30 勘違いからの解決
すやすやと眠り続ける侯爵令嬢ルイ。
今日の夢は、不思議だった。
転生前の激務でもなく、大好きな日本食でもなく、きつい現世の王妃教育でもない。
からだがふわふわと浮いている。
どこに?
雲?
寝ている間に耳元で精霊王達の会話が聞こえた。
「ひどいなあ。私は呪いなんか掛けていない」
堅い声。
「黒い鉄鋼の精霊王よ。私は貴方がルイ嬢を観察しているのを見た」
柔らかい女性的な声だが、低い中性的な感じ。
「新緑の女神よ、落ち着いてください」
「何よ。炎の精霊王はどっちの味方なの」
「味方とか関係なく、ここは冷静に」
この声、白ちゃん!
「白樹の精霊王、落ち着いているわね」
新緑の女神が白ちゃんに詰め寄る。
どうも、新緑の女神は相手によって言葉遣いが変わる。
「とにかく、呪いを解かないと、眠りは醒めない」
黒い鉄鋼の精霊王らしき声が静かに言う。
「どうやって解くのよ」
新緑の女神が相変わらず興奮気味。
「そもそも誰がのろいを掛けたのかだ」と炎の精霊王。
「これ、のろいなのかな?深く眠るまじないというか…」
白ちゃんがモニョモニョと言っている。
精霊王達の声が遠ざかっていく。
ずっと寝ている感じはしたけれど、これ呪いだったのね。
私、誰かに恨まれるようなことしたかしら?
前世では面識のない人から会社で悪口を言われたこともあったから、身に覚えがなくても一方的に嫌われる可能性もある。
呪いの解き方かあ。
分からん。
王子様の愛のキスとか?
厄祓いとか?
ルイがもやもやしていると、アル王子の声が聞こえた。
「なんだか騒がしいね」
白ちゃん、にゃあと鳴く。
「おや、今日は黒猫も居るね。どこから入ってきたのだろう」
窓が開いているのか、樹々の葉がざわざわと揺れる音がする。新緑の女神だろうか?
「まだ秋なのに、暖炉に火がついている。もしここに4精霊王が集っているのなら聞いて欲しい」とアル王子が宙に向かって語りかける。
「ルイ嬢はどうも単に寝ている」




