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ホーリー☆ナイト! ー新人サンタクロースの奮闘記ー  作者: 走井 響記 (Hashii Hibiki)
偵察編
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109/117

訪問

渡仲が押したインターホンから、「はい」と、女の声が聞こえた。


 「お邪魔しまーすっ!」

語尾を伸ばすな。


 「あの、どちら様で?」

そうなるに決まってるだろ。

まず、どちら様かを言えよ。


 「〝子供達をボランティアし隊〟の者でーす」

ダサッ。何だ、その名前は。

衝撃的なダサさだ。〝したい〟と〝隊〟を掛けるのはもう、やり尽くされているだろ。


 「あっ、はいはーい」

インターホンから返事が聞こえた。

一体何なんだ、〝子供達をボランティアし隊〟って。

渡仲に訊こうとした時、ドアから小太りの女が現れた。


 「いつもお世話になっております」

女は軽く一礼すると木製の門扉を開けた。

施設を偵察する際は〝子供達をボランティアし隊〟という組織を名乗っているのか。

それならここに来る前にその設定を僕に伝えるべきじゃないか。

お陰で僕だけエチュードじゃないか。


 「私、ここの施設長をやっている、タカライと申します」

女は再び一礼する。


 「珍しい苗字っスね」

渡仲の言葉に耳を疑った。

初対面の相手が名乗った後の第一声にそのテンションはやめろ。

あと、いい年して〝っスね〟はやめろ。


 「どうやって書くんスか?」

ホームページをリサーチしていないらしい。


 「宝物の〝宝〟に、井戸の〝井〟です」

 「へぇー、金持ちそうな苗字っスね」

頼むから、不要な発言はやめてくれ。


 「あはっ、よく言われるんです。でも、全然金持ちじゃないんですよ」

 「でも、まぁ、似合ってますよ」

渡仲が謎のフォローをする。


 「今日は、いつも来てくださっている女性の方じゃないんですね」

 「野郎二人ですいません」

渡仲は返す。


 「いえいえ、そんな。イケメン二人が来て子供達も喜ぶと思いますよ」

 「ありがとうございます」

受け止めるな。


 「お名前、お伺いしてもよろしいでしょうか」

 「〝子供達をボランティアし隊〟隊長の、渡仲です」

何でお前が隊長なんだよ。


 「隊長さんだったんですねぇ」

 「はいっ!」

〝はいっ!〟じゃねぇよ。

それから、僕も名乗る。


 「渡仲さんと来間さんですね。どうぞ」

門扉の向こうへ通された。


 「〝ピースマイリース〟っていう名前はですね、〝平和〟って意味の〝ピース〟と、〝笑顔〟って意味の〝スマイリー〟、それから、〝花輪〟という意味の〝リース〟を合わせたんです。〝子供達に平和が訪れる様に〟とか、〝平和な場所である様に〟という思いと、〝子供達が笑顔でいられる様に〟、そして、〝子供達が花の様に綺麗な心を持つ様に〟という思いと〝子供達が輪になる様に〟という思いを込めました」

宝井は、芝生が挟む曲がりくねった煉瓦道を歩きながら、ホームページの文言と同様の説明をした。

余程、気に入った名前らしい。


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