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第9話:【伏線】「……待て、お前たちも最初はバニラだったのか?」

【前書き】


お越しいただきありがとうございます!

前回、DW-QCS上で1万の生命根源種を美しくプロファイリング・大整頓した航とフィア。

今回は、その膨大な生命データのクロス解析を行う中で、フィアすら知らなかった「ある衝撃の真実」が発覚します。


どれほど強大な高次元存在や機械化種族であっても、生物としての発生の第一歩は全員——「ただの生身(バニラ)」であるという根源的真理。

地球という星の秘密とも繋がる、少しシリアスで胸を打つ第9話をお楽しみください!




「——すごいわ、ワタル。DW-QCSのデータバスが全1万星系の神経網と完全同期したわよ。これで、あらゆる生命種の生態動態がリアルタイムで手の平の上のようになるわ!」


主任相談員室の巨大ホログラムモニターの前で、フィアが達成感に満ちた笑顔を浮かべた。

幾何学模様の光のラインが銀河の星々を結び、完璧に秩序立った「大銀河ブレイン(DW-QCS)」が脈打っている。


「ご苦労だった、フィア。君の優秀な並列演算がなければ、この規模のニューラルネットワーク構築には数百年はかかっただろうな」


俺が労いの言葉をかけると、フィアは嬉しそうに目を細めた。

だが、そのモニターに映し出された「全生命種の発生・受精プロセスに関する遺伝子データベース」の総括データを見た瞬間、俺はふと足を止めた。


「ん……? 待てよ、フィア」


「どうかしたの、ワタル?」


俺はホログラムの数値を指し示し、眉をひそめた。


「この高次元の魔神仏思念体や、全身完全サイバネティクスの機械生命体、あるいは数万年の進化を経た高位天使たちの初期発生フェーズ……。これ、すべての種族において『受精から胎生・またはナノマシン的構築に至る最初の0.00秒』のデータが、完全に一致していないか?」


フィアは首を傾げ、手元の端末で該当データを急拡大させた。


「え……? そんなのありえないわ。彼らは何万年もかけて肉体を脱ぎ捨てたり、次元を超越したりした特別な種族よ? 初期データなんて種族ごとにバラバラのはず……だけど……!」


フィアの指がピタリと止まり、その青い瞳が大きく見開かれた。


「……嘘……。どんなに強力なエネルギー生命体であっても、高次元の概念体であっても……『発生の第一歩』は、すべて質量を持たない、ただの剥き出しの有機的プロトコル……つまり、何の装飾も能力(ギフト)もない、完全な『生身の細胞(バニラ)』から始まっている……!?」


ラボの中に、重苦しい静寂が落ちた。


「そうだな」俺は静かに腕を組んだ。「どれほど強大な魔力を誇る悪魔も、全宇宙を支配するような高位存在も、生まれた瞬間は全員、ただ泣き叫ぶことしかできない『無力なバニラ』だったんだよ」


「そんな……そんなの、これまでのどの歴史書にも載っていなかったわ……! 私たちは、彼らが最初から特別な『選ばれた存在』だと思い込んでいたから……!」


フィアは震える手でモニターを見つめた。

銀河に生きる1万の種族は、自らの持つ力や魔法、テクノロジーを誇示し、優劣を競い合っている。だがその根源を辿れば、全員が等しく「何もない状態」からスタートしているのだ。


「思い出すな……俺の故郷、地球という星のことをさ」


俺は窓の外に広がる星々を見上げながら、遠い目を伏せた。


「あの小さな星でも、人間たちは生まれた時は全員丸裸のバニラだ。だが、いつしか他者と比べ、自分に何かないと不安になり、誰かが持っている『チートな才能や外見』を羨む。……だがな、本当に大切なのは最初から何を持っているかじゃない。『何もない状態から、どう歩み出し、どんなテーマを選ぶか』だ」


ユ フィアは息をのんだ。

「だから……だからワタルは、あんなに強いのね。ギフトがなくても、最初から自分が『バニラ』であることに絶望せず、知恵と工夫で現実を切り拓いていける……」


「まあね。どんなに強大な力をまとっていこうとも、魂の根っこはみんな同じ『生身の人間』から始まっているんだ。そう思えば、どんなに傲慢な宇宙人や神様が相手でも、怖くなんかないさ」


フィアは胸の奥が熱くなるのを覚えながら、そっと俺の背中に腕を回し、その温もりに身体を預けた。


「……ねえ、ワタル。あなたの故郷の地球って、もしかしたら……この銀河の真理を一番純粋に映し出している場所だったのかもね」


「さあな。だが、俺がここに放り込まれた以上——この一万の星系全体に、その『バニラの底力』を教えてやるさ」


完全覚醒したDW-QCSの光の中で、二人の決意は一つに重なった。

銀河の根源に眠る真理を胸に、彼らは次の巨大な構造改革へと歩み出すのだった!




【あとがき】


第9話をお読みいただきありがとうございました!


すべての生命種は、どれほど強力であっても発生の第一歩は「完全なバニラ」であるという銀河の根源的真理が明かされた今回。

主人公・航がなぜ生身のままでこれほど堂々としているのか、その理由と地球という星の背景が少しずつ見えてきましたね!


そして物語はいよいよ、第1章のクライマックスへ!

準備の整った航とフィアが挑む「第一回・銀河構造改革プロジェクト」が幕を開けます!


少しでも「面白かった!」「伏線が熱い!」と思っていただけましたら、ページ下部の★評価やブックマーク登録をいただけますと大変励みになります!

次回もお楽しみに!

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