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パーティーの仲間に殺された僕はゴブリンに転生して、種付スキルでダンジョンを強くする。  作者: ぐまうす


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 当日、どうにか終わった。

(きっつ……)

「きっつーい」

(そろそろ接続する時間ですよ)

「やるの明日にしない?」

(先方に言ってください)

「はぁー……」

 ご主人様は溜息と共に接続を始める。

 ダンジョンコア同士は両者の合意の下魔界を経由して互いのダンジョン内を見せ合う事が出来る様になっている。

「はい、これ」

 ご主人様から見た事の無い魔法陣を渡される。

 これがイアールンヴィズの狼の魔法陣か、デカい。

 と、待たせてはいけない。

 種付スキルを発動させると、魔法陣に反応してスキル箇所が分かる。

 魔法紙を使って写すと五つのスキル紋が写し出された。

 マジかぁ……。

 それを見たご主人様も笑顔だが、ちょっと崩れている。

 とりあえずそれを渡すと、少しの間ご主人様の気配が消えて二つ気配を感じた。

 この気配がメイズ様か。

 先程の魔法陣を渡されて、それをテスト会場の真ん中に設置する。

 千組の魔法陣には魔力が満ちており、ご主人様が発動すれば一斉にゴブリンが生まれる。

 設置した狼の魔法陣に魔力が満ち、ご主人様は魔法陣を発動した。

 テスト開始である。

 生み出されたゴブリンが辺りを見渡してるのを見て指示を出す。

 本能的に僕の方が弱いと察したのか敵意を向けてきたが、最後に狼が生まれると一斉にそっちを向いてぎこちないながらも、臨戦体勢をとった。

 死にたくなかったら指示に従えと叫び、盾を持つゴブリンには動き出す前に囲えと言い、槍のゴブリンには岩魔法で槍を作れと言い、最後に遠距離が出来る全てのゴブリンに跳ばない様にしながら狼に向かってとにかく撃ちまくれと指示した。

 生み出された狼は馬や牛程の大きさをしていて、彼らにするとそれで赤ちゃんの大きさらしい。

 成狼だとどれだけの大きさになるのか、考えるだけで恐ろしい。

 狼はすぐに己の状況を理解して吠えた。

 ハウリング!

 凄い衝撃波が来たがそれよりも威圧によってゴブリンの動きが止まる。

 まずい。

 円柱状に繰り抜かれた縁にいて上から見ていた僕は素早く攻城弓で槍の様な岩矢を目掛けて放った。

 難なく避けられたが、岩矢は爆発する。

 岩矢に付与した爆発の初期魔法が発動したのだ。

 地面から岩で形作った矢を作り出して爆発魔法陣を刻んで補充する。

 その間にゴブリン達の攻撃は再開していた。

 生まれた瞬間には罠に嵌っていた状態だ、本来なら勝ちが確定している様な物だが、狼のダメージは大した物では無い。

 根本的にゴブリンが与えるダメージが低い、五重にして攻撃力を底上げしてるはずなのだが、狼の鉄糸の様な毛並みが鎧の役目を果たして直接的な攻撃を防ぎ毛並みが優しく受け止めて本来の威力を極力まで軽減している。

 あ、これは詰みかけてないか。


『凄いですね。ゴブリンの攻撃が少しとはいえ通っている』

「うん、ありがとー」

 内心焦りながら応える。

『他のモンスターの魔法陣のスキル紋を読めた様で良かったですね。内容を聞いても?』

「当然だよー、咆哮波、突進、走破加速、空足、危険察知の五つだね」

『爪を使うスキルが無かったのが、今の硬直状態に繋がってますか。あればもう終わってるのに』

「じゃあ合格かな」

『先輩と組んだら戦力の底上げになるのは認めます。おそらくですけど私が活用する分には先輩のダンジョンの成長は関係無いですよね。ただ、ダンジョンボスごとこのまま全滅しちゃいそうですが、スキル付加は維持出来ます?』

「うっ……!」

『結局の所先輩のダンジョンが生き残るか、どうか次第ですね』

 まぁ、実際はスキル付与関係は全く問題ない。

 ブリードを生み出した魔法陣は残っているし、このままブリードが死んでもダンジョンが取り込んでいる魂がブリードのみなので同じ理屈で復活は出来るだろう。

 そもそもゴブリンが持ってて当たり前の凡庸スキルの効果だ、最悪ブリードじゃなきゃいけないという事は無い。いや知能的に普通のゴブリンが活用出来るスキル効果じゃないか。

 そんな心配もダンジョンコアを壊されなければ意味は無いのだけど。

 うーん、大分甘く見てちょっと命かけ過ぎちゃったかなぁ。


 ちくちくとダメージを与えて来たが、狼が咆哮波を放ち続け始めた。

 周囲のゴブリンは近付けないでいるが、狼も吠え続けているせいで動けずにいた。

 これはチャンスだと思った、息継ぎもしくは喉が涸れるかまたは違う理由からか声が途切れた一瞬、そこに攻撃を叩き込めば、動きを封じ込める筈。

 タイミングを見計らっていると、狼は一歩踏み出した。

 少し声量は減った程度で、咆哮は止む気配が無い。

 まさか……!

 その歩みは囲みの円を周り段々と速くなっていく。

 早く止めなければ、焦りながら攻城弓で狙いを定めるが捕捉出来ない。

 ならば爆発に巻き込もうと思うが、咆哮波で弾かれてこちらに被害が出るのが分かりきっていた。

 どうすればいいか悩んでいる間に囲みの円周は広がり、十分にスピードが乗った狼は盾と盾の境目を狙って突進した。

 お世辞にも戦略と言える様な物ではなかったが、作戦は一気に崩れ始めた。

 あの巨体に加速し続けるスピード鉄糸の様な毛並み、切り刻まれ吹き飛ばされ轢き殺される。

 ゴブリン達の阿鼻叫喚が響く。

 そしてゴブリンが倒される数が増える度に狼は強くなる。

 マズイとかそういうレベルじゃないな死が見えるぜ。

 ヤケになってる場合じゃないか。

 問題です、円柱形にくり抜かれた戦場、くり抜かれた地面はどこに行ったのでしょう。

 正解は天井!

 何もかも押し潰す。

 狙いを定めながら出し惜しみ無く攻城弓を撃つ。

 ただし爆発はさせない。

 後少しで円柱で穴が塞がれるという所で狼は気付き続いてゴブリンも気付いた。

 一斉に数多の攻撃が来る。

 そうなるのはそう。

 だが全て遅い。

 狼が空中を駆け始めたが、空中を走る為に一旦加速をやめたからかスピードは走り始めと同じ程に落ちている。

 当たらずとも攻城弓で逃げるのを邪魔する事で時間を稼いで蓋をした。

 本当に申し訳ないが全員死んで欲しい。

 九割円柱が入ったところで爆発魔法を発動させた。

 勿論、円柱は砕けない。

 地面が揺れる。

 ゴブリンは爆死しても、辛うじて狼は生きてるだろうがこの質量の重量がのし掛かってはどうしようもないだろう。

 ヤバっかったー。

 でも流石に魔法生物が相手だとはいえ、この勝ち方は後味悪いな、強くなろう。

 そう誓っていると、轟音と共に狼が地面から飛び出した。

 それも大きくなっている。

 もしかして、僕と一緒にゴブリン達を倒したことになってレベルアップした⁉︎

 しかし、地上に出てくるまでに消費は激しく体もかなり気付いている。

 狼は怒気と殺気と憎悪をない混ぜになった感情をぶつけて来る。

 まあ、そうなる。

 そしてそれは、僕を殺しても消えず全てを蹂躙する筈だ。

 ご主人様を護らないといけない。

 攻城弓で狙う。

 狼は走り始めてこの空間を地面も空中も関係なく縦横無尽に駆ける。

 うわっ、見えない。

 一瞬ゾクっときて咄嗟に攻城弓から離れると、攻城弓は吹き飛ばされた。

 壁に逃げないと。

 狼が移動することで生じる音を頼りに転げ回りながら壁に辿り着く。

 荒くなっている息を整えながら待っていると、狼の速さは音を超えた。

 一か八か、剣の柄頭を壁に付けて脇で挟んで支える、更に体を押し付ける様に脚で踏ん張りを効かせた。。

 あの狼の最強の攻撃は突進だ、ならば真正面から来たところを突き刺せば突進の勢いを利用して殺す事が出来る。

 その姿勢で待っていると意思を感じた。

 音を置き去りにして真正面から突撃してきた。

 そしてこの勝負は一瞬にして終わった。

 狼は頭から土の杭に貫かれて壁に激突して死んでしまい、僕は壁に出来た穴の中に倒れ込んだ。

 生き抜けれた安堵と極限の緊張からの解放と昨日からの疲労で僕は気を失った。


 パッと目が覚める。

「ガァグゥ?」

 つい声が出た。

 辺りを見渡すとご主人様が空中で漂いながら寝ている。

「ギィグゥガァゴォゴゴォッガァ……」

「だーかーらー、声出すのは禁止」

(すいません、つい気が抜けてしまいまして)

「まー、よく生き残れたとは、アタシでも思うけどねー」

(それでどうでした?)

「当然、テストは合格。しばらくはメイズちゃんから送られて来る魔法陣のスキル紋の収集だねー」

(スキル効果の確認はどうするんです? 今回は勝てましたけど次の勝利は無いですよ)

「閉じた空間で飼って欲しいって」

(餌はどうするんですか餌は)

「どーたらいいと思う?」

(……そうですね。出来るだけ離れた場所に一つ階層を作くるんです、そこからさらに出来るだけ遠くに出入り口を作り囮としてこのダンジョンを隠蔽しましょう。そして自給自足させましょう)

「大きくなんない?」

(ダンジョンが成長しない限りそれ程大きくはなりませんよ、多分。ただ子孫は生物になりそうなんでデカくはなるでしょうけど、その時はメイズ様のダンジョンの近くに引っ越してもらいましょう)

「んー、確かにそれが良ーね。じゃあ今度会った時にメイズちゃんに言っておくねー」

 ふと思うことがあった。

(あー……)

「なーに?」

(テストの事で怒っていませんでした? 結構不快にさせる様な内容だったと思うんですが)

「流石に押し潰した時はキレてたけど、最後の方はドン引きするどころか怖がってたよ」

(そうですか。流石に自分もアレだったと思うんで、手段を選べるぐらい強くなれるように努力します)

「強くなるといえば、階級を上がるまでいかなくても、スキルが増えたりしてない?」

(見てないんですか?)

「勝手に見るのもどうかなーって」

(確認してくれてよかったのに)




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