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28 挙動不審な黒い精霊
ブラックウッド領の黒い森の精霊達は、ホワイトウッドの精霊達と相性が悪い。
精霊に喜怒哀楽は無いが、水と油的な感じ。
「ホワイトウッドの申し子が生まれたみたい」
黒い精霊達がざわつく。
「この国の未来の王妃」
「目がくりくりで、肌は陶器のようにすべすべ」
「静まりなさい」
黒い森の主である鉄鋼の精霊王が堅い声で小さきもの達を諭す。
誕生から13年。
あの日、ちょっと見に行っただけ。
成長したルイを。
天蓋付きベッドでだらだら中の侯爵令嬢ルイは、無邪気に白猫と戯れている。
「私、黒い猫の方が好き」
確かにそう聞こえた。
「じゃあ、黒い猫には、ブラックウッド領の黒い森の精霊がなれるの?」
ルイが白猫姿の白樹の精霊王に問う。
「その可能性は高いけれど、そもそもその精霊が猫になりたいかどうかだね」
侯爵令嬢ルイと白樹の精霊王の会話に、鉄鋼の精霊王は耳を澄ませる。
鉄鋼の精霊王は、黒い猫になりたいと思ったことはない。
が、悪くない。
と思った。
そんなソワソワしている鉄鋼の精霊王を、偶然通りがかった新緑の女神が目撃する。
コソコソと侯爵令嬢ルイの寮室を覗き見ている挙動不審の輩。
明らかに不審者である。
新緑の女神は白樹の精霊王に通報しようと誓った。




