絶句
時刻は正午になる頃だ。
辺りを見渡す。どう見てもやり過ぎだ。
最早、リフォームレベルだ。
雑貨店を彷彿とさせる程、壁一面がクリスマス仕様だ。
そのとてつもない主張に、目が回りそうだ。
面積に釣り合わない量の装飾に呆れる。
恐らく本場であるフィンランドの人がこの光景を見ても同じ反応だろう。
疲れた。思わず。深い息を吐く。
「あぁー! 疲れたぁー!」
冷蔵庫から取り出したコーラを一気飲みした渡仲は、その場で尻餅をついた。
「何だかお腹空いたね。あっ、もうお昼か」
参田の言葉で二人も時間に気付く。
「よーし、お昼休憩入るよー!」
釣井は元気良く言った。
ようやく終わった。
「午前の部は、ここまでぇ!」
午後の部もあるのか。
噓だろ。冗談だろ。
もうこの時点でやり過ぎなのに。
「午後に備えてちゃんと食べてね。〝腹が減っては食うべからず〟っていうからね」
空腹時に食事をするなという謎の指令になっている。
いや、それより、午後の部もあるのか。
「あっ、違うか。〝働かざる者、戦が出来ぬ〟か」
確かに働かざる者は戦も出来ないだろう。
いや、それより、午後の部もあるのか。
「あぁー、疲れたっ!」
渡仲はリボンが蝶々結びされた自分の椅子に手を置いて屈伸した。
「てか、これ、女くせぇな。リボンっておかしいだろ」
「いいでしょ。リボンって女の子がつけてんのじゃなくてプレゼントにつけてるやつのイメージだからさ」
「どっちにしろダサいだろ、これ」
「ダサくないし。可愛いじゃん」
「じゃあ女の子のイメージなんじゃねぇか」
「プレゼントみたいで可愛いって言ってんの」
「可愛くねぇよ」
「可愛いのがいいならアタシのピンクと交換する?」
「可愛いのがいいなんて言ってねぇよ」
「てかさぁ、男三人共青じゃなくて、それぞれ違う色の方が良くない?」
「知らんよ」
「アタシだけ仲間外れ感ない?」
「知らんがな」
「それぞれ違うと、メンバーカラーって感じで良くない?」
「知らねぇよ」
「アタシがピンクで、汰駆郎君が青。で、先生はサンタクロースの赤がいいかな。それとも、おじいさんだからシルバーにする? で、あんたはチャラいからオレンジかな。オレンジってチャラい感じしない?」
「知らんっつの。ちょっ、ヤニ吸ってくるわ」
「あっ、ちょっとごめん」
「ん?」
参田は冷蔵庫から取り出した野菜ジュースにストローを刺しながら渡仲を呼び止めた。
「出前でも、取らないかい?」
「マジ?」
「やったぁ!」
参田の言葉に二人ははしゃぐ。




