ。
現当主は最初の妻との間に子がなく、今いる子たちは二番目の妻との子である。そのため少し高齢であることと、ニキタールが優秀で二番目の息子が遊学を終えて帰郷し兄の手伝いを始めたことなどから隠居を決めた。
ニキタールは次期当主として申し分ない人柄で、(現当主もアメリアが絡まなければ良い当主であるのだが)すでに一部の兵からの信を得ている。
クリスはその一部の兵だった。
アメリアの行動の仔細。なによりも黒髪の二人組の報告。
街に来たばかりで冒険者登録もしたところなのに計りしれない実力。
そしてガイスト達『下弦の月』との親密な様子。
「ふん。父上も何時まで甘やかすつもりなのか。それより、レイとミオというその冒険者、会ってみたいな。」
ランクの高い冒険者には『指名依頼』というものがある。ニキタールは何度かガイスト達に依頼を出していて面識もある。冷たい訳ではないが、下位の冒険者にそれほど気を回す人物ではなかったはず、そのガイストが気にかけているというだけでも興味深いが、本当にそれだけの実力があるなら、囲ってしまいたいという気持ちもある。
話を聞く限り無理そうだが………
どちらにせよ、冒険者ギルドに登録してしまっているのなら、力ずくというわけにもいかないか…
「クリス、悪いが明日もアメリアの護衛に付いてくれ。隊の方へは私が話を通しておく。「あれ」はどうでも良いが、性格的に彼らになにかせんとも限らん。」
「御意」
「今さらあの我が儘が治るとも思えんが、少しは大人しくなるだろう。そうでもないと、縁談もこん。」
※
レイ達が部屋に引き揚げたあと、ガイストの部屋には『下弦の月』が集まっていた。
「ソラ報告。」
「報告ゆうても、レイとミオが言うてた通りやで?今日のことに関しては、なんも嘘ついてへんよ。」ただ、
ガイストの問いにソラが答える。
「ただ?」とアルに促され話を続ける
「つけてたんは、バレてるかもしれん。」
「へっ?お前が?」
フィンが驚愕の声を上げる。声に出さなくても、皆同じ気持ちだ。
ソラは弓だけでなく、スカウトとしても、とても優秀なのである。というよりそちらが本職だった
「たぶんやけど、間違いないと思うわ。せやから声が聞こえるとこまでは、近よられへんかってん」
ソラの報告に沈黙する面々。
「他には?」
沈黙を破ったのはガイスト
「ワーウルフが逃げたって言うてたやん?あれレイの「殺気」で逃げたんや。5頭のワーウルフが1睨みやで…Gランクの冒険者のやることちゃうやん?」
「はぁ?でもお前近付けなかったんだから、見えないとこで、ミオが術使ったとか…」
「あんなぁフィン。殺気に敏感やからスカウトできんねん。間違えるわけないやろ?ワーウルフのついでにこっちにも一瞬殺気向けられたし。」
おお怖っとおどけたようにいうソラに、また皆で愕然とする。
野性の生き物にくらべ人は気配には鈍感である。魔術で検知することは出来るが殺気は出せない。そもそも何度も修羅場を潜らなければ、殺気など出せるものではない。
「レイは、まぁ色々おかしいけど、ミオもよね?あの年であの術の制御力。魔力も計りしれないし。」
「アルが探って解らないんだもんな」
「アルより魔力量多いっちゅうことかぁ」
エル、フィン、ソラである。
「上にくるのも早いだろうな。」というガイストのつぶやきをアルが否定する。
「ランクを上げる気はなさそうですよ?「上位はいろいろ面倒そうだ」って言ってましたから。Dランクまでは上がるでしょうが、それ以上は…」
「ふん。ギルドが放っておかんさ。」
「逃げますよ?あの二人が全力で逃げたら私達でも捕まえるのは難しいでしょう?それに敵認定される可能性もありますし」
アルがしれっと言った言葉に
「それはかんにんやなぁ」
「嫌かも」
「実際、刈った獲物は商人ギルドでも買い取りしてるのは、知ってますし、冒険者としてのランクを上げなくてもやっていけますしね」
「……アルお前わざと教えたのか?」
「二人のことそこまで気に入ったのか?」
ガイストもフィンもびっくりだ。
そもそも、このパーティーの中で、一番他人に厳しく受け入れないのはアルだ。優男風なので目立たないだけで。
ガイストはレイ達が思った通り面倒見がいい男である。
「なにがお前の庇護欲を刺激したのかは知らんが、まぁあいつらの事は暫くお前にまかせるさ」
早ければ明日にもギルドの調査が上がってくる。
そうしたらガイストは少し忙しくなる。
アルザスに任せておいて問題ないだろうと話がまとまり、解散となった。
アルはおかん。(笑)
アルはレイのミオを見る目の中に密かに灯る狂気の片鱗に気がついてしまった。
自身の過去の問題もあり、レイとレイが執着するミオに対してどうしても放って置けないのです。
アルザスの過去は機会があれば…




