第4話 はじめの一歩!
「わー!」
「キャー!!!」
ビックリして思わず叫んでしまった。
私は怖くて隅っこに寄ってうずくまっていた。
するとその人は出てきて笑顔で話しかけてきた。
「ごめんごめん、まさかそんなに驚くなんて思わなくてさ。私はここのバイトの雲井菜優って言うんだけど、久瑠美ちゃんから聞いてない?」
私は動揺が激しくて理解するのに時間がかかってしまい返事をするのが遅れた。
「は、はい。さっき聞きました。名前や容姿までは聞いていなかったので少し驚いてしまって…。」
「なーんだ。良かったよ〜。あ、タメ口でいいよ?私は年下の人とも仲良く話したい人だからね〜。よろしくね美蘭ちゃん。」
「え、えっと、う、うん。よろしく…ね?」
「そうそう。それでいいよ。」
なれない年上との会話に戸惑いつつも何とか好印象になったかな。
でもやっぱり年上にタメ口ってのはやっぱり難しい。
着替えながら菜優さんと話す。
「菜優さん、その、どのくらいの頻度でバイト来てるの?」
「えっとね、ほぼ毎日かな、流石に平日は学校あるから夕方からだけどね〜。美蘭ちゃんは?」
「わ、私もほぼ毎日来るつもりでいるよ。」
「そっか、じゃあお互い頑張ろうね。」
と会話をしているうちに着替えが終わり、更衣室を出た。
するとその先にはもう隆二くんが着替えて待っていた。
「美蘭ちゃん着替え終わったぽいね。さっき大きな声が聞こえてきたけど何かあったの?」
「え、えっとね…。」
「あー、それは。私が脅かしちゃって。こう、わっ!て。」
「あー、なるほどです。美蘭ちゃんそういうの弱いですからね。」
私はニッコリと隆二くんを見ながら言った。
「りゅ、隆二くん…?」
「あ、ごめん。」
隆二くんは一言言って次にこう言った。
「でそちらは?」
「あ、えっと紹介するね。私もさっき会ったばかりなんだけど、雲井菜優さん。」
「よろしくね〜。あ、私と話す時はタメ口でよろしく〜。」
「分かったよ。よろしくね。じゃそろそろ表行こうか、もう5分前だし。」
てことで私たちはお店に出た。久瑠美さんによるとお客様が多く来る時間帯は夕方から夜にかけてらしい。
「菜優ちゃん、あのーその、お客様が見えたらなんて話しかければいいの?」
「いらっしゃいませって最初は言って、次は何か探していたらお客様の近くに行って、なにかお探しでしょうか?と聞くの。」
うんうんと相槌を打ちながら聞く。
「それからは、もし違ったら、失礼しました、また御用がありましたら店員までお申し付け下さいって言うの。探してるって言ったら自分の知識のあるだけを使って選んで差し上げるのよ。大体分かったかな?」
「うん!ありがとう!」
なるほどね。少し大変そうだけど頑張らないと。
「それじゃ美蘭ちゃんには、物の場所を大体覚えてもらうね。」
「うん。」
私と菜優ちゃんはレジ近くに移動した。
「ここにあるのが花をラッピングする道具ね。会計と一緒にやるからここに置いてあるの。」
「なるほど。」
次に私たちは店の入口前に移動した。
「ここからお客様が入ってくるからなるべく、毎回開店前に掃除するよ。」
と菜優ちゃんは細かく教えてくれた。
それから大体2時間くらいは、私はお店の裏方仕事をやっていた。
大体久瑠美さんに言われたり、菜優ちゃんに言われたことをやってたらあっという間に時間が過ぎただけなんだけど。
裏のことをやっていたら、荷物を持った隆二くんとぶつかってしまった。
「キャッ。」
「あ、美蘭ちゃん。ごめんね。 」
「あ、こっちこそごめんね。」
ぶつかった瞬間はビックリして気づかなかったけど、落ち着いて見てみると隆二くんの持ってる物は意外と重そうだった。
「隆二くん?重たくない?大丈夫?」
「おう。これくらいなら平気だぞ。うーん、というかむしろ軽いかな。」
「そ、そう?ならいいんだけど。」
と会話をして仕事に戻った。
開店からしばらく経ち現在5時。
お客様が1番来る時間帯だ。
私はお店の表に出るように言われた。
表に出てみると人は大勢って言うほど多くはないけど、昼間見た時よりはいた。
ほとんどの人は自分で見て自分で選び帰って行ったが、6時を回った時でもまだ残っている人がいた。その人は店の中の花を見ながらグルグル回っていた。
私は迷ってるのかなと思い菜優ちゃんの言っていた通りに言ってみることにした。
「あの、失礼ですが。何かお探しでしょうか?」
と呼びかけ、お客様をよく見ると優しそうなお婆さんだった。
「そうね〜、ずっと何がいいか分からなくてグルグル見て回ってたのだけれど。」
「お客様自身でお楽しみ頂くためのお花ですか?それとも、どなたかにプレゼントするためのお花ですか?」
「息子がね最近私より先にいってしまってね。お墓参りに行くための花を探しにきたんだよ。」
と聞いた私は考えるために少しだけやってもらった。考えに考えて出した答えは。
「カーネーション・アイリス・キンセンカ・ユリなどどうでしょう?棘のない花ですし、匂いも強すぎるわけではないですので最適だと思います。」
「あ〜、そうかね〜。じゃあ〜、それを貰おうかね〜。」
「ありがとうございます。」
知っているだけの知識でしかなかったけれど、それを実践することにより、少しでも他の人の役に立てることが嬉しく思った瞬間だった。
バイト終わりの6時半となった。
私達のバイトは12時から6時半まで。
菜優ちゃんは特殊で平日は5時前くらいから7時まで。店は7時半に閉めるらしい。
「美蘭ちゃん、隆二くん。もう上がっていいわよ!」
「はい。久瑠美さん、お疲れ様です。」
「お疲れ様。」
私は隆二くんを呼びに行った。
「隆二くーん、上がりだよ〜。」
「OK〜。今行くね。」
私達は更衣室に向かった。
その時更衣室で菜優ちゃんと偶然に会った。いや必然かもしれない。
今日は土曜日。そう、休日だから菜優ちゃんも上がりなのだ。
「菜優ちゃんお疲れ様〜。」
「あ、美蘭ちゃん、お疲れ様〜。」
私は制服を脱ぎ始めた。着替えていると少し視線を感じたのでその方向を見てみると…。
「な、菜優ちゃん!?何見てるの!?」
「あ、いやー、一応確認なんだけど、美蘭ちゃんって中学卒業してるんだよね?」
「う、うん。けど、それがどうしたの?」
「言っていいか分からないんだけどさ。」
「う、うん。なに?」
何かいけないことでもあったのかなと思った。でも違った。
菜優ちゃんは意外なことを言ってきた。
いや、自分では分かっていて、他の人に言われたことがなかったから意識してなかったのかもしれない。
「美蘭ちゃんって結構な幼児体型だよね。」
「あ…。この体型は気にしないで。年はほんとに15歳だから。」
「なんか変なこと聞いてごめんね。」
「い、いえいえ。」
正直戸惑った。まさか突っ込まれると思わなかったから。
止まっていた手を動かし着替えを再開した。
ちょうどしたぎすがたになった時、またまた菜優ちゃんのイタズラが…。
(ふにゅっ)
「きゃっ、ちょっ、菜優ちゃん?」
「いやー、ついつい(笑)。それにしても美蘭ちゃんって出てないと思ったら少しあるのね。」
「うー。」
「あ、もしかして1番は好きな人にとか考えたりしてた?」
「ち、違うもん。」
「あー、ごめんごめん。気づかなかったよ。」
「だーかーらー!違うって!」
私はついつい大きな声を出してしまった。
「おー、美蘭ちゃんの大きな声初めて聞いた、結構出るじゃない。」
「いや、えっと。なんか恥ずかしい。」
その後普通に着替えて店を出た。
すると菜優ちゃんも同じ方向に来た。
「え、菜優ちゃんもこっちの方向?」
「うん、そうだよ〜、この道を少し行くと家なの。」
「へー、家近いんだね。学校も近く?」
「うん、そうだよ〜。」
とまあ話にあった通りに分かれ道で菜優ちゃんと別れた。
「ねぇ、隆二くんはなんで話さなかったの?」
「いやね、美蘭ちゃんが楽しそうに話してるから邪魔しちゃ悪いな〜って思ってさ。」
「いやいやいや、隆二くんも話そうよ!ね?」
「ま、まあ、美蘭ちゃんがそう言うならいいけどさ。」
なんか隆二くんって変な所で気を回すよね。なんか変に優しいし、優しすぎるし。
帰ったらもう8時近かった。
ママは心配してるかなって思いながらドアをガチャリと開けた。
「ただいま〜。」
「美蘭、隆二くん、おかえりなさい。どうだった?」
「私は疲れたかな。」
「僕はいい経験になりそうかなと思いました。」
「うんうん、2人ともいい経験が出来たみたいで何より。」
とママはあっさりしていた。隆二くんに信頼を置いているのかそれとも…。
まあそれはさておきやっと1日が終わった。
結構長く感じた。明日は日曜日でお店は休みらしい。明日はなにしようかな。




