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ホーリー☆ナイト! ー新人サンタクロースの奮闘記ー  作者: 走井 響記 (Hashii Hibiki)
偵察編
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112/117

簡素

 「んー、じゃあ今日は初めて逢ったっちゅう事で、とりあえずお喋りでもしますか。親睦会的なノリで」

 「シンボクカイてなぁに?」

青いパーカー姿の少年が質問すると、宝井が説明する。


 それから、全員で食堂へ行く事になった。

職員二人が椅子で円を作り、子供達はそれに座る。


 「子供って、これで全員っすか」

 「あっ、はい。そうです」

 「ここは小さい施設ですから」

宝井が付け加える。


 「全員オッケーっと」

渡仲はサングラスを外し、Tシャツの胸元に掛ける。

全員オッケーとか言うなよ。


 「はい?」

石神が目を見開く。

やはり引っ掛かってしまったか。


 「あっ、全員と喋れて良かったって事っすよ」

事態に気付いた渡仲は自らフォローした。


 「ねぇねぇ! 紙芝居はあるの?」

犬のイラストがデザインされたトレーナー姿の少年は言った。


 「あっ、忘れてたっ!」

そう返した渡仲は、子供達から大ブーイングを喰らった。

いつも釣井が紙芝居を披露していたらしい。


 「じゃあさ、皆、自己紹介してみよっか」

宝井が仕切る。


 「誰からいこうか」

石神の言葉に子供達の反応はない。


 「じゃあ、私から自己紹介しようかな」

宝井が手を挙げる。


 「施設長の宝井でーす。コーヒーが大好きなハタチでーす」

子供達は大笑いする。


 「はーい、石神でーす。好きな食べ物は、全部でーす」

再び笑いが起こる。


 「じゃあ、自己紹介してくれる人ー!」

宝井が改めて言うが、子供達はやはりだんまりだ。


 「じゃあ、俺やろっか」

渡仲はジャケットの襟を正す。


 「渡仲どえーす。飼ってるペットは、ユニコーンと、マーライオンと、ドラゴン、どえーす」

笑いが起こる。


 「ユニコーンの名前は、ゲンゴロウ」

和風過ぎる。


 「マーライオンの名前は、マー子」

何でメスなんだよ。


 「で、ドラゴンの名前は、ポチ」

犬かよ。


 「ゲンゴロウの特技は、預金」

まだ続くのか。


 「マー子の特技は、ムーンウォーク」

下半身、魚じゃねぇか。


 「で、ポチの特技は、フラッシュ暗算」

さっきから職員しか笑っていない。

この二人にターゲットを絞り過ぎだ。


 「あと、メスのタランチュラとネズミも飼ってます」

架空の生物を散々言った後にタランチュラとネズミは弱いだろ。

本当かどうか分からないじゃないか。


 「タランチュラの名前は、タランチュラの〝タラ〟に子供の〝子〟で、〝タラ子〟。ネズミの名前は、ネズミの〝ネズ〟に〝美しい〟で、〝ネズ美〟」

それが言いたかったのか。


 「以上でーす」

殆どペット紹介じゃねぇか。

拍手と笑いが起きる。

職員二人と子供達が、「次はお前だ」と言わんばかりに視線を送ってきた。

この後、自己紹介をしなくてはならないのか。

先陣を切れば良かった。


 「来間と申します。よろしくお願いします」

僕は名乗った。


 「はーい、お二人共、よろしくお願いしまーす」

宝井は一瞬の間を置いてからそう言って拍手し、石神が「よろしくお願いしまーす」と、それに倣った。

三人が自己紹介で子供達から笑いを取ったため、僕のフザケ待ちだったらしい。

暗い奴と思われてしまっただろうか。

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