過去からの依頼人(その20)
ドローン型作業車がミツオの顔面めがけてアームをつきたてる。ミツオはアームをできるだけひきつける。顔面に刺さる直前でくるりと回った。ドローンは突き刺す相手がいなくなり体勢をくずした。ミツオはドローンから真っ直ぐに伸びているアームを横から絡め取り、バットの要領でドローン本体ごとフルスイングする。ミートする場所は、すぐわきでショベルを持ち上げているショベルカーだ。ライト横のセンサー集合体を狙う。ミツオの一撃でドローンとショベルカー二台の動きが止まった。
しかしまだ安心は出来ない。後方から針の飛来が続いている。ショベルカーの巨体にとりあえず二人は身を隠す。エリーはまだ電力が残っているドローンに手首からのケーブルをつないだ。
「どうだ、何かわかったか」
後方のニードル作業車が移動を始めた。あせるミツオはエリーには視線を向けずに聞いた。
「ハッキングされています。私達を襲うための位置情報、外観が詳細に指示されています」
「そうか、誰がこの指示を出しているのか引き続き調べてくれ。おれはあの針の化け物をなんとかする」
ミツオはショベルカーに固定されていたスコップを手に取った。とまどうエリーを残してミツオは飛び出す。
針は放物線を描く挙動で打ち出されている。ミツオは少し回り込んだ後まっすぐニードル作業車に突進する。
ミツオの接近に気付いた作業車は針の打ち出しを斜め上方から水平へと変化させようとしている。ゆっくりと自分にむきつつあるニードルガンを見てミツオは恐怖を覚える。身を隠す遮蔽物はミツオと作業車の間にはない。距離はまだ7mほどある。ミツオの武器は手にしたスコップだけだ。ガンはミツオを捉えた。間に合わない。おもわずスコップで顔を隠すのが精一杯だった。
ニードルの発射が停止した。
「リロード」
ミツオは針の交換時期を直感し自分の運の良さに感謝する。リロードの間にニードルカー本体にとりついたミツオは、センサー部を手にしたスコップで思い切りたたく。目を失ったニードルカーは自身の安全装置を優先させ、停止した。




