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ホーリー☆ナイト! ー新人サンタクロースの奮闘記ー  作者: 走井 響記 (Hashii Hibiki)
偵察編
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96/98

季節

じわじわと赤と黄色に染まっていく街の美しさ。

そろそろ上着の出番らしい気温の心地良さ。

割と好きかもしれないこの季節には、コンビニのレジ横に設置されたコーヒーメーカーで抽出されたこのカフェラテがよく似合う。


これを飲みながら、読書をしたくなる。

画家の気持ちはよく分からないが、恐らくそういった類の人は、この季節特有の色で溢れる景色を、キャンバスに残したいものなのだろう。

写真も芸術にカテゴライズされている筈だ。

撮影の習慣もないが、こういった景色を撮っておきたい気持ちは、分からなくもない。

食欲も、サンマとサツマイモという双璧がそれの向上に大きく貢献している故、頷ける。

ただ、問題はスポーツだ。

いつしか、どこの誰かがつけたこの季節のキャッチフレーズの中で、それだけは腑に落ちない。


春は選抜高校野球。

冬はオリンピック。

そして、夏は両方のイベントがある。

この季節はむしろ、四季の中で唯一、スポーツのイメージがない気がする。


あのキャッチフレーズは他にもあるのか知らないが、代表的なものは四つだ。

季節も四つあるのだから、一つ一つにそれ等を割り当てればいいと思う。


やはり、選抜高校野球とオリンピックという二大イベントがある夏が、圧倒的にスポーツ感が強い。

秋はやはり、旬の食べ物が豊富である故、引き続き食欲担当で間違いだろう。

芸術は、桜が咲く春が担っても申し分ない。

むしろ、国花である故、そうあるべきだ。

そして、寒い冬は暖かい室内で、読書をしたくなる。

決まりだ。


芸術の春。

スポーツの夏。

食欲の秋。

読書の冬。

全て、しっくりくる。


芸術の春。

スポーツの夏。

食欲の秋。

読書の冬。

頭の中に刻まれた四つのキャッチフレーズを、思わず何周かなぞる。


我ながら納得のいく答えを出す事が出来た事に満足しながら歩き、会社に着いた。

釣井と渡仲の、何やら揉めているらしい声がドア越しに聞こえる。


 「そっちじゃないよっ!」

 「絶対こっちだろっ!」

 「絶対違うからっ! 毎年言うけどっ!」

 「いや、絶対おかしいだろっ! 毎年言うけどっ!」

 「絶対こうだからっ! 何で分かんないのさっ! このラリー何回やんなきゃいけないわけ?」

 「余裕でこっちの台詞だしっ! 俺の偏見と独断の方が正しいだろっ!」

 「何その順番。聞いた事ないんだけど。てか、そっちじゃないって」

 「いや、こっちだろ、絶対。俺の偏見と独断に間違いはない」

 「それやめてくんない? 何か気持ち悪いんだけど」

朝から騒がしいなと思いながら、嫌々ドアを開ける。

するとそこには、いつもと違う光景が広がっていた。

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