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ホーリー☆ナイト! ー新人サンタクロースの奮闘記ー  作者: 走井 響記 (Hashii Hibiki)
偵察編
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101/115

再開

注文して二十分程が経った。

釣井は椅子の背もたれに体を預け、渡仲はデスクに突っ伏した状態で、それぞれ液体の様にだらけている。


 「はぁ~らへったぁ~」

 「早く言ってよね、先生」


 「ホントごめんねぇ。先にお弁当、食べててもいいよ」

 「じゃあ、そんなに言うなら」


 「そんなに言ってねぇよ。お言葉に甘えんの早過ぎだろ」

釣井は渡仲の声などお構いなしに、弁当箱の蓋を開ける。


 「おい、ズルいぞ」

釣井の口には玉子焼きが運ばれていく。


 「んー、美味しぇー」

 「腹立つわぁー」

釣井は絵文字の様な笑顔で、おかずを頬張っていく。

その時、インターホンが鳴った。

元気良く返事をした渡仲は「先生いいから」と、立ち上がろうとする参田を止め、玄関に向かった。


 「汰駆郎君、タコさんウィンナーあーげる」

釣井は、オレンジ色のピックに刺さったウィンナーを僕に近付ける。

ケンタッキーが到着してから空腹を抑える必要はない。

断ったが、半ば強引に渡された。


 「畜生、男だった」

渡仲は両手にビニール袋を持って戻って来た。


 「何、期待してんのさ」

自分が品物を受け取りに行ったのは、参田を敬っていた訳ではなかったらしい。

渡仲がそれぞれのデスクにチキンなどを置いていく。


 「じゃあ、手を合わせて、頂きまぁーす」

釣井が号令を掛けると、渡仲は「早弁した奴が仕切んなよ」と吐き捨てながらビニール袋から箱を取り出す。

それから二人は、チキンに感激する。


 「何だか久し振りだよね、こういうの」

そう言ってストローを口に運んだ参田は、「おっと」と、目を丸くさせた。


 「ぴりっと来るねぇ」

 「あれ、先生って炭酸苦手じゃなかったっけ?」


 「マジで? 先生、炭酸飲めなかったのかよ」

 「ううん、平気だよ」

参田は再びコーラを少し含んだ口を〝へ〟の字にさせた。


 「もう、絶対苦手じゃん」

 「大丈夫だよ」


 「先生の、コーヒーにしてあげれば良かったじゃん」

 「コーヒーもあったんだね。でも大丈夫だよ。似た様なもんだから」


 「いや、全然違うから。共通点、黒いだけでしょ。コーヒー買ってこようか?」

 「ううん、大丈夫だよ。ありがとね」

それから釣井と渡仲が、芸能人同士の熱愛報道や、女優の整形疑惑で盛り上がっていると、時刻は十三時を回った。


 「よーし! 午後の部、気合い入れていくよー!」

号令が掛かった。

段ボール箱にはまだ、沢山のオーナメントが詰まっている。

溜め息を押し殺す。


窓際にサンタクロースのオブジェで列を作る釣井に、渡仲と二人で壁に複数のリースを並べる様に命じられた。

もう少し高い所に。

ここと高さが違う。

もう少し右に。

十数分、何度もやり直しが掛かり、ようやくオッケーが出た。

渡仲は舌打ちをし、溜め息をついた。


 「あれ? 何か今、聞こえたよ? せっかく可愛い飾り付けなんだから、楽しくやんなきゃ! ね、先生!」

 「ん? うん、そうだね」


 「疲れたわ、俺」

 「まだ午後の部、始まったばっかだよ。あっ、これ忘れてたっ!」

事務室の隅に置かれた筒状の物を見付けた釣井は、それを手に取って広げた。

煉瓦の壁紙らしい。


 「おいっ!」

 「ごめーんっ!」

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