鶏肉
「てか、今から注文したら待たなきゃいけなくなるからさ、出前取ってくれるんなら言ってよねぇ。お弁当だって用意しちゃってるんだし」
スマホを弄りながら渡仲と食べたいものを列挙していく釣井は、参田を一喝した。
「あっ、そっかそっか。それは失敬。じゃあ、明日にする?」
「もう出前の口になっちゃったからいいよ」
何じゃ、そら。
何だよ、〝出前の口〟って。
随分アバウトな口だな。
「これから、飾り付けのあとは出前って事にしよっか」
参田がそう言うと、二人ははしゃぐ。
出前はクリスマスの装飾をした際の恒例行事ではなく、これを機に導入された新たなシステムらしい。
それから釣井と渡仲は、店名や料理名を次々と挙げていく。
すると、ケンタッキー・フライド・チキンで初めて意見が合致した。
そして、二人の熱望でそれに決まった。
もう気分はすっかりクリスマスらしい。
「じゃあウーバーで注文するね」
「おう、可愛い娘ご指名で」
「ウーバーにそんなシステムないから。あんたが一番分かってるっしょ」
それから参田が、何がいいかよく分からないと言うと渡仲は、「先生は俺と一緒でこれにすっか」と、スマホを弄りながら言った。
「汰駆郎もこれでいいか」
画面は僕に向けられた。
僕もハンバーガーのセットを食べる流れらしい。
特に嫌ではなかったため賛同したが、何故、選択権がなかったのか疑問だ。
「飲み物はコーラでいいか?」
飲み物もか。
そう思いながら、「あっ、はい」と返す。
「スズは? 一緒でいいのか?」
「んーん、アタシはチキン二つでいい」
「何、小食ぶってんだよ。何アピールだよ」
「小食ぶってないわ。何アピールでもないわ。お弁当持って来たからっ! 早起きして作ったお弁当があるのからっ!」
わざとらしく言った釣井に参田は、「ごめんねぇ」と、苦笑する。
「てか、弁当あるならチキンいらねぇだろ」
「いいじゃん。せっかくだから食べたいでしょ」
「多くね? 食えんのかよ、いつもの量プラス、チキン二つって」
「フライドチキンの止められなさ、あんたも知ってるでしょ。大体、先生が事前に言ってくれれば早起きして作る必要なかったんだし」
「今それ関係ねぇだろ」
「ごめんねぇ」
参田は再び苦笑する。
「あと、コーンロウも食べたい」
「コーンロウ?」
釣井の言い間違いに渡仲は眉をしかめる。
「コーンロウってチェケラッチョ系の奴がやってる髪型だぞ。お前、あれ食うのかよ」
「あれ、何だっけ、あのサラダ」
「コールスローだろ」
二人は大笑いする。
「コーンロウ食うって何だよ」
「コーンロウってどんな髪型だっけ」
渡仲はスマホを操作すると、それの画面を釣井に見せた。
「あっ、これか」
「お前、これ食えよ」
二人は更に大笑いした。
「無理無理」
「食いたいんだろ?」
「嫌だよ、これとアフロは食べたくない髪型ツートップなんだけど」
「何じゃ、そら」




