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英子、高子を語る 其の1

さて、遊と高子が保健室に向かった後、放課後となりました。その保健室に、血相を変えて飛び込んでくる女子生徒が一人、英子です。


「遊ちゃん、遊ちゃん、いるかしら? あっ、よかった、遊ちゃん、いるのね。幻なんかじゃあないわよね。五、六時間の休み時間に、来てみたら、遊ちゃんの影も形もありはしないんだもん。何事かと思うじゃない。それにしても、高子ったら、どういう事なのよ。自分で遊ちゃんをエスコートする、なんて言っておいて、あいつったら。って、高子! どうして、あんたが保健室のベッドで寝ているのよ。貧血気味の遊ちゃんを、この保健室に、連れて来た事になっているあんたが」

「米村君、それはね、わたくしと遊さんがね、保健室で一緒になって寝ていたからだよ」


高子の思わせぶりな口ぶりに、憮然とした態度で、遊が抗議をします。


「別々のベッドでという事を、抜かさないでもらいたいんですがねえ、高子さん」

「あっ、遊ちゃん。大丈夫? 高子に変なことされたりしなかった? 高子! この機に乗じて、遊ちゃんに妙なことしてやしないでしょうね」


英子が猛然として高子に噛み付いていきますが、高子はなんら動じるところがありません。


「妙なことかい? わたくしは遊さんと寝ていただけだよ」

「ですからねえ、高子さん。誤解を招くような表現は控えていただきたいと……」


遊、英子、そして高子のやりとりを保健室の先生が中断させます。


「はいはい、もう放課後ですからね、二人とも問題ないようね。それじゃあ大人しく家に帰りなさい」


すると、英子が声も高々に自分の意見を通そうとします。


「そうね、遊ちゃん。それがいいわ。一刻も早く、家で安静にするのよ。私が遊ちゃんを送っていくわ。さあ、行きましょう。ふ・た・り・で」

「は、はあ、英ちゃん。じゃ、じゃあ、高子さん。面倒かけてすいませんでした」


遊は、英子に従おうとするも、とりあえず、高子に礼をします。しかし、またもや高子は含みのある言い方をするのです。


「こちらこそ、遊さん。この高子さんも、大いに楽しい時間を過ごさせてもらったよ」

「楽しい! 楽しいですって、高子、あんた、遊ちゃんと何をしていたのよ。ねえ、遊ちゃん。高子に何をされちゃったというの」


すっかり高子にからかわれている英子を、遊が必死になってなだめます。


「わかったから、英ちゃん。後でゆっくり話してあげるから。高子さんも、いい加減によしてください」

「はっはっは、すまないねえ、遊さん。それじゃあまた明日」

「はい、また明日、高子さん。ほら、英ちゃん、行くよ」

「でも遊ちゃん……」

「はいはい、一緒に帰りましょうね、英ちゃん」

「遊ちゃんがそこまで言うのだったら……」


保健室を出て行く遊と英子の二人なのでした。



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