18話 星になろう
シーちゃんの急逝から数週間。
身寄りのないシーちゃんなので、俺達だけで小さな葬儀をおこなった。
メンバー全員ショックを受けていた。特にヨーくんが心配だった。
そんな日、活動休止状態のラスト☆スターズに対し佐々木プロデューサーは緊急ミーティングを招集した。
「ラスト☆スターズの名前を死なせないためには話題性が必要よ。……新メンバーのオーディションを行うわ。 5人のフォーメーションを崩すわけにはいかないから」
ビジネスとして正しい、けれど血の通わない提案にキヨは机を叩いて反対した。しかし佐々木さんに今の自分たちの「不完全さ」を突きつけられ何も言い返せなかった。
事務所にはまだシーちゃんの黄色いグッズがいくつも置かれていた。 俺達に残された時間は少ない、果たして4人だけで武道館にいけるのだろうか? 最近はオーディション番組がずいぶん増えていた。話題作りには持ってこいで、視聴率によってはいきなり売れるグループもいた。佐々木さんの判断は正しいのかもしれない……
ラスト☆スターズがオーディションを行なうという噂はファンの中に広まっていた。
期待や批判のコメントが沢山よせられていた。
その夜、俺はラスト☆スターズのHPへの書き込みの中から1通のコメントを見つけた。
それはマキさんからだった。
「シーちゃんがいない寂しさは何で埋めることもできません。でも、あの日、初めて彼に会った時、彼が私の冷えた手を温めてくれた時、こう言いました。『ワシの元気をあげるから』って。……私は、彼が愛したラスト☆スターズの続きが見たいです。誰かが代わりに入るのじゃなく、彼が人生を懸けて守った『あなたたち4人』のラスト☆スターズが見たいんです」
俺はこのメールをメンバーに見せた。
メールを読み上げたヨーくんの瞳には、涙が溢れていた。
「ラスト☆スターズの黄色が誰かと入れ替わったら、これまでのシーちゃんのが消えてしまう気がする」
「論理的ではありませんが、同意します。5人でラスト☆スターズだ。1人が欠けたなら、その穴も含めて僕たちの『今』だ」
リョウが珍しく大声を出す。
「やっぱり新メンバーはいらないよ。俺たち4人で武道館へ行こう」
キヨの目が輝く。
次の日、俺達は佐々木さんに4人で活動を続けることを告げた。
さらに2週間が経った。今日は4人になって初めてのライブ。
現実は甘くなかった、チケットは余ってしまった。
4人になってしまった為ファンの一部は離れ、SNSでは「シーちゃんがいないと華がない」「もうラスト☆スターズはオワコンだ」という書き込みも目立った。
しかし、俺達のパフォーマンスはかつて無いほど燃え上がっていた。
「あれから5年以内……いや、明日死ぬかもしれない」
シーちゃんが身を持って教えてくれた今この一瞬に全生命を叩きつける理由を。
ヨーくんも死の恐怖を乗り越えていた。
そんな俺達のパフォーマンスをマコちゃんは目の当たりにした。
「……すごい。シーちゃんがいなくなって、あなたたちはもっと『完成』に近づいたんだね。……ねえ、ゲンちゃん。これならいけるよ。……4人でも、ううん。4人だからこそ、最高のステージに辿り着ける」
マコはSNSに4人になった俺達を発信した。
そして俺はある挑戦を思いついた。




