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過去からの依頼人(その32)
蜘蛛の集合体。モザイクのようにあいまいだった輪郭が、再び姿をくっきりと現した。立体映像で投影された姿は妻のエミだった。激しく動揺したミツオが言葉を漏らす。
「安藤カツオと安藤エミは同じ個体で、なおかつ人ではない。ならば、どうして過去の知られてはならない犯行の捜査を俺に依頼したのか」
ミツオに一つの疑問が浮かんだからだ。目の前の佳央里は一体、誰の子供なのだろう。
同じ疑問に到達したであろうエリーとミツオが思わず佳央里を見る。佳央里が何かを思い出したかのような視線をミツオにむけた。
その直後、佳央里の輪郭が崩れ始めた。小さな小さな金属の蜘蛛が佳央里の足下へと流れ落ちていく。台所へと続くドアの隙間からも室内に新たな蜘蛛が侵入してきた。
「この蜘蛛はさっき台所にいたエミさんということだな」
ミツオとエリーは事の成り行きを見守るしかなかった。
再び蜘蛛が集合を始める。そこに人の姿が現れる。
かつての相棒、安藤カツオがたたずんでいた。




