14 母からの手紙
前略 元気に過ごしていますか?
ホワイトウッドの白樺の樹々は葉が少しつき始め、清涼感のある景色です。
ルイならきっと毎日楽しく、よく食べてよく寝ていることと思います。私の娘ですからね。
こちらはルイが居なくなってから、森の精霊達が少し騒がしい日々が続いています。私のお友達の白い鳥のぴょこに聞いたら、重鎮クラスの精霊様が出奔したとか。口の悪いというかやんちゃな感じの精霊らしいのだけれど、もしかしてルイの近くに行っているのではと思い、手紙を書いています。
ぴょこや曾祖父から聞いた情報を知らせます。例の精霊がルイの元に行っていないようでしたら、以下は読まなくて良いです。
父も母も兄も貴方の幸せを祈っています。
かしこ 母より
ホワイトウッドの白樹の精霊王の取扱説明書
1 . 名前を与えてはならない
2 . 白以外の色を求めてはならない(特に黒)
3 . 人間の姿を乞うてはならない
4 . 懐かれてはならない
5 . 何も与えてはならない
追伸 言い忘れていました。ルイが生まれたとき、ホワイトウッドの森が白く輝き、白い精霊達からの祝福が一斉に届きました。その筆頭が白樹の精霊王だったらしいのです。
「ルイ様、5はともかく、全て実行済みでございます」
冷ややかに万能メイドのサラは主人に宣告する。侯爵令嬢ルイは固まっていた。
「精霊ではなく、精霊王?」
「やっちゃったのは仕方ないとして、実行後はどうなるのでしょう?」
サラ、少し砕けた言い回し。
「ちょっと楽しんでない!?サラ」
「やっほー、元気?」と渦中の白猫こと白樹の精霊王疑惑の白ちゃん登場。
「わざとやってる?」
ルイ、白ちゃんを睨む。
「ササミ、くれ」
白猫は、悪戯っぽく上目遣いにルイを見上げ、右手をルイの顔にむにゅっとした。




