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ホーリー☆ナイト! ー新人サンタクロースの奮闘記ー  作者: 走井 響記 (Hashii Hibiki)
偵察編
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102/116

決着

段ボール箱のオーナメントにうんざりする。

もうこの時点で雑貨屋同然なのに、まだこんなにも残っているのか。

煉瓦の壁紙を指定の場所に貼り終えると、今度は紐が付いた星型と雪の結晶型のオーナメントを天井に吊るす様、命じられた。


靴を脱いでデスクに上がり、実行すると、早速駄目出しを喰らった。

距離が近い。

長さが同じのが隣だとダサい。

星と雪の結晶が交互になる様に。

何度も修正させられ、ようやくオッケーが出た。


それから下された指令は、木からできたサンタクロースとトナカイのオブジェを床に並べる。

どんどん足の踏み場が狭まれていく。

段ボール箱はまだ、子供のおもちゃ箱状態だ。

一体、この空間には何体のサンタクロースとトナカイが存在しているのだろう。


 「音楽聴こうぜ」

 「うん、聴こう」


 「韓国は聴かねぇぞ」

 「韓国いいじゃん。日韓の繋がりなめんな」


 「レゲエ聴くぞ、レゲエ」

 「嫌だよ、レゲエなんか」


 「カッコいいだろ、レゲエ」

 「もう致死量のレゲエ浴びたし」


 「今レゲエがキテんだよ。もともとすごかったけど。時代はレゲエだぞ」

 「聞いた事ないし。レゲエの時代なら一生時代遅れでいいわ」


 「何で分かんねぇかな、レゲエの魅力が」

 「レゲエなんてずっと低空飛行でしょ」


 「低空飛行じゃねぇわ。むしろずっと大気圏だわ。レゲエ聴かねぇ人生なんて六割損してるぞ」

 「レゲエでそんな人生左右されないし、好きじゃなくて聴いてないんだから損してないでしょ」


 「レゲエ聴く様になったら人生変わるぞ、マジで」

 「レゲエにそんなパワースポットみたいな効果ないでしょ。KーPOPこそ人生変わるし。聴くパワースポットだよ。人生七割損してるよ」


 「そんな効果ねぇよ、韓国にぃ」

渡仲はスマホで音楽を流し始めた。


 「やめてっ! レゲエはもう嫌だっ!」

釣井が音楽を止めた。


 「あーあっ!」

 「レゲエは何か、イライラするから嫌だっ!」


 「何でだよっ! コーンロウでも食ってろよ」

 「揚げ足取んないでよ」


 「コーンロウ食い女め」

 「人をそんな妖怪みたいに、って、ちょっとっ!」

釣井は渡仲が並べたサンタクロースを見て大声を出した。


 「何でサンタさんだけなのっ!」

 「トナカイ向こう」

渡仲はサンタクロースの列に向かい合うトナカイの列を指差した。


 「サンタさんとトナカイは交互にしてっていっつも言ってるでしょ、ペアになるようにってぇ」

 「こうやって分けた方がいいっていっつも言ってるだろ、サンタチーム、トナカイチームってぇ」

また始まったか。


 「先生はどう思う?」

 「え、私?」

壁に雪だるまのオーナメントを飾る参田は、釣井の方に振り向く。


 「んー、私は、じゃあ、スーちゃんの方で」

 「いぇーい!」


 「先生、スズに甘過ぎるだろっ! 大して見ないで言っただろっ!」

 「あはっ、バレた?」


 「認めんのかよ」

 「じゃあ、汰駆郎君は?」

僕にもパスが来た。

不毛な議論に決着をつける為、「ペアにした方がいいかと」と、釣井に投票した。


 「おい、汰駆郎っ! 師匠だぞ、俺はっ!」

 「偉い偉いっ! 偉いぞ、汰駆郎君っ!」

釣井に頭を撫でられる。


 「畜生……」

渡仲はぶつくさと文句を言いながらも、サンタクロースとトナカイを交互に並べ直す。

これは多数決で済む案件らしい。

参田の一票が大きかったのだろうか。

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