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終活アイドル ラスト☆スターズ ~アイドルの寿命は短い!~  作者: 水鳥 いつき


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15/20

15話 ツアーは続く!

北海道から福岡に行く飛行機の中、ヨーくんは手紙を書いていた。 ヨーくんには小さい子供や大きいお友達のファンが多い。 また、出演した日韓共作配信ドラマ『冬のアナタ』での王子様役はハマり役でドラマを観た女性達からはヨー様と呼ばれていた。

小さい子はたまにヨーくんに手紙を書く事がある、するとヨーくんは必ず返事を書くのだ。


「ヨーくん、来た手紙全部に返事書いてるの?」


「うん、すぐに返せない時はあるけど」


「凄いな〜」


また小さな子供から1通の手紙が来た。


「ヨーくんは福岡のプロ野球チームが好きなんですよね、僕も福岡生まれで福岡フォークスが大好きです。握手会楽しみにしてます」


ヨーくんは小さい頃好きだった一本足選手が福岡フォークスの監督をしていたことから福岡フォークスのファンだった。

その子への返事を書いている時ふと思いついた。

そういえばモモカさんも野球やってたって言ってたな……


「佐々木さん、福岡での握手会のときに野球のユニフォームを着て良いですか」


「いいアイデアね。 じゃ用意しておくわね。せっかくだから、SNSで告知しておきましょう」


福岡での握手会が始まった。 ヨーくんの列に並んでいる人は全員福岡フォークスのユニフォームを着ていた。


「何かヨーくんの所だけ野球になってるね」

「きゃ〜、ヨー様」


小さい子供にはしゃがんで目線を合わせるヨーくん。

大きなお友達はシャイな人が多く、緊張して下を向いたまま動けない。そんな時、ヨーくんは何も語りかけない。やがて沈黙が大きなお友達を動かす、チラッとヨーくんを見る。


「やっと僕を見てくれたね。ありがとう」

ヨーくんが大きなお友達の目を真っ直ぐ見つめる、そして握った手をギュッと強める。


「待ってたよ……会えて嬉しい」

「また会いに来てね」


こうしてヨーくんに命を捧げるファンがまた1人生まれるのだった。これらの熱狂的なヨーくんファンのことを世間ではヨー国民と呼んでいる。


打ち上げの豚骨ラーメンをみんなで食べに行く。


「まさか、ヨーくんのファン全員がユニフォーム着てくるとは思わなかったな〜」


ユニフォームを着たままで豚骨ラーメンを食べているヨーくんが笑顔で応える。


「そーだね。今日ほど福岡フォークスのファンやってて良かったと思った事はないよ」

「やっぱり好きな物は続けるべきだね。ラーメンも一生愛さなきゃね」


今日も美味しいラーメンだった。


そして大阪へ移動した。


今回のツアーでは最も大きな会場で3500人が入る。 何とチケットは完売していたのだ。

シーちゃんの2.5次元舞台のファンが多く来ていて、雷一閃役と同じコスプレをした人が多く来ていた。

シーちゃんが関西弁を喋ることも大阪でファンが増えた原因だった。


ライブ前の控え室で、


「実はなワシ関西人じゃないねん。生まれは浅草で両親が二人とも関西出身ってだけ」

「だから大阪来ても別に懐かしいとか無いんよ」


「そうなんだ……勝手に関西人だと思ってたよ」


「でも、なんか落ち着くな大阪は。親のDNAかな」


今回で最も大きなステージが始まった。


オープニング、いつものようにシーちゃん登場、煽りをいれる。


「浅草生まれの関西人、星野忍! エセ関西人って言わんといてや」

「親はコテコテの関西人や!」

「阪神ダイガースファンやで、バックスクリーン3連発! たこ焼き大好き、大阪最高~!」

「大阪のこと何も知らんが大阪好きでええか~」


大歓声と共に黄色いペンライトが激しく揺れる。今日のシーちゃんはノリノリだ。雷一閃の必殺技のポーズも披露し会場は激しく湧いた。ライブ中、俺はシーちゃんに20回程、斬られてやられたふりをしなければらなかった。


そして握手会。


「マキちゃん、来てくれたんか! お店は大丈夫なんか?」


「うん、お店も家事も断固拒否して来ちゃった。 シーちゃんに会いたかったから」


「それでええ、マキちゃんもたまには息抜きしなきゃ、マキちゃんだけにやらせたらあかん」


「うん。そうする、せっかくだから明日UMJで遊んでから帰る」


「たまには、休んでまた会いに来てな。待ってるでマキちゃん」


「シーちゃんも頑張ってね、応援してるよ」


控室。


キヨが呟く。


「シーちゃん、大阪知らないのに大阪のスターになってるな」


リョウが呟く。


「人は生まれや育ちに惹かれるわけじゃない」

「今のシーちゃんの姿に惹かれるんだよ」


そして会場の外。


シーちゃんの2.5次元舞台ファン達が写真を撮りながら帰っていく。


女性ファンが友人に言う。


「雷一閃も好きだけどさ」

「今日のシーちゃん、もっと好きになった」

「また、来ようね」





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