7 一人ランチも悪くない
侯爵令嬢ルイの通う校舎は中等部棟の2階。ル・リゼ校は中等部3学年と高等部3学年の6年制。飛び級ありだが、ルイは学園生活を満喫したい。
6年間、たっぷりだらけるぞ。そして今世初のお友達を作る。そんな意気込みも初日で半減したが、めげない。食で挽回だ。
友達は自然にできるさっ!と自分を鼓舞し、昼ごはんに向かう。
講堂を兼ねた食堂が校舎中央に位置し、3食とアフタヌーンティーが提供される。さすが「正しい食生活」を学園の方針に掲げるだけある。ご飯が美味しい。学生が各国から集まるため、食の幅も多国籍。
「いやあ、良いわあ」
今日は自室のテラスにて1人ランチ。
登校初日で、友達作ろう作戦は諦めた。
「サラも一緒に食べない?」
給仕中の万能メイドに声をかける。
「メイドは主人と同席しません。後で頂きます。私の分は事前に取り分け済みです」
ちゃっかりしてるのね。ま、一人でも、全面に緑が見えるテラスでの食事は美味しいからいいか。
冬なのに寮のテラスは温室内にあるような構造のせいか、落葉樹が茂っている。
もぐもぐサラダを食べていると、白い猫がテラスの手摺りにお行儀良くちょこんと座っているのに気がつく。
「いつから居たのお〜?」と思わず話しかける。
「今、来たばかりだよ」と猫の方から返事あり。
サラも私も固まる。猫が喋った?
「そんなに、驚くなよお。ホワイトウッドの血縁と契約する精霊には、白い猫って常識じゃね?」
常識って何?猫は『にゃあ』でしょ。
「だからあ、白い森の精霊の加護を受けたホワイトウッド家は、たまあに精霊の気まぐれでえ…」
「失礼します。猫様、もう少し語尾を伸ばさずにお話し頂けませんでしょうか。お嬢様が真似します」
教育的指導を忘れないサラが、白い猫姿の精霊様のお言葉を遮る。
「んー、無理いー」
だるい喋り方がさらにゆるくなる。
突然現れた白い猫の姿を横目に、ルイはソテーした白身魚を慌てて食べた。




