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深奥となるダンジョンコアがある部屋を一番下として、十の階層を作る事になった。
十層目はダンジョンボスの部屋として、ご主人様に三層、僕に三層、イアールンヴィズの狼に三層と決めて好き勝手する事になった。
暗い洞窟と暗い樹海と迷宮にするつもりなのだが、ちゃんとした樹海は今回諦めるしかない。
木は本物を使いたい所存だが、今回は魔力で作った物で満足するしかない。
ゴブリンは暗殺系や隠密系を中心にスキルを揃えたい、二つだけしか付けられないのは、誠に残念だ。
まぁ前々から考えていたし、どの順番にしようかなぁ。
迷宮、洞窟、樹海でいこうか。
洞窟は暗殺系ゴブリンで樹海は隠密系ゴブリンで、迷宮といえばトラップでしょう。
構造図をダンジョンコアに入れると地響きが起きて鎮まると三つの階層が出来ていた。
さて暗殺系、隠密系ゴブリンの配置はこうして……。迷宮のゴブリンは空足で歩かせて自由に歩かせよう。
さて、後は試しに進んでみるだけだ。
完全武装と。
ソロアタック、夢見たなぁ。
ワクワクしつつ挑戦した。
スキル一個も使わなかったら、一層すら攻略出来ませんでした。
これが、冒険者の隙をついた作りだったらよかったんだけど、ただの思い付きダンジョン、つまり僕がヘボいだけです。
これじゃ使用試験にならない、どうすれば。
うーん、そうだ。
ご主人様のとこへ行く。
「なーに?」
(こういうの出来ますか?)
折角、四人の冒険者の魂を手に入れたのだ、せっかくなんで有効活用しようと考えついた。
「うーん、まあ出来ない事はないかなー。あれからブリードを生み出した時の記録を精査したから、意志と魂は無理でも記憶を持った人形は出来るとおもうよー。それでダンジョンのテストプレイをさせるって事ねー」
(他にテストプレイをする方法はないんですか?)
「どうかなぁ、モンスターにダンジョン攻略をさせてみるっていうのはあるけど、これはあまり参考にならないみたいかなー。多分だけど大体皆ぶっつけ本番で、冒険者が来る様になったら、さり気なく再調整してると思うよー」
なるほど。
(とりあえずそんな感じでお願いします)
ダンジョンの花はモンスター、ダンジョンの夢は宝物、ダンジョンの希望は攻略、ならダンジョンの楽しみといえばダンジョンギミック!
まぁ、拗らせてるのは自覚している。
一つやっておかないといけない事があるけど、それは最後の仕上げでいいか。
それから一ヶ月後、人間が調査を始めた。
(どの位で発見されそうですか?)
「もうちょっとかなー。崖の下だからねー入り口」
(しかし、なんか仰々しくないですか)
「どうなんだろー」
(どうなんですかねー)
今更だけど塞ぎ続ければ諦めないだろうか?
いや、いつまで引き篭もっている気なんだか、僕は。
更に一週間後に人間は入り口に辿り着いた。
さてあの四人の死体は人間側に回収されたが、その事でうちのダンジョンのランクはゴブリンダンジョンとしては高く評価される筈。
それでもB級ぐらいかな。
A級パーティーが全滅してもB級評価なのはあの四人が万全の状態ではなかったから、きちんと準備してないと高ランクのパーティーでも全滅するのがダンジョンだ。
それに普通はゴブリンダンジョンは五段階評価で言えば最底ランクなのを考えると、過大に評価されている。
僕が知っている想定される幾つかのパーティーへの準備は出来ている、確認出来れば各パーティーに合わせて調整を入れればいい、外れても多少の有利性が失われるだけで全滅させるには支障はない筈だ。
ご主人様に外の光景を緊張しながら見せてもらっていると、有り得ない攻略メンバーに息をのんだ。
「ガァンゲェ……」
つい声を出してしまう。
「どうしたのー」
(す、すいません)
「いいからー。それでどうしたのー?」
(有り得ないことにゾフィーとマティルデがいるんです)
「誰?」
来ると思っていなかったから説明してなかった。
(エルヴーでトップクラスのA級冒険者です)
「あの四人もそうじゃなかったー?」
(あの四人は下位であの二人は上位です)
評価が高めになっているにしてもこんなゴブリンダンジョンに挑戦する様な二人ではない。
ゾフィーはソロとヘルプの活動がメインだけどマティルデはパーティーを組織している。
なんで、メインパーティーで来てるんだ。
とにかく分が悪過ぎる。
(緒戦でこのメンバーは荷が重過ぎです。流石にパスしません?)
「本当にそんなに凄いの?」
(ゾフィーはエルヴィーの戦乙女って言われているんですけど)
「微妙に弱そうだねー。二つ名って強そうに付けない?」
(まあ、そこはしょうがないんですよ。女性でも強い人は当然いますよね。で、当然二つ名が付くんですけど、大抵戦乙女って入るんですよ、庶民出なら特に)
「あー、被りが多かったから、地名を付けてるってことー?」
(大体そうです。一応ルールとしてはその土地最強の女性につけられます。街、都、地方って順でランクアップして最上位としてその人の特長に合わせた二つ名になります)
「じゃあ、ゾフィーちゃんは街最強の女の子」
(そうですね)
「マティルデちゃんは?」
(次点、だと僕は思っています。貴族令嬢なので余り冒険者として活動は出来ないので、貴族としても女性は戦いに行きませんしね。ちょっと評価は難しいんですよ。それでA級に成れているんで)
「どういう繋がり?」
(……幼馴染ですよ。まあ僕とゾフィー、ゾフィーとマティルデという繋がりですね)
「そこはふつーブリードも入らない?」
(友達の友達ってやつですね……。子供の頃からゾフィーはなんでも出来て街でも評判で、それを聞いたマティルデが興味を持って二人は友達になった感じですね。それで、僕とゾフィーが遊んでいると、マティルデが来るので遊ぶ二人を眺めていました)
「ええ……。そこは仲間に入らない」
(お呼びじゃないのに、貴族様の遊びに参加できませんよ。その場にいたのは僕が帰ろうとするとゾフィーも帰ろうとするからです。マティルデに睨まれるんですよ、いるしかないでしょう)
「その呼び捨てもー?」
(ですね、僕が呼ばないと呼ばないので仕方がなくですね。子供だから周りの大人は大目に見てましたけど、生きた心地がしませんでしたね)
「ゾフィーちゃん、少しアレじゃないー」
(何故か依存されてたんですよ。劇的な何かとか無いんですけどね)
「ふーん」
(まあそんな事はどうでもいいんですけど。とりあえず強んですよあの二人は)
「ふーん、でもーもっと何か別の因縁とかあるー」
(……ま、付き合いが長けれ色々有りますよ)
「……そうだねー。さてブリードのやり過ごす案だけどー、無理っぽい」
(何故に?)
「どっから持ってきたのあの魔術具」
マティルデが鍵のような物を持っている。
(なんですかあれ?)
「ランクダンジョン強制開錠の魔術具だねー」
(確か、ダンジョンコアを材料にして出来るという……)
「そ、同ランク帯のダンジョンしか開かないし、何回でも使えるけど一ダンジョンに一回限定だけどねー。なるほどー、あの二人が来た理由が分かったよー。魔術具を作る為に確実にアタシを獲りに来たわけだー」
(でも何故ご主人様なんですか?)
「成長していないダンジョンは旨味が無いからねー。それにここに人が来るのは大変でしょー、間引きでもあるのかなー」
あーやだやだ。
全てのダンジョンを無くす訳ではなく、便利な場所だけを残す。
どれだけリスクがあっても益をとるのは人間らしいし、リスクを減らして利用するのもそうだ。
だが、ダンジョンが益を出せるよになるには人の死が絶対に必要になる事を考えるとどうもね。
ただまぁ、減らせば減っていくという訳でもなく、邪神様が飽きない限り、未来永劫終わらないだろう。後続の強くなれる機会を減らすわけにもいかない。
難しい問題だとは思うけど、今は敵だし考える事でもないか。
今、目の前でどんどん死傷者出まくってるしなぁ。
当然だけど未発見だったダンジョンは何階層あるかわからない、そして浅い階層程モンスターは弱い、なのでメインパーティーの消耗を減らす為にサブパーティーが攻略を進めている。
マティルデの傘下パーティーで腕は悪くない、実はもう四階層目だったりする。
三階層目までは、ご主人様が作ったんだけど、お行儀良過ぎたというかよくある構造をしていた、まさに初心者向けという感じだった。
簡単に突破されて、流石にご主人様は少し落ち込んでいた。
だが四階層目でいきなりトラップ満載になる。
ゴブリンは弓と槍と盾で編成している。
弓でチマチマ削って、相手の遠距離は盾で防いで、近付かれても槍で牽制か撃退、最接近されてもトラップで倒す。
更に空足で僅かに浮かしているので、トラップがどこにあるのか分からない様にしている、設置場所が知れても大丈夫な罠にはしているが、初見だとほぼ削れる仕様だ。
シンプルでいいのだよ、シンプルで。
ハメ構造に若干ご主人様が引いているのは無視する。
攻略法としては規模の大きい魔法で殲滅して斥候にトラップを探ってから移動するというのが、僕の思い付く方法だけど、高ランク冒険者の彼等ならもっと他の方法があるのかも知れない。
ちなみにトラップ解除法は設置してないし安全な迂回路も無い。しかも迷宮構造なのでここに何日掛かるか、見物である。
次の日にあっさりとクリアされた。
加重で発動するトラップしかないのを見破られて、床を氷漬けにされた。
まあ、魔力切れで何人か脱落させれたので良しとしよう。
次の暗い洞窟と暗殺ゴブリンだが、ここでは脱落者はいなかったが、精神は大分削れたと思う。
これから三層はイアールンヴィズの狼の領域になる。




