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「戦乙女はお兄ちゃんが大好き~ひとの恋路を邪魔する魔物は、わたしの力でポイポイしちゃうの~」  作者: GOM


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第36話 逆転! お兄ちゃんとわたしが一緒なら無敵、絶対ポイポイしちゃうの!

「ふぅ。なかなか動きが止まらないから困ったよ」


「さすが、秋月元二尉。今も現役で通用しますよ」


 はりの市東部にある高層ビル、その屋上に数人の自衛隊員が居る。

 1人は、多くの付属品を付けた.50口径対物ライフルの照準器から眼を離した。


「いえいえ、自分も衰えました。昔なら、もっと早く撃ててましたよ。しかし、危機一髪。もう一歩で娘が死んでました」


 迷彩服に身を包む秋月 学予備役二尉は、肩周りをぐるぐると廻した。


「いえいえ、初弾で一撃ですもの。すごいですね。しかし、元二尉の娘さんがバルキリーちゃんだなんて!」


「それを言うなら妻や甥っ子も今、あそこで戦っていますよ。さあ、急いで場所を移して次の狙撃ポイントへ移動しますよ」


「はい!」


 マナブは戦う娘達を温かい眼で見る。


「みんな、頑張って!」


  ◆ ◇ ◆ ◇


「タカコ穣ちゃん、話は通信で聞いてる。ボクがこいつの相手するから、君は向こうにいって来てね」


「兄弟子、御願いしますわ!」


 師匠はガンダルヴァに連続で切りつけながら、お母さんに指示を出す。


「あ、メイちゃんは無理しないでいいよ。パワー温存で。しばらくはボク1人で十分さ。この変身スーツ凄いね。これだけ動いても息が切れないや!」


 わたしの眼でも剣筋が見えないスピードでガンダルヴァに切り付ける師匠。

 どんどんと装甲に切れ込みが入ってきていて、ガンダルヴァも防戦一方だ。


「突然乱入とは失礼ですよ。あ、こちらもですか!」


「ごめんあそばせぇ」


 カルラとラーラちゃん、お兄ちゃんの戦場に割り込むお母さん。

 こちらも連続技を繰り出すので、カルラは守りに徹するしかない。


「あーちゃん。メイのところにいって、一発ぶっ放して!」


「了解!」


「逃がしませんよ!」


 お母さんの命令で引き下がろうとしたお兄ちゃんにカルラは真紅のフィールド攻撃を放った。


「く!」


 フィールド弾はお兄ちゃんの頭をかすめ、その勢いでお兄ちゃんのヘルメットが吹き飛んだ。


「その顔は……。おまえ、いえ、貴方は??」


 お兄ちゃんの素顔が明らかになった瞬間、カルラの攻撃が止まり、驚愕の顔をした。


「隙アリ!」


 その隙を逃さないお母さんは、上段から大きく刀をカルラ目掛けて振り下ろした。


「くぅ!」


 がちりと剣でお母さんの刀を受け止めたカルラ。


「そうか、そういう事ですか。はははは。これは運命ですねぇ。ガンダルヴァ、そこの男を殺しなさい。そうすれば、皇帝に嫌がらせできます!」


 いきなり笑い出して、お兄ちゃんへの攻撃をガンダルヴァに命令した。


「そんな事、ぜーったいさせないのぉ!」


 わたしは、ヘルメットを被りなおしているお兄ちゃんへ向かうガンダルヴァの背中へ回り込み、無防備な膝裏目掛けて渾身の技を打ち込んだ。


「『夜之矢槍(よるのややり)』!」


 師匠の流派、天真正伝(てんしんしょうでん)香取神道流(かとりしんとうりゅう)の槍技の一つ、中段の構えから足元への攻撃技。


 わたしは、師匠から昔話で神道流の槍技がどういうものなのか聞いた。

 もちろん正式に習った訳ではないけど、なんとなくは分かる。

 見よう見まね、ではなく、聞きかじりだけど。


「ぐぎ!!」


 わたしの槍先は膝裏、装甲が薄く蛇腹になっていた部分へ深く突き刺さった。

 そして、ガンダルヴァはどーんとうつぶせに倒れた。


「お見事!」


 師匠からお褒めの言葉が飛ぶ。

 そしてすかさず師匠は、倒れたガンダルヴァの背中に刀を突き刺した。


「ぎぃぃ!」


 ジタバタと暴れるガンダルヴァ。

 そして仰向けに寝返りを打つのだが、キャノピー越しに見えるガンダルヴァの表情は、なおも虚ろだ。


「哀れよのぉ」


 手足を振り回すガンダルヴァの攻撃からひょいと逃げる師匠。

 ガンダルヴァの顔を見て悲しそうな声を出す。

 その表情は遮光バイザーのためにはっきりは見えないけど、たぶん悲しそうな顔なんだろう。


 ……あーなるとちょっと可哀想な気もするの。


「メイ、一気に行くぞ。介錯してやるのも情けだ!」


「うん、おにーちゃん!」


 わたしとお兄ちゃんは並んでお互いの武器を高く掲げた。


 ……ガンダルヴァ、アンタは強かったよ。出来たら、ちゃんとした形で決着付けたかったの。さようなら。


「いくの! 合体(シンクロ)!!」


 わたしは涙を溢しながら宣言した。


「「『和音(ハーモナイズ)爆裂(ブラスト)』!!」」


 お兄ちゃんとわたしのコールがハモる。

 2人の上に掲げた武器先からお互いのフィールドがほとばしり絡み合う。


「どうして! ナゼ、反発するはずのフィールドが合わさるんだ! まさか、それはアノ方の血が成せる技なのか!!」


 カルラは、お母さんとラーラちゃんの猛攻をなんとか凌ぎながら、わたしたちの技を見て驚く。


 ……あの方の血? そういえば、さっきもカルラっておにーちゃんの顔見て驚いてたっけ?


 わたしは、一種カルラの発言に気を取られたけど、もう一度ガンダルヴァを見た。


 ……かわいそーなガンダルヴァ。今度は、戦が無い世界に生まれ変われたら良いよね。そしたら、友達になれるかもね。


 わたしは、ひとつ深呼吸をした。

 そしてお兄ちゃんの顔を見て頷いた。


「「『発射(シュート)』!!」」


 わたし達は同時に武器を振り下ろし、穂先に集まっていた虹色のフィールド太矢(ボルト)は、ジタバタしてたガンダルヴァへと発射された。


「ぎ?」


 眩しい光がほとばしり、ガンダルヴァだったモノは一瞬で無に帰った。


「ふぅ、これでラーラちゃんのお父様の(かたき)は討てたよね。ガンダルヴァ、成仏してね」


 わたしは、両手を合わせて一瞬黙祷をした。


「成仏しろ」


 お兄ちゃんも同じようにしていた。


「お2人、まだ敵は残っているよ。さて、最後の仕上げに行くぞ!」


「はい、ししょー!」

「ああ!」


 わたし達は残るカルラへ目掛けて走った。

「哀れなガンダルヴァ、最後は異形な怪物にされて使い捨てとはのぉ。なむなむなのじゃ」


 チエちゃん、ありがとうございます。

 哀れな敵キャラでしたが、彼にもああなった理由があったのです。

 まあ、裏設定なので公開はしませんけどね。


「カルラの過去が見えたのじゃから、なんとなくは分かるのじゃ。どうせ異世界転移後、酷い目にあった皇帝辺りが恨み晴らしに酷い差別やったんであろうなのじゃ! 『アルドノア:ゼロ』辺りも元ネタかや?」


 ま、まあ、そういう感じですね。

 では、明日の更新を……


「楽しみにするのじゃ! ブックマークなども待っておるのじゃ!」


 あーん、台詞取られちゃったぁ!

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