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過去からの依頼人(その30)
ミツオは窓際にある写真を見る。さっき佳央里が見せた写真の現物。引き出しを調べようとミツオは思った。引き出しの数は、机の天板の下に一つ、脇机の二つ。
ゆっくりとした動きで引き出しを見ていく。引き出しにはほぼ何も入ってはいなかった。あったものはジッポーライター一つ。
「お父さんはタバコは?」
ミツオは自分の記憶を探る。たしか自分のライターを持つほど吸ってはいなかったような気がする。
「分かりません」
佳央里は答えにならない答えをかろうじて絞り出すだけだった。
「そうか」
ミツオはジッポーライターのフタを開ける。甲高い金属音と共に、なめらかな動きでフタは開いた。焼け焦げた跡のない新品の状態。ミツオはオイル充填部となるユニットを引き抜いた後、顔色がくもった。
「こんな細工がしてある。これ君は知ってた?」
佳央里にユニットを見せる。通常ならばガスを充填する綿が入っている空間にフタがしてある。そのフタには丸く小さなボタンが一つあった。ミツオは静かにボタンを押した。




