12 何色の猫がお好き?
白い猫を目で追いながら、女子寮の個室の天蓋付きベッドでだらだら中の侯爵令嬢ルイは、ついぽつりと言ってしまった。
「私、黒い猫の方が好き」
ピンっと白いもふもふの尻尾が立つ。
ゆっくりと白ちゃんが振り返る。
目が座っている。
失言を撤回したいが、時すでに遅し。
「んにゃあ?」
ドスが効いている。
「なんで、猫語なの?まあ、いいや。ねえ、白ちゃん、貴方、精霊なんだから何にでもなれるのでしょう?黒い色になれないの?」
「白い精霊は白いモノにしかなれない!」
何だか、白ちゃんが怒っている。精霊だから感情はないはずなのに。
「まして白の反対色の黒なんて、もってのほか!!」
軽く聞いたのに、白ちゃんの機嫌を損ねてしまった。
「じゃあ、黒い猫には、ブラックウッド領の黒い森の精霊がなれるの?」
「その可能性は高いけれど、そもそもその精霊が猫になりたいかどうかだね」
「そういうものなのね…。白ちゃんは猫になりたかったんだ…へえ」
「私は茶トラが好きです」
珍しく会話に入るメイドのサラ。
「茶トラはどこの精霊ならなれるのかな?」とルイの素朴な疑問。
ごろごろしながらルイが考えていると、白ちゃんがベッドにあがり寝そべる。
「このベッドふかふかだなあ」
ごろんと腹を見せる。へそ天。尻尾もご機嫌にふりふり。
白ちゃんは前足で白いリネンをふみふみしてから、ルイの足元で寝てしまった。
今日もサラと白ちゃんだけだが、侯爵令嬢ルイは束の間の平和な日々を楽しんでいる。




