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過去からの依頼人(その31)
室内にホログラムが浮かび上がる。カーソルが点滅する、パスワードの入力画面が現れた。ミツオが口を開く。
「もしかして、二番目の事件。列車に繋げられた、棺桶の底面にあった数字列。誰の目にも触れなかったが、公表はしていたあの数列」
ミツオは懐から分厚い帳面を取り出して、書き写していたパスワードを見つける。その数字列を入力する。
「パスワード OK」
三人は息を飲む。
「お父さんは事件となにかしらの関係があったということだ」
ミツオは佳央里の目を見ながら確信のある言葉を告げた。
「そんな……」
佳央里は次に現れるであろう映像を見逃さないように目を見開いている。
自撮りの構図でカメラのスタートボタンを押す男。佳央里の父であり、ミツオの相棒が画面いっぱいに収まっている。男の独白が始まった。
「この映像を見ているという事はそういう事で間違いない。俺が主犯だ。正確には皆が知らない俺の犯行だ」
画面の男の輪郭が崩れて小さな蜘蛛の集まりに変化する。散り散りになった小さな蜘蛛は、一匹一匹がメタルの輝きを放っている。もう一度蜘蛛が集合する。一つの固まりに再び集まった蜘蛛は男の姿では無かった。




