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ホーリー☆ナイト! ー新人サンタクロースの奮闘記ー  作者: 走井 響記 (Hashii Hibiki)
偵察編
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113/117

渾名

 「じゃあ、皆も自己紹介しよっか。誰からやる?」

石神が子供達の顔を往復する様に見ていく。


 「じゃあ、ハルキ君、自己紹介出来るかな?」

沈黙が少し続いた後、石神に指名された、彼女の隣に座るボーダー柄の服を着た少年は頷く。


 「カシマハルキです」

職員二人が拍手し、子供達がそれに倣う。


 「ハルキ君は飛行機が好きなんだよね」

宝井がそう言うと、少年は頷く。


 「〝パルッキー〟だな」

 「はい?」

またぞろ謎な発言をした渡仲に、二人の職員は訝しげな表情を浮かべる。


 「ハルキだから〝パルッキー〟」

もうやめてくれ。

余計な事を言うな。

渾名をつけられた本人を始め、子供達は笑い出した。


 「いいね、〝パルッキー〟」

微笑む宝井に石神は同調する。


 「じゃあ、セイナちゃん、自己紹介出来るかな」

少年の隣に座る赤いワンピース姿の少女は、宝井に指名されると頷き、か細い声を出した。

恐らく名乗ったのだろうが、殆ど聞き取れなかった。


 「はい、マミヤセイナちゃんでーす」

彼女の口元に耳を傾ける宝井は通訳し、拍手した。


 「じゃあ、〝マーミヤン〟だな」

渡仲がまた、渾名をつけた。

本人が、ふふっと笑う。

音の響きがほぼ〝バーミヤン〟じゃないか。


 「いいね、〝ハナッぺ〟」

職員二人も微笑む。


 「じゃあ、ツムギちゃん」

オレンジ色のフリースを着た少女は、「シノダツムギです」と、自己紹介した。


 「ツムギちゃんはサンリオが好きなんだよね」

石神の補足に、少女は頷く。

子供達は渡仲に、期待の眼差しを向ける。


 「〝ツムツム〟だな」

子供達は笑う。

本人も嬉しそうだ。


 「〝ツムツム〟いいね。じゃあ次は、ホノカちゃん、自己紹介出来るかな」

水色のワンピースを着た少女は頷く。


 「シバムラホノカです」

 「ホノカちゃんはディズニープリンセスが好きなんだもんねぇ」

少女は宝井に頷く。


 「〝シバッチョン〟」

渡仲がまた渾名をつけ、笑いが起こった。


 「じゃあ次は、タカヒロ君」

隣に座る青いパーカー姿の少年は返事をした。


 「カネハラタカヒロです」

渡仲に視線が集まる。


 「じゃあ、〝ピロ〟」

子供達と職員二人が怪訝な表情を浮かべる。


 「タカヒロの〝ヒロ〟で〝ピロ〟」

何で後半の方を取ったんだ。

何で半濁点をつけたんだ。

また笑いが起こる。


 「次は、モモちゃん」

 「はい」

花柄の服を着た少女が返事をした。


 「シマザキモモカです」

 「じゃあ……、〝ピーちゃん〟」

全員が目を丸くする。


 「桃は英語で〝ピーチ〟だろ? それに〝ちゃん〟つけて〝ピーちゃん〟」

 「なるほど」

 「〝ピーチちゃん〟で〝ピーちゃん〟」

職員二人は納得する。

ネタ切れのため、ここに来て名前とは無関係の渾名をつけ始めたかと思いきや、そうではなかったらしい。


 「じゃあ、ミサキちゃん」

いちごが描かれた服を着た少女は、「はい」と、か細い声を出す。


 「アリカワミサキです」

 「〝アーリン〟だな」

渡仲が即座につけたこの渾名も、本人を始め、好評の様だ。


 「僕ね、カシダケンイチッ!」

青いチェック柄のシャツを着た少年は自ら元気に自己紹介した。


 「じゃあお前は、〝カシポン〟」

 「〝カシポン〟いいね」

また、笑いが起こる。

〝ケン〟とつく名前はそれを生かした渾名がつくイメージだが、苗字から取ったらしい。

音の響きがほぼ〝菓子パン〟じゃないか。


 「よし、これで全員か」

渡仲は達成感に満ちた表情で呟く。

その使命感は一体何なんだ。

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