第38話 絶体絶命! バルキリーは負けない、どんな敵でもポイポイするの!!
「これで2人。次は怨敵なぼーやかな? それとも猫のおじょうちゃん? 槍のおじょうちゃんは半殺しにして、皆が死ぬところを見せようかなぁ」
まるで幽鬼のように、ゆらりとわたし達を見るカルラ。
その姿は、まるで特撮番組の改造怪人の様だ。
「メイ、ラーラを連れて逃げろ! ここは俺が時間を稼ぐ。少しでも遠くへ逃げるんだ。この戦場は本部も監視している。もうすぐ応援も来るはずだ」
お兄ちゃんは大剣を正眼に構え、わたしに小さく呟いた。
「それじゃ、おにーちゃんがぁ。わたしも戦うの! 合体技ならアイツでも倒せるの!」
「当てられればな。動きが早いし、チャージを待ってもくれないぞ」
「ほう、今更作戦会議ですかぁ。どうぞ存分になさってくださいな。今生の別れですしね」
カルラは兜越しに真紅の眼でわたし達を見る。
……おにーちゃんの言う通り、チャージ無しには撃てないし、黙って撃たれるはずも無いよねぇ。でも、皆を置いてなんて出来ないのぉ!
「おにーちゃんがどう言おうと、わたしも一緒に戦うの! ししょーやおかーさん、それにおにーちゃんを置いていくなんて、わたしには出来ないよぉ。ラーラちゃんは……」
「めい、わたし、なかまはずれ、ない! わたし、いっしょ、たたかう!」
「まったく頑固な女共だよなぁ。じゃ、2人とも絶対に死ぬなよ!」
「うん!」
「にゃ!!」
お兄ちゃんは苦笑しながらも、わたし達をちらと見てくれた。
……だから、おにーちゃん大好き!
「さて、作戦会議はお終いですか? では、行きます!」
わたし達が話し終わるのを待っていたカルラが、地面を砕く踏み込みで突進してきた。
「散開!」
「うん!」
「にゃ!」
お兄ちゃんは大剣を盾代わりにしてカルラの初撃を受け止めた。
「ほう、流石はアノ方の血を継ぐぼーや。私の一撃を受け止めるとは……」
「ナニ、訳分からない事言ってんだよぉ!!」
ギチギチと甲高い音を立ててお兄ちゃんとカルラは鍔迫り合いをしている。
「いえいえ、貴方が何も知らないのなら別に構いません。その方が悲劇も増しますしね」
「言ってろ!!」
お兄ちゃんは力を振り絞り、鍔迫り合い状態から剣を外し、カルラに蹴り技を繰り出す。
「甘い!」
しかし、お兄ちゃんの蹴りは脛当てでブロックされる。
「えい!『水月楊矢之槍』!!」
その隙を狙い、私はカルラの軸足を後ろ、下段の構えから薙ぐ。
「くぅ!」
流石に軸足を刈られてはカルラもふらつく。
「にゃにゃにゃ!!」
その隙をついてラーラちゃんは弾丸のようにカルラの鎧の隙間目掛けて体当たり気味に短刀を突き刺した。
「う! 思ったよりもやりますね。しかし!」
カルラは右手の剣の腹でラーラちゃんを薙いで吹き飛ばす。
「にゃぁぁぁ!」
「ラーラちゃん!! 『龍突撃』!!」
わたしは怒りで我を忘れて突撃をした。
「こんなモノ!」
カルラはわたしを覆った紡錘状フィールドごとわたしをラーラちゃんの近くへ吹き飛ばした。
「くぅぅぅ。ま、負けられないのぉ!」
わたしは、なんとか立ちあがる。
でも脚はガタガタとして、力が入らない。
「では、2人纏めて吹き飛ばしましょう。大丈夫、死なない程度にしますからね」
カルラの胸の前に真紅のボールが生まれる。
「さあ、吹き飛べ!」
そしてボールがわたしと後ろで立ち上がろうとしていたラーラちゃん目掛けて飛んで来た。
「メイ!!」
わたしは見た。
わたし達を庇うべく、お兄ちゃんがわたし達の前に立ちはだかるのを。
「おにーちゃーん!!」
閃光と爆風が吹き荒れた。
あまりの轟音で、わたしの耳はしばらく何も聞こえない。
「おにーちゃん、おにーちゃん、おにーちゃーん!!」
もうもうとする土煙が落ち着くと、そこには浅いけどクレータが出来ていて、ボロボロになったお兄ちゃんが伏していた。
「あら、威力出しすぎでしたね。殺してしまうところでした。まあ、まだ生きているからいいでしょ」
カルラはお兄ちゃんを冷たい眼で見る。
「このぼーやも簡単には殺しません。指一本から順番に外していって、本人が殺してくれというまでいたぶります。そしてダルマにして、眼や耳を片方ずつ潰すのです。そしてその姿を皇帝に見せ付けるのです。お前の血族はこうなったんだって。ははははは!」
カルラは芝居じみた狂気の笑いを浮かべながら、とんでもない事を言う。
「ゆ……」
「ナニですか、お嬢さん。貴方は動けなくなる程度にしますから、安心してください。他のヒトを壊すところをゆっくり見てもらうのですから」
「ゆるさない」
「え、何ですって」
……こいつは存在しちゃダメだ。
「許さないの!」
「へえ、じゃあどうするんですか? もう貴方には戦う力も残っていないでしょ?」
……あるもん! まだわたしには最後の力が!
「許さないの!!」
「どう許さないと?」
カルラは、さっきから狙撃されているのを全く気にしていない。
ガチンと大きな弾がカルラの表面で弾かれている。
「絶対許さないのぉ!」
「だからなんだい? もー煩いなあ。いいとこなんだから邪魔しないで!」
カルラは左上方向へ手を向け、篭手から伸びた剣先からビームを放った。
どかんと遠くのビルで爆発が起こった。
「これで私の邪魔をするものは誰もいなくなりました。さて、お嬢さん、どうしますか?」
「ぜ、ぜ、絶対許さないのぉぉぉぉ!!」
わたしは、禁じ手を開放した。
「もー、ワシ辛抱し切れぬのじゃぁ!! メイ殿、がんばれー!」
ええ、書いているわたしも心からメイちゃんを応援中です。
このまま一気に最後まで書き上げますぞ!
「明日の最終決戦を待つのじゃ!」




