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終活アイドル ラスト☆スターズ ~アイドルの寿命は短い!~  作者: 水鳥 いつき


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16/20

16話 ツアーは名古屋から東京へ

名古屋に着いた。


キヨが佐々木プロデューサーに話し掛ける。


「ちょっと、外に行って来ていいですか。リハーサルまでには帰ります」


俺がキヨに問いかける。


キヨは奇跡が起きたと言った。俺の最も反応する言葉だ。

ライブ会場から2駅ほどの所で全国高校テニス大会が開催されていた。 アヤカが出場している。

偶然だった、キヨはちょっと観に行きたいと言った。


「遅れちゃダメよ」と佐々木さん。キヨは方向音痴なので俺もついていく事にした。


会場に着いた。 アヤカの試合はもう始まっていた。 負けている……

それでも、アヤカは一生懸命ボールを追っていた。キヨも俺も応援に熱が入る、ついに追いついた。

ファイナルセット、祈る様な気持ちで俺達はゲームを見つめる。 負けた……

アヤカはうつむいたまま涙を流していた。

全国の壁は高かった。


キヨは立ち上がり帰ろうとだけ言った。

帰りの電車の中キヨは無言だった、俺達はリハーサルに入った。

リハーサルから今日のキヨは気合が入っていた。 

本番のキヨは凄かった。


「今日のキヨくん凄かったね」ヨーくんが目を丸くする。

「さすがリーダーやな」


キヨは汗でビッショリになりながら微笑んだ。


握手会。


キヨの男らしさはある女性層に受けていた。

映画『突撃の巨人』でちょい役だったが調査兵団団長シッパイ・バッカーマン役でコアなファンを掴んでいた。

今日もいつものように袖の無い服を着て筋肉をピクピクさせて握手をしていた。すると列の中にアヤカの姿が見えた。

アヤカがキヨの前に立つ。


「惜しかったね。でも頑張った」


「えっ!?」


「観てたよ。 最後まで諦めなかったね、本当に感動した」


「来てくれたんだね、ありがと……」


「特に……」


「3セット目でラケットがUFOみたいに飛んで行ったのカッコ良かった。あと、最後に届かなかったけど、ボールに飛びついた姿は金のシャチホコみたいだったよ」

 

「馬鹿……それじゃモテないよ。恋愛ゲームもっとやらなきゃ」


「毎日やってたんだけどなー」


「効果ないよ~」


「内緒だけど、3ヶ月後にストームとライブやることになった」


「嘘! 凄いじゃん。絶対頑張ってね、応援する」


「うん、なんだかアヤカちゃんを観ていたら俺達5人が揃ったら武道館行ける気がしてきた」


「行けるよ、絶対!」


夜、俺達は打ち上げにひつまぶしを食べにいった。


「年取るとなんかウナギが大好きになるんだよな。精力つけたくなるからなのかな?」


「しかし今日のライブのキヨは本当に凄かったね」


「アヤカちゃんの試合観に行ったからかな?」


「うん、アヤカちゃんから元気をもらったよ。この一瞬に全てをかけようと思った」

キヨが答える。


「あとは東京に戻って最後だね。頑張ろう」 キヨがメンバー全員にガッツポーズを求めた。


俺達もすぐに続いた。


ふと思う、俺達は誰かに背中を押されて1歩前にでることが出来た。

アヤカちゃん、マコちゃん、ノリに佐々木プロデューサー、数え上げられない。

人は人に支えられて前へ進む。 人との出会いの素晴らしさをこの歳になってやっと学んだ。


さぁ、東京に戻りツアーラストだ。



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