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23 過去の夢
瑠衣は入社1年目の社会人。
就職氷河期にやっと決まった1社に、建築設計の意匠担当として採用された。
やりたかった仕事だが、徹夜、よくて終電、1ヶ月間休み無し。
先日、先輩が過労死した。
優しく教えてくれた先輩で、一緒に徹夜したり、仕事のコツを教えてくれた。
そんな先輩が帰らぬ人となった時、会社は彼の持病をとり上げ、会社に責任は無いと社内に触れ回った。
その時に、瑠衣の心は、蛸の糸が切れたようにふわふわと会社から、社会から、離れていった。
「ああ、辛いなあ。悲しいなあ」
瑠衣は、会社の屋外階段で空を仰ぎながら呟く。
空が青い。
そのことに久々に気がついた。
家、電車、会社の往復で、空を見上げていなかった。
透き通った青空の美しさすら気が付かない、今の自分の状態はおかしい。
夜も眠れない。
眠れない日々が続くと、ここから消えれば解決するのではと唐突にふと考えが浮かぶ。
いやいやいや。この思考はまずい。
現実に戻る。
それにしても眠い。
今、寝ているような。
この現実が夢のような。
時折、遠くから名前を呼ぶ声がする。
『ルイお嬢様』
瑠衣は白昼夢を見ているような感覚で、東京の下町をビルから見下ろす。




