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カルテット・マジコ(アーカイブ版)  作者: piku2dgod
issue#03 I I Dreamed A Dream

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Issue#03 I I Dreamed A Dream CHAPTER 5 22

おせちは、床に散らばる無数のケーブルを音もなく飛び越え、アキノのPCの前に滑り込んだ。幸い、彼女は常にログイン状態を維持している。


間髪入れず、問題の「太陽消滅スレッド」を開くと、預言者「ミス・パラレルワールド」として、驚異的な速度でキーボードを叩き始めた。


その書き込みは、アキノの思考パターンと口調を完璧に模倣しつつ、危機を回避するための一文を、的確に差し込むものだった。


【宛先:PROPHET_ZERO】

【送信者:ミス・パラレルワールド】

【本文:ゼロ、あなた、その情報源はどこ?それは『彼ら』が流した偽情報よ。太陽の自己消滅は、もっと複雑なプロトコルで実行される。そんな単純な話じゃない。あなたのその書き込みは、

大衆をパニックに陥れるだけの危険なデマ。

すぐにスレッドを消しなさい。真の覚醒者は、情報の取捨選択もできなくては】


投稿と同時に、スレッドは新たな熱狂に包まれる。『ミス・パラレルワールド直々の否定』『やはりゼロの情報はガセだったか』――。重鎮による一喝は、瞬く間に太陽消滅説を「信じるに値しない危険なデマ」として、フォーラム内で鎮火させていった。


おせちは、音もなくその場を離れる。そのファインプレーを見届けたさなは、

誰にも気づかれぬよう、指先からごく微弱なサイキックの糸を伸ばす。その糸が、PCの電源ボタンに触れたか触れないかの刹那、画面は、ぷつり、と音を立てて暗転した。


「あら、停電?」と一瞬だけモニターに視線を戻すアキノ。

しかし、彼女の興味は、すでにはちるが体現する「神託」 の方に完全に釘付けになっている。


おせちとアシュリーは、冷や汗を拭う。そして、神の降臨(という設定)を、全力で演じ続けるはちるの姿を、感謝と、憐憫と、そして一抹の尊敬の念を込めて、見守るしかなかった。


一瞬だけモニターに視線を戻したアキノだったが、すぐに興味を失い、再びはちるの「神託」の解析に戻ろうとした。だが、その口から続いたのは、4人を再び凍りつかせる、新たな「預言」だった。


「……そうか、『アセンション』!その初期段階に、『ミニクランチ』が起こるって……。

時空のムダがすべて削ぎ落されて、それぞれの銀河が『アフィニティ銀河』と重なり合うのよ!

これがその兆候なのよね?たしか、天の川銀河はGN-z11銀河だったはず……」


その、あまりにスケールの大きな、そして破滅的な憶測に、

4人は悲鳴のような声を上げて同時に飛び上がった。


「「「「そんなわけない(です)(でしょ)(だろ)!!」」」」


「そ、そうです!この建物、古いですから!よくあることですよ!」

「ただのブレーカーだ、ブレーカー!」


おせちとアシュリーが必死に否定の言葉を叫ぶ。その背後で、

はちるは床に散らばるケーブルのジャングルへと、猫のように素早く潜り込んでいた。

そして、問題のモニターに繋がる電源プラグを、そっとコンセントに差し込み直す。


画面が、再び光を取り戻した。


「ほらな?ただの接触不良だよ!」

アシュリーが、救われたように叫ぶ。


度重なる奇妙な出来事と、けたたましい少女たちの声。その情報量の多さに、さすがのアキノも処理能力の限界を超えたようだった。彼女は、こめかみを指で押さえ、うんざりしたように手を振る。


「……もういいわ。今日は、なんだか疲れたから、あなたたち、もう帰って」


その言葉に、4人は一瞬たりとも躊躇しなかった。蜘蛛の子を散らすように、しかし最大限の敬意を払うかのような奇妙な足取りで、アキノの部屋を後にする。


高評価やブックマーク、本作のご紹介、Xのフォローなどで応援いただけますと幸いです。制作の大きな力になります。


https://x.com/piku2dgod


本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=24843658

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=25490740

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=26572256

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