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社畜転生令嬢は惰眠を貪りたい。王妃には興味ありません。  作者: MOKO773


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15/32

15 新緑の女神現れる

5月になると、春の初々しさも落ち着き、ル・リゼ校には静かなそよ風が吹いていた。

そんな終わったはずの春が中等部棟の校舎裏ではまだ続いていた。甘酸っぱさ満点で。

「あ、あのっ」

下を向きながら、中等部3年の女生徒が、銀髪の青年に手紙をおずおずと差し出す。

「ありがとう」

中等部1年のホワイトは爽やか王子アルを参考に身につけた仕草で手紙を受け取る。

「あ…」

何かを期待する目で女生徒はホワイトを見上げる。

「ん?」

目をぱちくりするホワイト。

こんな時、あの王子はどうすんだ?

残念ながら、参考になる教材はこれまで無かった。

「ありがとう」

満面の笑みで、御礼を繰り返してみる。

女子生徒は「ひどいっ」と言って、走り去った。


くすくす

くっくっくっ

と周囲から抑えた笑い声がする。


「趣味悪いぞお、新緑さんよ」

ホワイトは通常運転に戻る。さらさらの銀髪を右手でかき上げ、左手はポケットに突っ込んで、上を睨む。

空を見ているようで、何かを捉えている。

ざあっとそよ風が木々の葉を散らす。

ひときわ大きい樹の下に深い緑色の目と豊かな緑の髪の女性が佇む。

女性の姿をした何か、と言った方が正しい。

「なんか用か?」

素っ気なく言い放つ。ホワイトは同じ精霊同士でも、特に新緑の女神こと緑の精霊王と相性が悪い。

「つれないわねえ。わざわざ会いに来たのに。お邪魔だったかしら」

「お邪魔です。グリーンウッドに帰ればあ?」

そっぽを向いて、ホワイトは会話するのも嫌そうに答える。

「そんなことを言っていいのかしら。せっかく遠くから教えに来てあげたのに。あなたの主人、危ないわよ」

ホワイトが新緑の女神に向き直る。青と金色のオッズアイの目でじっと新緑の目を見る。

白樹の精霊王ホワイトの身体から白い気がゆらゆらと沸き立つ。冷ややかな空気が場を包む。

「そんな恐い顔をしないで。せっかくの男前が台無しよ」

「教えろ」

「ものを頼む言い方じゃないわね」

「お、教えて」

新緑の女神、無視。

「おおおお教えてくださいっ」


穏やかな顔で女神はホワイトに微笑んだ。


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