第37話 ピンチ! パワーアップした敵なんてポイポイしたいの!
「もう残るはカルラ、アンタだけなの! 謝るなら、今が最後。土下座するなら、頭踏んずけるだけで許してあげるのぉ!」
「おい、メイ。そんな降伏勧告は無いぞ」
わたしは、お母さん達と戦っているカルラに降伏勧告をした。
まあ、言い方は人それぞれって事なの。
お兄ちゃんには突っ込まれたけど。
「確かに、引き時ではあります。そちらの少年の首はほしいのですが、多勢に無勢。逃げさせて頂けますか?」
「それは甘いと思いますの!」
カルラは逃げようとするも、お母さんが追撃をするから逃げられない。
「では、ボクも参戦しましょう!」
そこに師匠も入れば、カルラは防戦いっぱいだ。
「くぅ! 手ごわい! ガンダルヴァも能無しで役立たず。せめて1人くらいは道連れにして欲しかったですのに……」
「にゃにゃにゃ! がんだるばぁ、つよかった。 おまえ、よわい!」
ラーラちゃんもそこに加わって高速攻撃をする。
……ラーラちゃんにとっては、ガンダルヴァはお父さんの敵だけど、道具にされた姿を見て哀れに思ったんだろうね。
「わたしも!」
わたしもカルラの背後に回りこみ、足元へ突きを連打する。
「く! これは、凌げません。しょうがない、はぁぁ!!」
囲みこまれたカルラ、急に身体の周囲に紅いフィールドを爆発的に展開した。
「きゃ!」
わたし達は、フィールドに弾き飛ばされて、カルラから3m程離された。
「これは『取って置き』でしたが、しょうがありません。では……」
仁王立ちしたカルラは、懐から何かを取り出した。
しかし、次の瞬間、カルラの胴体にぼこりと大きな穴が空く。
ぱーん。
軽い射撃音が響いた。
「ぐぅぅぅ……」
口や胴体に開いた穴から大量の血を噴出すカルラ。
……また狙撃。一体誰が撃ったの?
◆ ◇ ◆ ◇
「メイ。ごめんね、手柄取って。でもね、僕は皆の手をこれ以上血で汚させたくないんだよ」
カルラを見下ろす場所にある高層ビルのベランダ。
そこに多くの自衛官が、都市型迷彩ギリースーツを着て待機している。
そして、銃身の周りにフィールドを纏わせた対物ライフルの照準で、なおもカルラを狙うマナブ。
「じゃあ」
身動きしないカルラの頭部に照準を合わせたマナブは、トリガーを引いた。
◆ ◇ ◆ ◇
「わ、私は……。こんなところで終わりません!!」
カルラは血を吐きながら大きく吼えた。
ガキン。
カルラの周囲の真紅のフィールドが膨れ上がる。
そして頭部を狙ったであろう銃弾を弾き飛ばした。
「ぐぅるぅぅぅぅ!!」
カルラが纏ったフィールドは竜巻の様に暴れまわる。
そしてどんどん濃密に激しくなる。
「うぅぅぅぅぅぅ!!!!」
そしてカルラの咆哮もどんどん大きくなる。
「おかーさん、これって?」
「ええ、絶対不味い状況なの」
「嬢ちゃん達、油断するなよ」
「く、メイ……」
「にゃ?」
わたし達は、一端カルラとは距離を取り、集合した。
「はー!!!!」
そして大きな咆哮と共に、フィールドが晴れた。
そこには身体を真紅の石らしい鎧で覆ったカルラが居た。
頭部には鬼を模した兜、胸部や腹部には強固な装甲があり、先ほど撃たれた弾痕も無い。
そして両手両足には、ごつごつした篭手、具足を装備し、背には真紅のマントすらある。
……ナニ、あれ? 普通じゃないのぉ。
わたしは、自分の脚が震えているのに気がついた。
「もう私はヒトには後戻りが出来ません。ここまで私を追い詰めた貴方方、素晴らしいです。本当は皇帝を討つまで温存するつもりではありましたが、しょうがないです。さて、1人ずつ片付けますか」
ボソボソと語るカルラ。
さっきまでとは、まったく違う殺気にわたしは恐怖を感じた。
「では、ご老人から!」
カルラは両腕の篭手から石剣を伸ばし、わたしが見切れない程の速度で師匠に踏み込んだ。
「く、年功序列ですかぁ!!」
師匠は、数合カルラと打ち合う。
わたしでは、2人の攻撃が全部見切れない。
そして30秒もしないうちに、師匠の剣を捌いたカルラは強烈な蹴りを師匠の腹部へと放ち、師匠は、ひっと声を上げて轟音と土埃を巻き上げながら50mは離れていたビルへと突き刺さった。
「まず1人」
カルラが舌なめずりをしながら、わたし達を見る。
「あーちゃん、メイ達を御願い!」
お母さんは、カルラへ向かって飛び込んだ。
「もう貴方の技は見切りましたよ」
カルラはお母さんの「やまじ」を軽くいなす。
「く、娘達は貴方にやらせません!!」
お母さんは連撃技を繰り出す。
「ほう、まだこれだけの技を持っていますか」
しかし、カルラはお母さんの攻撃を簡単に捌く。
「母親はねぇ、子供の前じゃ絶対負けられないのよぉぉ!!」
お母さんの攻撃スピードが此処に来て更に早くなる。
もうわたしでは見えない程に。
「く、これは凄い。さっきまでの私なら殺されていましたよ。でもね!」
カルラのフィールドが瞬間的に膨れ上がり、お母さんを弾き飛ばす。
「これでお終い!」
カルラは大きく腕を振り、強烈な横薙ぎの斬撃をお母さんへ放った。
「きゃ!」
お母さんは、かろうじてカルラの攻撃を刀で受け止めるも、防御フィールドごと刀は叩き折られ、お母さんも30mは離れたビルへと吹き飛ばされた。
「これで2人。次は怨敵なぼーやかな? それとも猫のおじょうちゃん? 槍のおじょうちゃんは半殺しにして、皆が死ぬところを見せようかなぁ」
地響きが終わった後、土煙を纏いカルラはゆらりとしながら、わたし達を見た。
「うぬぅ。メイ殿のピンチなのじゃ! ワシ、今から行くのじゃ!!」
ちょ、チエちゃん辛抱してくださいな。
明日の更新まで、我慢してよぉ!!
「じゃって、このままでは皆が殺されるのじゃ。ワシ、悲劇は見とう無いのじゃ!!」
そこは私を信用してくださいよぉ。
「しょうがないのじゃ! ハッピーエンド指向の作者殿を信用するのじゃ。もし、悲しい事になるのなら、ワシ大暴れするのじゃ!!」
た、多分大丈夫だとは思います。
「では、明日を待つのじゃ!」




