連続
必死に逃げる後ろ姿をすぐに見付けた。
民家の建つ角に消えたそれを、再び追う。
「誰にも言わないからっ! 親にも、店の人にも、学校の先生にも、絶対言わないからっ!」
少年はぴくっと足を止めたが、再び走り出す。
「鉛筆が欲しいんだよね? 僕が買ってあげるからっ!」
思わず、少年の腕を掴んだ。
「買いに行こう」
涙目のまま、こくんと頷いた少年は、「あっち……」と、コンビニを指差した。
僕が裏切って店員に言う可能性を危惧しているのだろうか。
本屋に戻ろうとしていた足を旋回させる。
コンビニに入ると少年は、さっきと同じメーカーらしい鉛筆が数本入ったケースを手に取った。
そのまま、消しゴムを眺める。
「消しゴムも欲しいの?」
少年は、こくんと頷く。
ちゃっかりしてるな。
少年は鉛筆と消しゴムを持ったままその場を離れた。
後を追うと、お菓子コーナーで止まっていた。
こいつ、まさか……。
少年は、せんべいのパックを手に取った。
それを抱え、上目遣いで僕を見つめる。
こいつ……。
子供という立場を利用しやがって。
振り返った少年は、その棚を眺める。
まだ何か欲しいのか。
手に取ったチョコレート菓子を抱えたつぶらな瞳が僕を見る。
「分かった。買ってあげる」
「ありがと……」
お菓子まで買うとは言っていない。
歩き出した少年はレジでUターンした。
着いていくと、陳列されたパンの前でそれ等を眺めていた。
マジか……。
文房具とお菓子を入れたカゴに、少年が指を差したメロンパンを、仕方なく加える。
それから少年は、焼きそばパンを申し訳なさそうに指で摘まんだ。
マジか……。
カゴをレジに持っていく。
ちゃっかりお菓子とパンも買わせやがって。
ちゃっかり、それぞれ甘い系としょっぱい系を買わせやがって。
「これ……」
少年は図々しさに釣り合わないか細い声を出しながら、ホットスナックのフランクフルトを指差して僕の方を見る。
またかよ……。仕方なく注文する。
「ごめん、なさい……。これも、ごめんなさい……」
今度はアメリカンドッグを指差した。
申し訳なさそうにする割には積極的だ。
そして、レジの画面には二千円を超える金額が表示された。
鉛筆を買ってあげるつもりが、こんなにも支払う羽目になるとは。
「くじ、どうぞー。三回引けまーす」
若い女の店員がレジの下から抽選箱を出し、置いた。
七百円お買い上げ毎にくじが出来るキャンペーンをやっているらしい。
「引いてごらん」
少年は抽選箱に手を入れ、一枚の紙を取り出した。
それには、黒烏龍茶の文字と写真。
小学生には地味過ぎる景品だ。




