第21話 発見⁉︎魔導闘衣の奥深さ
更新遅れ大変申し訳ありません。加速装置買ってきます‼︎
見た目は美少女、頭脳はババァなシヴァ。
1に生意気2に生意気、34どころか全てが生意気なロイド。
自称魔族の小娘と若き虎の獣族、それにオレというなんともヘンテコなパーティで一路魔都を目指す。
シヴァ。雪のように白い肌と髪、ルビーよりも赤く輝く瞳、美しく整った顔立ちは前世であれば唾をつけておきたくなるほど将来有望だが話し方とうす汚なさ、何よりも常に緊張を強いられる威圧感…トータルで大幅減点な残念美少女。
ロイド。まだよくわからないが先ほど魔族の首を刎ねた時の身のこなし、言葉遣いや立ち振る舞いから貴族のような身分の人間なのだろう。
戦闘力もかなりのものである。
先ほどから襲いくる魔物を文字通り瞬殺している。
逆手に持った双剣がヒュンッと音を立てた瞬間、巨大なムカデがコマ切れにされ、集団で襲いかかるオオカミのような魔物がすれ違いざまに命を落とす。
接近戦に関してはかなりの実力を持っているのだろう。
ラルフとどっちが強いかな?
「何もせずついてくるだけのくせに遅いぞ。これでは魔都に連れて行くだけで褒美としては充分だな。」
この生意気な態度さえなければ…クッ、殴りてぇ。
「だからコイツが邪魔なんだよ。身軽ならあんなやつらオレでも倒せるから」
背中に背負ったシヴァという名の荷物さえなければオレも戦うんだが…やっぱ捨ててくか?
「無理はするものではないぞ。ここら一帯に出没する魔物は単体でもかなりの強さじゃからのぅ」
荷物が何故かドヤ顔で語り出す。よし置いてこう。
「じゃあ次なんか出てきたらオレがやっつけてやるよ」
とは言ったものの出来ればイージーな相手であってほしいというのが本音である。
「そうか。ではお手並み拝見といこう。ちょうどおあつらえ向きの獲物が現れたようだ。任せたぞ」
前方にトカゲが歩いているのが見える。
トカゲはトカゲだが…デカい。
オレが住んでたアパートぐらいあるぞアレ。
悠然と歩きながら獲物を探しているのだろうか?
辺りを見渡しながら…こちらに気付いた。
牙を剥きながら猛然と向かってくる。
「流石に素手ではキツいじゃろう。これを貸してやる」
シヴァから一本の剣を渡される。今どっから出した?
渡されたそれはとても軽い。魔力が込められてると言われればそのまま信じてしまいそうな不思議な力を感じる。軽く振ってみると昔から使っていたのかと思うほど手に馴染んでいる気がする。
「なかなかの名刀だな。風の魔力が込められているのか」
やっぱり魔力入りか。どうりで軽いはずだ。
「それだけの武器がありながらあの程度の魔物にも勝てぬようではこの先到底生き残れぬだろうよ」
「一々一言多いやつだな。黙ってそこで見てろって」
反論しながらトカゲに向かって走り出す。
まぁ最初から気づいてたが…あれってドラゴンだよな。
異世界初にして王道のドラゴン。
その記念すべき一撃を向かってきたドラゴンの鋭い牙を交わしながら長い首に叩き込む。
『ガキンッ‼︎‼︎‼︎』
鱗に当たった瞬間カン高い金属音が鳴り響き弾かれる。
なんで鱗に当たったのにこんな音すんだよ…
「この辺りの魔物はほとんどが雑食じゃ。肉は勿論鉱石すら食すからのぉ。硬質化した皮膚を持つ生き物が在っても不思議ではないわ」
なんだその常識。つーか石食うとか生物としておかしいだろ。
心の中で不満を漏らしながら追撃を交わす。
デカい図体して俊敏な動きでこちらを捕食しようとしてくるドラゴンの牙と爪を交わし続ける。
交わしながら一撃を叩き込むが致命傷どころかかすり傷すらつかない。
幾度となく打ち込むも致命傷には至らない。
それどころか全く怯むことなくオレを捕食せんと襲いかかってくる。完全に餌としか見ていない様子だ。
「あの様子じゃあの刀の使い方を全く理解していないようだな。まさに宝の持ち腐れだ。」
「致し方なかろう。前世では争いとは無縁の生活を送っておったはずじゃ。いきなりこの世界で命のやり取りなんぞできまいて。」
「とはいえこのままじゃいずれ食われてしまうぞ?まぁ
オレ様には関係の無い話だが。」
「そうとも限らんぞ?あの者は運命の転生者かもしれん」
「噂には聞いた事がある…わが主人もその者との邂逅を望んでいたが…まさかアレがそうなのか?」
「まず間違いないと見ておる。それにあの肉体も生前は…いややめておこう」
「???…とにかくアイツが本物かどうかを見定めねばならんな。わが主人の前にどこの馬の骨ともわからぬ輩を連れて行くわけにもいかん」
「それもそうじゃな。さて…どうしたものかのぉ…」
「!?」
(なんか体が重い…?)
突如として雄矢の動きが鈍る。
その隙を逃さず捕食せんと襲いかかるドラゴン。
済んでのところで交わし大きく後方へ飛び距離を取る。
(なんだ今の?急に体が重くなった…)
ダメージを受けたわけでも魔力切れでもないにも関わらず突然の違和感を覚える。
(このドラゴンが何かしたのか…?)
とてもそうは見えないが何かしらのスキルの影響を受けたのは間違いない。
「わかんねぇけどやるしかねぇか…」
無意識に独り言を言いながら再びドラゴンに斬りかかる。出し惜しみしていてはいつまでも退治出来ないだろう。
魔導闘衣を全開にして短期決戦を決意する。
全力でぶった切って…ダメなら逃げるしかないと覚悟を決める。
左右にフェイントをかけ背後に回り込む。
ガラ空きの背中めがけ刀を振り下ろす。
その瞬間再び体が重くなる。明らかに異常である。
(まただ…でもっ‼︎)
全力で斬りかかると決めた一撃、違和感があろうがここで中途半端に打ち込んだ所で結果は同じであろう。
魔導闘衣を更に強化させる。魔力切れを恐れ無意識に加減していたスキルを意図的に暴走させる。
出たとこ勝負の帰り道など計算にない特攻。
その一撃は…見事にドラゴンの背中を切り裂いた。
先程まで傷一つ負う事がなかった為、ドラゴンは完全に油断していた。その不意をつき混乱させるには充分な威力であった。
体勢を崩しながらも一度距離を取るために後ろへ飛び退く。
激痛にのたうち混乱しているドラゴンより更に混乱している者がいた。切った本人である。
(なんで唐突にダメージ与えられたんだ…???)
先程まで散々弾かれていた鋼鉄の鱗がまるで豆腐のように手応えなく刃が通った。その現実を目の当たりにしても尚、雄矢には理解出来なかった。
「何をしておるっ‼︎無駄に苦しませるでないっ‼︎」
シヴァに一喝され我にかえる。
そうだ今は考えてる場合じゃない。今の一撃で勝敗は決したと思って間違いない。ラルフと狩りをしている時もいたずらに苦しませる事のないよう気をつけていた。
ならば…再びドラゴンに駆け寄る。
トドメをさしてやろう。
(ありがとな。いい修行になったよ)
心の中でそう呟き…首を刎ねる。
これも弾かれる事なく一撃で切り落とす。
やはり偶然ではなかったようだ。
トドメを刺し冷静になって考える。
そして、ふと刀を見て合点がいった。
(あの時は無我夢中だったけど…そうか魔導闘衣にはこんな使い方もあるのか)
自身が手に持つシヴァから借りた刀。
その刀身全てが魔導闘衣を纏っている。
(今までは漠然と魔導闘衣を使っていたけど…刀にも纏わせる事でここまで威力をあげられるのか)
ラルフは魔導闘衣は上級スキルだと言っていた。
あの時よりもその意味を理解出来ている気がする。
要は魔力干渉をより複雑に行う事なのだろう。
単純に火や水といった干渉とは違い、魔導闘衣は対象や干渉方法などより細かく作用させるという事ではないかと思う。
(奥が深いな…もっと修行しないと)
「ふむ、どうやら理解できたようじゃな。」
(魔導闘衣を刀にまで纏わせたか…シヴァの言う通り、運命の転生者である可能性はあるのかもしれん)
「多少は見所があるのかもしれんな。それより…貴様何をした?」
「何の事じゃ?ワシは何もしとらんぞ。あやつの才能が土壇場で開花したのじゃろ。」
(しらを切るか…まぁいい。こやつが何者であろうがわが主人に仇なす者でないのならばオレ様には関係のない事だからな。」
「ユウヤよ。よくぞ倒した。魔導闘衣はまだまだ奥が深いぞ?」
「オレもそう思ってたとこだよ。前に修行つけてくれたやつにも同じ事を言われたよ。オレのやり方次第でいくらでも強くなれるんだな。」
「その通りじゃ。魔導を極めた物は時間の概念すら操ったと言われておる。まぁおとぎ話の中の話じゃがな。」
「時間操れたら最強だよな…ますます奥が深いな。」
(時間を操るか…もし先程シヴァがそれに近い事を行いアイツの行動を阻害したとしたら…それに抗う為に運良く魔導闘衣の応用を身につけドラゴンの強固な鱗を切り裂いた…?)
「流石に考えすぎか…」
「ん?なんか言ったか?…あっ!それよりどーだ見たか‼︎予告通りドラゴンぶっ倒したぞ‼︎」
「あそこまで手こずっておきながら粋がるでない。オレ様なら数分で細切れに出来る。」
「くっ、相変わらず憎たらしい…いつかギャフンと言わせてやる。」
「フン…とにかく魔都まで急ぐぞ。これ以上わが主人を待たせるわけにはいかん。」
倒すのに時間がかかってしまった事は事実な為、雄矢は何も言えない。渋々だが再びシヴァを背負い走り出す。シヴァの乗り物と化している事に対しては考える事をやめた。
「ユウヤよ。その刀はお主に貸しておいてやろう。今さら言う事でもないがその刀は魔力を通して初めて本来の切れ味を発揮する。そのままでは多少切れ味がいい程度のナマクラじゃ。見事使いこなしてみせよ。」
「あの切れ味を経験すれば納得だよ。ロイドの言う通り魔剣だったんだな。ありがたく頂戴するよ。完璧に使いこなしてやるぜ‼︎」
そして走る事数刻…一行は無事魔都へと到着する。
魔族の国初遭遇の魔物:地竜
備考:風の魔剣(借用品)にて一刀両断
魔族編まだまだ続きます。次回ついにケモミミボインが…




