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スキル、蟲目、透視、熱視、冷視、軌道予測。
蟲は複数の目を持っているそうだ、だがあれは目が飛び出しているから有効であって骨と皮膚に収まっている人間の目に施しても意味は無い、だから魔力で外付けの目として使うこれで死角がグッと減る。
そして鎧を透けさせる程度に力を調節した透視を使い、熱を見る目でゾフィーの体温を見て、冷たい物を見る目で大まかにしか見えない体温の温度差を細かく見える様にする。
力めばそこは他の場所より熱を持つ、体内の熱の移動それから体勢を見てそれらの情報を持って軌道を予測する。
これで極めて限定的な未来予測もどきを実現させる。
その大きい効果には当然、負担も大きく、複数の目に関するスキルを使う為目の負担が大きい、ただそれは蟲目で複数ある目にスキル分の数の個数の目に負担を肩替りさせた事でどうにかしたが、消費魔力と複数個のスキルによる頭痛はどうしようもなかった。
技量不足。
だから長時間使用は出来ず、今の今まで使わなかった。
将来、未来予測出来るゴブリンが生まれたら、楽になるのかね。
僕がゾフィーの攻撃を捌き始めたのを認識する。
雰囲気が変わった。
本気で来るか。
ゾフィーは魔法剣士だが、戦い方としては騎馬に近い。
圧倒的な風圧で突進して相手の上から剣の自重を使って斬り伏せる。
そういうシンプルな戦い方だ。
とはいえ地面に落とさせすれば、圧倒的な力は無くなるかというとそうでもない。
返し刀、てこの原理、風魔法を駆使して自身を中心に剣を高速回転させて斬り周るという力業をやって敵を殲滅させる事が出来る。
僕が知っているので、全て僕の入れ知恵が入ってます。
なんで、協力してしまったんだ僕……。
主に使う戦い方がこの二つなだけで、もっとパターンはある。
地面着く。
騎馬の様な戦い方なら、騎馬相手に編み出された戦い方が効くのは当然である。地面から無数の杭を伸ばす。
飛ばしては駄目だ、風で軌道をずらされるか吹き飛ばされてしまう。
それでは軌道が単調になってしまう、マティルデの剣を真似るか、僕の場合は枝と言うより荊だけど。
幾つもの棘がゾフィーに迫り、それを全て回避してるのは流石だが、広範囲に動きまくっているので、岩の荊で埋め尽くさんばかりとなっている。
この状態が続けば僕の有利性がどんどん上がっていく。
無秩序に気流が増え、防風林の様に拡散し、広範囲に伸びきった荊を支える為に杭の根元は木の様に太くなっている。そして空気を無くさせない様にする為に、僕は常に移動をしている。
いくらなんでも補足は難しい筈だ。
スキル、風視。
風を見るスキルを加える、風が見えても縦横無尽に動き回られると対処のしようが無いが、ここまで行動を制限出来れば、軌道予測で攻撃を当てる事が出来る筈。
捉えた!
血が飛びる、汚い色をした血が。
後ろから刺された激痛を我慢して背後を見ると、一本の枝の様に見える刃が伸びていた。
まさか拘りを捨てただって。
マティルデは戦いに手助けが入る事を嫌うが、逆もまたしかりで他人の戦いに手を貸す事は無いと聞いていた。
ゾフィーを助ける為に? それとも僕をそれ程までにダンジョンコアが必要なのか。
そんな疑問は今はどうでもいい、早く抜かないと刃を変形させられて内臓がぐちゃぐちゃにされてしまう。
傷のせいなのかマティルデの追撃はまだ来ない。
鎧のおかげで刺さりはしたが貫通される事はなく、どうにか引き抜いた。
自己再生スキルが無いわけではないけど、多数のスキルを併用している状態では使うのが厳しい、今辛うじて保持した視覚系スキルを切る方が生き残る可能性は高い。
見失ってしまったが、全周の視界と風の軌道を読めばどこにいるかすぐわかる筈だ。
叫びの様な掛け声が聞こえた。
あの傷で動くのか!
一瞬の隙を突かれて切っ先が地面スレスレの軌道をかく振り上げが迫る。
どうにか後ろに転んだ事で、回避出来たが、兜が打ち上げられた。
マティルデの目が驚愕で見開かれる。
醜い顔に邪悪にしか見えないスキル紋がいくつも描かれていたらそんな表情にもなる。
この隙に身を隠さないと。
突然上から圧力で地面に押し潰される。
逃げ出したいのに、圧力が段々強くなっていく。
まずい……!
片刃が迫ってくるのが見える。
砕けろ。
地面にヒビが入って風圧で砕ける。
砕けた分沈んで、切っ先が鎧を掠るだけで済んだ。
その掠っただけで横に吹き飛ばされたが。
爆散しろ。
土の杭が全て爆発した。
自分でした事だが、自分の攻撃でダメージを受ける。
爆発が収まって熱を見る目で周囲を観察すると、倒れている者と立っている者が確認できた。
粉煙が風で晴らされる。
ゾフィーでもあれだけの爆発を受け流せなかったようだ。
飛んできた岩や石でボロボロになっている。
まぁ僕もだけどな!
剣と盾を構える。
ゾフィーはおもむろに袋を取り出して袋の口をしたに向けると鏃だけが無数に落ち出て風で浮かぶ。
一人弓兵部隊。
無数の鏃が矢の様に飛んでくる。
ゴブリンにアレを使うつもりか⁉︎
阻止したいが鉄をも貫く鏃が絶え間無く飛んでくる。それも外れて地面等に埋まらなかった鏃は再利用されて再び飛んで来るしまつだ。
厄介な技考えやがって、むかしの僕。
少しずつ減っていったが、ゾフィーがしようとする事を防ぐ事が出来なかった。
ゾフィーが上下から玉を包み込む様にしていた手を開くと小さい竜巻が発生していた。
その竜巻にゾフィーが魔力を込めると、拡大した。
巻き込まれて吹き飛ばさせそうなのを穴を掘って凌ぐ。
竜巻が通り過ぎると、竜巻は部屋を包みこんでいだ。
この状況を作り出したゾフィーを見る。
ゾフィーは風を纏っていない、だが強大な力がゾフィーに注がれていた。
竜巻が生み出す力を取り込む強化魔法。
この魔法を使うと竜巻を維持と勢力を増させる為に魔法は一切使えなくなる替わりに、自然の脅威そのものの様な力を手にいれる事が出来る。
さて、どうしよう、絶体絶命だ。
(ご主人様ごめんなさい)
ご主人様に謝罪してから、ダンジョンからの魔力の供給を増やすというより奪いとる。
体に付着させているスキル紋全てに魔力を回す。
まるで巨大な岩を乗せられた様な負担を感じながら更に内部から外に暴れ出そうな魔力を感じる。
ゴフッ!
いや血を吐いてしまった、血涙も流れてるし、まいった。
まあ、向こうも似た様な状態だけど。
もった方が勝ちかな。
無理矢理呼吸を落ち着かせたと同時に踏み込んだ。
ゾフィーは向かい打つ形になる。
振り下ろされる片刃を盾で受け止める。
横にステップを踏んで片刃を受け流して回転斬り。
地面は砕けるが、体勢が崩れる事はなく、柄の反対の側についている片刃を当てる為にゾフィーは自身を軸として回転する。
僕の剣とゾフィーの剣がかち合い軽い僕は弾き飛ばされる。
どうにか着地するして頭を上げると、横払いで片刃が来た。
一歩踏み込んで鼻が付きそうな程に前のめりで突っ込むだ。
勢いを殺さずに剣を振る力に上乗せして振り抜いた。
脚、取った!
痛みを堪える様な息遣いが聞こえる。
顔の真横から刃が迫っていた。
ゾフィーは逆手で持った様に振ってきていた。
構わず振り抜く。
先に当たったが脛当てに阻まれる。
殺られる。
咄嗟に剣を引いて、腕を盾にして辛うじて防いで振り抜かれる勢いに逆らわないで吹き飛ばされる。
転がりながら着地する。
今日はよく吹き飛ばされるな。
まだ欠損してないのは、凄くないだろうか。
あの両方に付いている刃は厄介だな。
はぁ、はぁ、はぁ……。
息を飲み込み、斬り込む。
落ち着いて見れば、読めない動きじゃない。
そういうスキルを用意したんだから。
力で負けている、それがどうした、人間の頃からそうだったろう。
その為に学んで技を考え出したじゃないか。
スキルだけで補う事に囚われるな。
ゾフィーに勝つには剣を振るえるかどうかも分からないほどの至近距離。
大型の長物を十全に使うには、必要な間合いがある。
当たらぬ内側に入れ。
今までに使用してなかった二歩目の走破。
ほんの僅かな加速で、ゾフィーの予測する速さを僅かに超える縮地。
袈裟懸けに来る刃の軌道を予測し、盾で進路を阻む様に視界を塞ぐ。
更に腰を落して盾を付けている腕を横に振るい全ての力を逆袈裟の勢いにのせる。
斬るこそあたわなかったが、その衝撃は脇腹から胸に抜け肋骨を砕いた。
竜巻が収まる。
気を失ったのだろう。
マティルデは意識がある様だが、ゾフィーが負けた事で呆然としている。
殺しに来たんだ殺されるのも覚悟の上の筈。
剣を振り上げるのも辛い状態だが、ゾフィーに向かって剣を振り下ろした。




