施設
「ただいまぁ!」
ギフターに決定した子供のデータを釣井と整理していると、事務室に参田と渡仲が帰って来た。
「あんのガキ共、ホント……!」
「どうしたのさ」
「施設のガキがさぁ、俺のケツに思いっ切り浣腸しやがった!」
渡仲がそう答えると、釣井はマウントレーニアのソイラテにストローを刺しながら天井の方を向いて大笑いした。
「そしたら、浣腸の列ができちゃって、追い掛け回されて大変だったかんねっ!」
釣井は更に大笑いする。
「元気だったよねぇ」
参田が笑みを浮かべる。
「お陰でずっとトイレに籠りっきりだったかんね」
「何その単純な体」
一口吸ったソイラテをデスクに置いた釣井はそう言いながらまた大笑いした。
「ところで、どうなの、施設の方は」
「トイレから出たらガキ共が浣腸の構えでスタンバッてたかんね」
「待機してたんだっ!」
釣井は手を叩いて笑う。
「いや、そういう事じゃなくてさ」
「ああ、トイレは割と綺麗だったよ」
「いや、今その情報はいいから」
「だって前、施設のトイレ借りたらすげえ散らかってたって文句言ってたろ」
「いや、それを心配してんじゃなくてさ、進捗状況を訊いてんの」
「シンチョクジョウキョウ?」
初めて聞く言葉らしい。
「うん、進み具合。施設にいる子の偵察、トータルでどれくらいいったのさ」
「ああ、施設の子はもう終わったよ」
「えっ! 全員の偵察、終わったの?」
釣井は目を丸くさせた。
「うん。ね、先生」
「そうそう。丁度今日で終わったんだよね」
「汰駆郎君に施設の偵察してほしかったのに。まだ行った事ないからさ」
「あっ、そうだったね。勉強の為にもね」
参田は冷蔵庫からヤクルトを取り出しながら言った。
「まだあったかな、行ってない施設。ちょっと見てみるわ」
自分の席に座り、タブレットを持った渡仲はそれをしばらくスクロールすると、「あっ! あったあったっ!」と、必要以上な大声で驚かせ、釣井に怒られた。
「ほら、ここっ!」
「どれどれ、ああ、〝ピースマイリース〟ね。アタシ、いっつも行ってるよ」
「ふーん。そう言えば俺、ここは行った記憶ないかも」
「じゃあ丁度いいね。汰駆郎君と二人で行ってくればいいじゃん」
釣井が僕に目をやりながらそう言うと、「よし、行くか」と、渡仲は腕を回す。
「どうなの、ここ」
「トイレは綺麗だったよ」
「いや、そこじゃねぇよ」
「じゃあどこさ」
そう訊かれた渡仲は冷蔵庫から取り出したコーラを飲み、「あー!」と、声を出した。
「美人な職員はいんのかって事だろ」
「そこかよ」
「決まってんだろ」
「決まってないわ」
「当たり前だろ」
「当たり前じゃないわ」
「汰駆郎、美人な職員いても仕事そっちのけでナンパしたりすんなよ」
お前だよ。
そう思ったと同時に釣井が同様の言葉を言った。




