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過去からの依頼人(その24)
ミツオは車内の沈黙をかき消すようにギアを一速に入れてブルを発車させる。
「さっきの相手はまだ若いな」
「私もそう思いました」
「どうして今、襲ったんだろう」
「どういう事ですか」
「俺が連続事件の再捜査に関わったタイミングで襲われた。十何年前の事件だぞ。襲うならもっと早くてもよかった」
エリーは無言でうなずいている。「安藤には一人娘がいたんだな。しかもタスカルを発明した有名人、デジタルには明るい」
エリーがミツオを遮るように口を開いた。
「先ほどのやり取りからさらに相手の事が分かりました」
色めきだつエリーにミツオはわざと落ち着くようにゆっくりと聞き返す。
「何かな」
「依頼人である安藤夫人と共通のデータが存在します。おそらく自宅から発信されていると思います」
ミツオはエリーの返答を聞いて遠くに視線を投げた。タバコの煙を吐き出す。一体なんだというのだ。
「娘の名前はたしか佳央里だったな。さっきの相手は佳央里で確定だな」 ミツオはそうつぶやいた。




