第5話:最高幹部の平伏とコンプライアンスの危機
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前回、首都星・調律院の大ホールで、天使と悪魔の泥沼トラブルを頭脳インフラ『DW-QCS』のロジック一発で叩き潰した航。
今回は、その圧倒的すぎる手腕に衝撃を受けた連邦最高幹部(院長)から破格のポストを打診され、さらには銀河最大の流通牛耳る「ボリゾフ商会」との過剰接待&コンプライアンス攻防戦が幕を開けます!
生身の元コンサルの真骨頂、どうぞお楽しみください!
「——信じられん。あの大魔王ギルドと天使評議会の泥沼訴訟を、たった数分の『設備周波数調整』と『事前連絡ルール』で片付けてしまうとは……!」
首都星・調律院の最高執務室。
先ほどまで審判長席で頭を抱えていた連邦最高幹部——院長は、デスクを挟んで座る俺に向かって、もはや崇拝すら入り混じった眼差しを向けていた。
「四条 航どの! あなたのような傑物がなぜ今まで『完全なバニラ』として無一文でポッドに眠っていたのかは分からん。だが……連邦はあなたを絶対に手放さん! 直ちに我が管制院の直属組織として【主任星系間相談員】の役職と、最上級の公務権限を付与させていただきたい!」
「主任星系間相談員、ですか」
俺は隣で「すごいのよワタル! これって連邦の閣僚級の扱いなんだから!」と目を輝かせるフィアの肩を優しく叩き、落ち着いた声で応じた。
「お申し出はありがたいですが、院長。一つ条件があります。私の出すソリューション(解決策)はすべて公明正大、かつコンプライアンス(法令順守)に則って行われます。予算の不正流用や政治的忖度は一切受け付けません」
「望むところです! むしろその潔白さこそ、今の腐敗しかけた連邦に必要なのだ!」
こうして俺は、全裸スタートからわずか数時間で、一万星系の利害を調整する連邦トップクラスの相談員へと成り上がったのだった。
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### 首都星・上級VIPラウンジ『ボリゾフ・プレイス』
「ガーハッハッハ! いやあ素晴らしい! 噂のバニラの天才相談員、四条先生とお目にかかれて光栄ですな!」
豪快な高笑いを上げながら酒杯を掲げたのは、一万星系の物流と貿易を牛耳る「ボリゾフ商会」の総帥、ボリゾフ会長だった。
最高級のエネルギーワイン、絢爛豪華なホログラム演舞、そしてテーブルを埋め尽くす超希少な星間食材の数々。
いわゆる『過剰接待』というヤツである。
(……おいおい、めちゃくちゃ分かりやすい買収工作じゃないか)
俺は冷や汗を拭いながら、横に座るフィアに視線をやった。
フィアもまた「ワタル、これ完全に『裏の便宜を図ってくれ』っていう賄賂(コンプライアンス違反)の罠よ……!」と青い顔で耳打ちしてくる。
「四条先生! 我がボリゾフ商会は、先生の『DW-QCS(次元波動演算システム)』による経済・流通予測モデルに大変感銘を受けておりましてな! ついては、我が商会の流通網を優先的に最適化していただく見返りとして、この秘密口座に莫大な『研究助成金』を個人口座へ投げ込ませていただきたい!」
出た。露骨すぎる個人的裏金(賄賂)の提示だ。
普通なら「公務員倫理規定違反だ!」と突っぱねて席を立つところだろう。
だが、俺は元コンサルタント。ただ断るだけでは能がない。相手の欲求を満たしつつ、100%クリーンな仕組みへ組み替えるのがプロの技だ。
俺はグラスを静かにテーブルへ置くと、洗練された大人の微笑みを浮かべた。
「ボリゾフ会長。お気持ちは大変嬉しいですが……そのやり方では、会長のお立場が危うくなりますよ」
「……ぬ? どういう意味ですかな?」
「会長が私に個人資金を渡せば、ライバル企業や管制院の反対派から『不当な癒着・贈収賄』として刑事告発されます。そうなればボリゾフ商会の株価は暴落し、会長の築いた信頼は一夜にして失墜する。……そんなリスクを、会長ほどのお方が背負う必要がありましょうか?」
ボリゾフ会長の顔色が、サッと変わった。
「だ、だが! 我らとしてはDW-QCSの技術を喉から手が出るほど導入したいのだ! どうすればいいと言うのだ!?」
「簡単なことです」俺はDW-QCSの思考フレームワークから弾き出したホログラム契約書を、会長の前にサッと展開した。
「個人への賄賂ではなく——連邦・学術機関・ボリゾフ商会による『公明正大な産学官連携協定(パブリック・プライベート・パートナーシップ)』を立ち上げるのです!」
「産学官……連携!?」
「ええ。ボリゾフ商会からは『正規の研究助成金』として公的基金へ出資していただき、我がDW-QCSはその資金で全星系の流通システムを最適化する。これによりボリゾフ商会は『全銀河の経済を救った最高のホワイト企業』として絶大な社会的信用を手に入れ、節税効果も絶大です!」
「「っっっ〜〜〜〜〜〜!!!(衝撃)」」
ボリゾフ会長とフィアが、同時に言葉を失って口ぐせを固めた。
過剰接待と贈収賄のピンチを、一瞬にして完璧にクリーンな「超大型国家プロジェクト」へと昇華させてしまったのだ。
「す……素晴らしい……! 賄賂どころか、我が商会を銀河の英雄企業に仕立て上げてくれるとは……! 四条先生、いや四条様! ぜひその協定、サインさせてくだされぇぇっ!」
涙目になったボリゾフ会長が、感銘のあまり俺の手を握りしめる。
知恵と工夫、そして完璧なコンプライアンス。
生身の人間の元コンサルタントが、また一つ銀河の不祥事を未然に防ぎ、巨大な巨頭を味方に引き入れた瞬間だった。
第5話をお読みいただきありがとうございました!
過剰接待と贈収賄のピンチを、圧倒的なコンプライアンス感覚と「産学官連携スキーム」で見事に切り抜けた航!
ボリゾフ会長もすっかり航の信者になってしまいました。
次回、仕事を終えた航とフィアは、フォースメル星系の高級スイートルームで束の間の休日を過ごすことに。
そこでユーリアから「私、実は生娘なんだ」という甘すぎるカミングアウトが飛び出し——!?
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次回もお楽しみに!




