33/34
過去からの依頼人(その33)
ミツオがタバコに火をつけた。
「ずいぶん、手の込んだ登場をするじゃないか」
「ひさしぶりだ」
「お前、生きていたのか」
ミツオは煙と共に相棒に問いかけた。
「いや、死んだよ」
「じゃあ、誰なんだ」
「一本、もらってもいいか」
ミツオは安藤カツオにタバコを差し出し、火を点けた。カツオは煙と共に口を開く。
「ゼロ課に配属された俺の特殊能力が何かは知らないだろう」
ミツオが無言でうなずく。
「俺は人ではない。かといって地球のものでもない。何者でもない、小さな物体の集合体だ。ゼロ課が作り出した知能を閉じ込めるただの器。家族はただの作り物のお話だった。安藤カツオも安藤エミも安藤佳央里も実在しない」
「存在の葛藤があの連続殺人だったのか」
ミツオが問いかける。
「そうだ。法では裁けない悪い奴を殺す。それが俺の存在意義だと思った」




