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続、遊の親馬鹿両親の会話 其の2

 今度は、翔子がとびきり心配そうに話し始めます。


「それにしたって、あなた、私ったら遊がこれからどう海応学園で高校生活をやっていくか、もう考えただけでどうにかなっちゃいそうよ」

「ああ、そうだな、翔子。学業とかもちろんそうだけど、一番気になることがあるんだよなあ」

「あなたもなの。実は私もそうなのよ。ねえ、それだったら二人一緒に、せーので言い合うっていうのはどうかしら」

「いいとも、翔子。せーの」

「部活動!」

「部活動!」

「やっぱりあなたもそうだったのね」

「決まってるだろう、翔子。ほら、遊のやつの中学校生活が中学校生活だったじゃあないか。だからこそ、せっかく志望校に受かったんだからさ、高校生活ぐらいは存分に楽しんでほしいというのが親心というものじゃあないか、そうだろう、翔子」

「そうね、でも、やっぱりここで海応学園が中高一貫だっていう事がネックになっちゃうのよねえ」

「そうなんだよなあ、翔子。中学からすでに海応だった内部組は三年間一緒に部活をやってることになるだろう。そこに編入して新顔となる遊が、こんにちわ、っと言って入部したからといったって、そう簡単になじめるものとも思えないしなあ」

「そこでね、あなた。わたし、海応のことをちょっと調べてね、遊にぴったりなんじゃあないか、というものを見つけたのよ」

「お前もかい、翔子。やっぱり僕も同じなんだ。だったら、また二人一緒に、せーので言い合おうじゃあないか」

「そうしたほうがよさそうね、あなた。せーの」

「落語研究会!」

「落語研究会!」

「なんといっても夫婦だね、翔子」

「まったくもってその通りよ、あなた」

「やっぱり、遊はあれだけ落語が上手なんだ。そのうえ、どうも本人も落語をすることが好きだと見える。だったら、それを仲間と一緒にやるということが筋だと思うのだけれども」

「そうね、あなた。だけど、そうなるとまた一つ問題が出てきちゃうのよ」

「祥子、そうだよねえ、そうなるよねえ。じゃあとりあえずお前のその思い当たる問題というのを聞かせてよ」

「ええ、遊ったら、あんなに落語がお上手なんだもん。人間国宝や名人だってかくや、といった具合よ。いえね、それ自体はとっても喜ばしいことよ。私たちがどれだけ遊に楽しませててもらったか、もう数え切れやしないわよ。だけどよ、だからこそ問題なのよ。編入生が自分たちの研究会に新入りとしてやってきてよ、そこでその新入りが自分たちよりはるかにレベルの高い落語をやっちゃったら、そしたらどうなっちゃうのかしら。やっぱり嫉妬とかされちゃうわよねえ」

「お前もそう考えちゃうよなあ、翔子。座布団に画びょうとかしこまれやしないだろううか」

「扇子に接着剤とか塗られちゃったりしないわよねえ、あなた」

「いっそのこと、海応学園へ遊が行くのについてっちゃおうか、翔子」

「ついてっちゃいましょうか、あなた」

「そんなことしたら、遊のやつ怒るだろうね」

「烈火のごとく怒るでしょうね、あなた」

「心配だけど、僕たちにできることは何もないみたいだね、翔子」

「何もできやしないわね、あなた」

「娘なんて作るものじゃあないね」

「でもあなた、遊がかわいいんでしょう」

「うん」


 二人はついついため息をつくのでした。」



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