警戒
台無しとは、探偵ごっこか、もしくは刑事ごっこの雰囲気が、という意味だろうか。
そんな事に巻き込まないでほしい。
「尾行してんのバレない様にね。子供達がギフターに相応しいかを見極める、大事な仕事なんだから」
見極めるのにサングラスはいらないだろ。
外したい。外した過ぎる。
「いい? 怪しまれるんじゃないよ?」
じゃあ外させろよ。
サングラスを掛けて小学生を尾行する大人など、どう見ても怪し過ぎる。
外したい。外した過ぎる。
「あの、ギフターに相応しいかを見極める為の偵察なんですよね?」
「うん、そうだよ? 言ってんじゃん」
一応確認したが、やはりサングラスはもう必要ないじゃないか。
いや、もしかするとこれは、他のギフターに遭遇しても分かる為だろうか。
膨大な数の子供にプレゼントする故、その可能性は高い。
とは言え、下校中の見知らぬ少女をサングラス越しに尾行するのは、やはり抵抗がある。
「あっ、曲がったっ! 急いでっ!」
「あっ、はい」
角を曲がった二人の少女を追う。
「よし、オッケー」
再び見付けた二人の少女を追って間もなく、係長は言った。
「二人共、いい子みたい。第一関門突破」
急に何を言い出すのだろう。
どういう基準でそんな判断をしたのだろう。
悪い事をしていないから〝いい子〟なのだろうか。
ただ歩いてただけじゃないか。
その様を見ていただけじゃないか。
数分間の尾行だけで人間性など分からないじゃないか。
〝第一関門〟という事は、〝第二関門〟があるのか。
「ちょっと、ここで待っててくれる?」
係長はサングラスを外した。
「防犯ブザー鳴らされるかもだからさ」
その感覚は持っているらしい。
「いい? サングラスは外さないでよ?」
そう言った係長は、少女達の方へ走った。
自分は外すのかよ。
人には掛けろと何度も言っておいて、どういう事なのだろう。
「ごめーん、ちょっといいかなぁ?」
二人の少女は足を止め、振り向いた。
一体、何をする気なのだろう。
係長が姉と見られる少女を少し奥へ誘導し、数分間何かを話し始める。
それから、片方の少女と数分間話すと、走って僕の方へ戻りながら、両腕で大きな丸を作った。
「あの子達、合格っ!」
一体、どんな審査をしたのだろう。
「えっ……」
係長が僕の傍に戻った時、訝しげな様子に見える少女達の後ろ姿を覆う赤色が、点滅し始めた。
故障でもしたのだろうか。
「あっ、またびっくりした顔してる。さてはそっちも完了した感じ?」
完了とは一体、何の事だろうか。




