第18話 新たな仲間と暗躍する者達
とある無人島にて。
後に世界に「悪意」を撒き散らす者達が集っていた。
ある者は「憎しみ」を…
ある者は「怨嗟」を…
ある者は「恐怖」を…
そして、ある者は「破滅」を…
目的は違えど彼らの利害は一致していた。
それは「この世界の滅亡」
世界に絶望した者。
世界に裏切られた者。
世界を玩具にしようとする者。
目的は様々だが最終的な目標は一致していた。
「ようやく全員揃ったな」
「待ちわびたぜぇ。全部ぶっ壊してやるっ‼︎」
「………」
「いよいよ私の復讐を果たせるわ…この世界に対して」
「ワシらが動き出す事もまた…この世の運命なのかのぅ」
「じゃあ始めよう。『蛇殺し』を」
世界に向けた悪意が今牙を向こうとしていた。
そことは遠く離れた痩せこけ荒廃した大地。
その小高い丘の上で悠矢は目を覚ます。
(痛てて…どこだここ…それにみんなは…?)
どこまでも広がる茶色い土地には生命は感じられない。
むしろ命を奪う為に存在する空間なのではないかと錯覚してしまう。それほどまでに荒れた世界であった。
先ほどまで緑豊かな人族の地で仲間と共に旅を続けていたというのに…セフィはどうなったのか?ラルフやクレア、キャスカ達は無事だろうか。
だが今の悠矢にそれを確かめる術はない。むしろ人の心配をする前に自分が生き残らなければならなかった。
ここがどこで何故このような事が起きているのか…
まずは行動する事だ。ここにいても事態は好転しない。
そう思い立ち上がり歩き出す。空には星一つない夜空が広がっていた。
(夜か…本当なら動きたくないけど…そうも言ってられないな)
知らない土地での夜間行軍、本来なら避けるべきなのだろうがそうも言ってられないだろう。
どこに向かおうか悩んでいると…
暗闇の向こうから人影が現れた。
咄嗟に警戒するも、一瞬で目を奪われてしまった。
その人は余りにもこの場に似つかわしくなく、余りにもこの場に馴染んでいた。
人族とは違う。余りにも整った顔立ちをしているがまだ幼い。クレアと同じぐらいか?
将来はセフィに匹敵するほどの美人になりそうだ。
まだ幼さが残るその顔は将来を期待するに充分な美しさを持ち合わせている。
だが素材は一級品であるにも関わらず全くと言っていいほど磨かれていない。
無造作に肩口まで伸びた白髪、着飾れば絶世の美女と見間違うであろう逸材もボロ切れを纏っただけの今の服装では見るに耐えない状態であった。
原石とは磨かれて初めて価値を持つ…それを体現しているかのようであった。
こんな幼い子がどうして一人でこんな場所に?
そんな疑問が頭をよぎるが何故か納得してしまった。
その子から漂う死の匂い…この荒廃した大地の主と言われれば納得せざるを得ない気配が漂っていた。
この場に相応しくない見た目とこの場に相応しい気配…
矛盾を内包した存在であった。
「目覚めたか。運命の転生者よ」
静かに少女が語りかけてくる。この少女こそが悠矢やセフィに取って最も重要な秘密を握っているのだが…悠矢がそれを知る術はなかった。
〜王都クラリス近郊〜
(あれは…王都?こんなとこまで飛ばされてしまうなんて…みんなは無事かしら?)
セフィは一人王都へと辿り着いていた。
半ば伝説と化した生物との邂逅。
今この場に五体満足で立っている事が奇跡であった。
(まずはみんなと再会しなくちゃ…)
みんなは無事であろうか?今はただただ安否を気遣うのみである。
下手に探すよりは王都に留まり情報集めを行った方がいいだろう。以前と同じように酒場で依頼をこなしながら情報収集を行っていればいつか有益な情報も入るはず。
セフィはあの時を振り返り思考を巡らす。
あの時獄雷姫が放ったあの技…今自分が無傷でいる事と遠く離れたクラリスまでワープしている事を考えると導き出される答えは一つであった。
この世界において最強のスキルの一角である『時空間干渉』。時間や空間に干渉する超高等スキルを使われたとしか思えなかった。
(あの技を使える人がまだこの世にいるなんて…)
セフィも実際に見るのは初めてである。
あの瞬間…辺りが闇に包まれた刹那…一瞬で景色が変わっていた。
一説には本当に時空を超えられるとも言われているが…もし皆が時空を飛び越え転移させられていたら再会は絶望的であろう…そうではない事を願うばかりである。
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